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株式日記と経済展望
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各国政府が自国通貨を安くして雇用維持のために輸出振興策に打って
出ている。 人件費が高騰し、中国の輸出競争力が急速に落ちている。
2010年9月30日 木曜日
◆海外脱出した日本企業は二度と戻らない 9月29日 大前研一
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100928/246638/?P=1
「米国の成長は終わり、世界の市場はシュリンクする」
現在、ドルは軟調に推移している。アメリカにドル資産を置いておいても良い利回りの商品が見つからないため資金がドルから逃げようとしている。ドルが力を取り戻す要素が見当たらないのだからドル安に歯止めがかからないのも当然と言えよう。米国最大の債券運用会社PIMCOのビル・グロース氏は、「米国の成長は終わり、世界の市場はシュリンク(縮小)する」と指摘している。彼の言葉の影響力は大きい。
彼の唱えるDDR(de-leveraging, de-globalization and re-regulation)によって世界経済の大幅な縮小は避けられない、という見解である。これは金融危機後の経済実態が「倍率(マルチプル)の削減、グローバル化の後退、そして金融当局による規制の強化(例えばボルガルールの法制化)」の3点において世界的に経済を収縮させる、というモノである。当然、国際決済銀行(BIS)の新ルールも銀行の貸し出し余力を大幅に縮小する。結果、一番膨れていた欧米(ユーロ、ドル)の相対的な地位の低下につながる、という見方である。したがって投資家は安全資産として円または円建ての商品に向かい、円高となる、という解釈だ。
日本経済を見れば先行きは暗いわけで、円が強くなる、という見通しは立てにくい。しかし、不動産も株も下がっているということは、世界経済から見れば中国・香港などに比べて「買い時だ」ということになる。デフレが長く続いているために価格の低下が購買意欲を誘っているし、中国などから見てもバブル崩壊後の避難場所としても魅力が出てきている。
各国の通貨安はオリンピック競争の様相を呈してる
自国に残るには価格を上げても売れるような商品を作るしかない。ドイツなどが好調なのはそうした企業が今のユーロ安で受けに入っているからだ。出て行った企業は中国がだめならベトナムへ、ベトナムがだめならインドやバングラデシュへ、と世界中を彷徨(さまよ)うようになる。労働集約型の繊維などがこの200年の間に見せた流転の歴史は日本にも当てはまる。
どんな(為替を含めた)外的環境の変化があってもイノベーションを繰り返して母国で生き残るか、より安い労働力を求めて生産の最適地に移転するか、製造業にはこの二つの選択肢しかないのだ。しかも、それは90円台での話で、85円となってしまった今では意志決定は反転しないと考えるべきなのだ。
日本政府による為替介入は本来すべきではない、というのが私の考えだ。1990年代に繰り返し見たように、政府が「最後の買い手」となることが分かっていれば為替トレーダーたちは安心して売り浴びせてくるからだ。しかし、イザとなれば「伝家の宝刀」を抜くぞ、という態度を市場には示しておかないとDDRの環境下ではナメられる。各国政府が自国通貨を安くして雇用維持のために輸出振興策に打って出ているからだ。今は自国通貨をいかに安くするかのオリンピック競争の様相を各国とも呈している。
上述のように、製造業から見た防衛ラインは1ドル=90円だったろう。90円を割った早い段階で介入姿勢を見せていたら、ここまで円高が進行することはなかったはずだ。現在のように、介入後も85円近辺を彷徨う限り、企業としては海外移転を考慮せざるを得ず、日本の雇用は今後ますます厳しくなるだろう。
中国は人件費が高騰し、輸出競争力が急速に落ちている
人民元の対ドルレートの推移を見てみよう。中国は6月21日、人民元の弾力化を行った。弾力化とは、簡単に言えば、ドルペッグ制(自国の貨幣相場を米ドルと連動させること)をやめて人民元を切り上げることだ。
下のグラフを参照してほしい。案の定、人民元は上昇し、弾力化の初日から3カ月を経て1ドル=6.74元に到達している。9月27日には初めて6.7元を切っている。約3%の切り上げである。円とドルの動きから見ればまだまだ堅いが、従来に比べれば少し柔軟性が出てきた、という感じである。
しかし、先進国の通貨のように完全に自由化(フロート)させることにはリスクが伴う。一度急激に上がった後にはサヤ取り業者(アービトラージャー)が中国経済の矛盾を突いて売り浴びせる可能性が高いからである。つまり暴落する危険性がある。理由は、すでに中国企業の競争力がこの1年くらいの間に急速に落ちてきており、東ヨーロッパや東南アジア諸国連合(ASEAN)に比べても人件費が割高になっていることだ。ベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、インドなどに比べれば、はるかに高くなってしまっているからである。
これまで中国経済が伸びてきたのは、人民元の安さもさることながら、人件費が低く抑えられていたおかげだ。そのため、「世界の工場」としての需要が大きかったわけだが、今は人件費が高騰し、中国の輸出競争力が急速に落ちている。
世界はまったく新しい経済状況に直面している
欧米諸国は今のところ資金供給して自国通貨を安くすることに成功しているが、そのうちに日本と同じように冷え込んでくるだろう。成熟経済の宿命として「ゼロ金利+大量の資金供給」でも市場が次第に反応しなくなることを欧米諸国も間もなく経験することになるだろう。日本が参考になるとしたら、老成経済においてひとたびデフレスパイラルに陥れば、金融政策や財投では回復しないということである。
世界はまったく新しい経済状況に直面している。バブルを急速冷却すれば萎縮(いしゅく)した個人と法人しか残らない。金融機関も自分のサバイバルしか頭にない。血液は循環しない。新興国はとりあえず成熟国から資金を引き寄せて地球規模での需要をつくり出す。先進国では時間がかかっても若者を鼓舞し、規制を撤廃することによって新しい需要や産業をつくり出していかなくてはならない。少なくとも10年間、縮退する経済を受け入れながら(バイアグラ的な)需要刺激ではなく、新しい産業を創出する気の遠くなるほど根気のいる仕事に取り組まなくてはいけない。
(私のコメント)
日本企業が円が高くなって海外に出て行くという話ですが、国内市場が縮小してきている以上は業績を伸ばすには海外に市場を求めなければならない。一番分かりやすいのが自動車産業ですが、国内には自動車部品会社があって、自動車を作るには部品製造会社が無ければならない。しかしトヨタやホンダなどの会社も工場を海外に移して、それに伴って部品会社も海外に移転して行った。
それだけ国内の製造業が空洞化して若年労働者の失業が社会問題化するようになって来た。自動車産業も1ドル90円くらいなら何とかやっていけても85円を切ると厳しくなってくるようだ。円高で韓国の自動車がアメリカで売れるようになり品質も高くなってきた。
中国市場は世界一の自動車市場になりましたが、世界中の自動車会社が中国で販売合戦をしている。中国市場へ直接輸出すると関税が高いので中国に工場を造って売ることになります。中国にとっては工場ができることで雇用が生まれるし、豊かになれば需要が生まれ、製造技術も移転される。中国にとってはいい事だらけだ。
しかしその中国市場も豊かになるにつれて人手不足になり、賃上げストライキが起きて輸出競争力を失ってきている。だからアメリカから人民元を上げろといわれてもなかなか切り上げが出来ないでいる。このように中国の経済発展は自立的なものではなく外資によるものであり、外資も中国市場向けの進出が主体になってきた。
アメリカ市場もバブル崩壊とリーマンショックのダブルパンチで高失業率と需要が低迷して来ている。ヨーロッパも同じような状況でバブル崩壊とギリシャショックで経済はまっさかさまだ。ドルとユーロの通貨の切り下げ合戦が起きて、日本の円がそのとばっちりで高くなっている。
アメリカもヨーロッパも輸出主導で景気対策と雇用対策に乗り出してきていますが、世界中の国が通貨の切り下げのオリンピックをしている。通貨の切り下げ競争が起きれば世界の投資家たちは資産保全のために円を買うか金を買うかの行動に出る。アメリカもヨーロッパも中央銀行が国債を買って札をばら撒いていますが、それが出来る国は限られる。にもかかわらず日本は日銀が量的緩和をためらっている。
通貨をばら撒けば中央銀行の金庫は国債で溢れかえるわけですが、そのためには金利を安く出来る国でないと難しい。日本はゼロ金利を10年以上続けていますが、アメリカも実質的にゼロ金利だ。新興国はそれらの資金の受け皿になってきましたが、ドバイショックやギリシャショックなどで新興国もバブルが弾け始めた。
それらの新興国の代表が中国ですが、世界中から投資を集めて13億人の超低賃金労働者が一斉に働き始めたのだから、中国が世界の工場になった。そのおかげで中国は日本を追い抜いてGDPで世界第二位となりましたが、経済大国になっても中国は大国としての責任を担うつもりはないようだ。人民元の自由化も出来ないようでは経済成長も先が知れている。
インドやバングラデッシュも中国の真似をして海外からの投資を集めて工業国になろうとしている。そうなれば世界中に工業製品があふれる事になりますが、安さで勝負しようとする。だから新興国の通貨は信じられないくらい安いのですが、日本の年金生活者は新興国で生活すれば、家政婦も雇って優雅な生活が出来る。
日本やアメリカなどの先進国はよりクリエイティブに新産業を作り出して行かなければなりませんが、アメリカは金融立国を目指しましたが金融で失敗した。やはり製造業がしっかりしていないと雇用なども作れず中産階級も維持できない。しかし製造業も安いものを作るのではなくてソフトを組み込んだ高付加価値の製品で勝負すべきだろう。
自動車や家電製品や携帯電話などもコンピューターが組み込まれて、ソフトとハードの組み合わせた商品が売れ筋になって来ました。自動車もハイブリッドカーのようにコンピューターの塊であり、携帯電話もより高機能なスマートフォンが主力になってきました。安い通話だけの携帯電話はノキアの不振が物語るように売れなくなっていく。
テレビにしてもコンピューターが組み込まれてソフトが勝負になってくる。先日もグーグルTVの事を書きましたが、ソフトに関しては日本の家電メーカーはグーグルにソフトを抑えられてしまっている。ソフトを開発するには優秀な人材が必要になりますが、パナソニックなどは日本人よりも優秀な外国人を雇っていく企業戦略に切り替えた。
これからはソフト産業やコンテンツ産業などの分野が有望であり世界中に売れるソフトやコンテンツが有望産業になります。そうなるとその国の文化力がものを言いますが、日本の教育は相変わらずサラリーマンの養成所であり、時代の要請にあった人材の養成に失敗している。ソフト産業やコンテンツ産業は一にも二にも才能がものを言うのであり、個性的な人材を育てないとスティーブン・ジョブスやビル・ゲイツのような人材は育ってこない。
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