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株式日記と経済展望
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金価格高騰は、ドル、ユーロなどへの信認の低下の裏返しだ。金高騰
が発する通貨・経済政策への警告を主要国は無視してはならない。
2010年9月23日 木曜日
ドル、ユーロ、円の通貨価格競争で金の価格が上がる。
◆[FT]通貨摩擦、大合意に向けた険しい道のり 9月17日 英フィナンシャル・タイムズ紙 日経新聞
http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C9381959FE3E5E2E0878DE3E5E2EBE0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E2
ちょうど25年前の9月22日、数人の男たちが世界経済を作り直すためにニューヨークのプラザホテルに集まった。世界の先進5カ国(G5)の政府が一体となってドル安誘導と世界の不均衡是正を図るという、ここで彼らがまとめた合意は恐らく、過去40年間の国際的な経済協力の頂点だったと言えるだろう。
再び求められる「プラザ合意」の精神
今、為替レートや世界経済の不均衡、財政赤字削減を巡って世界の主要経済国の政府間に大きな亀裂が生じている中、プラザ合意の精神が再び目覚めれば、計り知れない価値をもたらすかもしれない。
だが、一部の野心的な向きは主要20カ国・地域(G20)が包括合意をまとめる討論の場になり得ると考えているものの、そうした合意に至るまでの道のりは1985年当時よりも不安定になっている。
ワシントンのシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所の所長で、グローバルな経済統治の可能性を常に楽観するフレッド・バーグステン氏は、プラザ合意当時の潜在的なトレードオフが今も存在すると指摘する。
同氏によれば、ドル安によって米国経済を浮揚させたプラザ合意と、その後、ドルを安定させることを決めた1987年のルーブル合意のおかげで、米国政府が多額の財政赤字を削減する自由度が高まったという。
「(当時の米財務長官だった)ジェームズ・ベイカーに、プラザ合意は赤字削減にどれほど貢献したか聞いたら、恐らく10〜20%だろうと言っていた。非常に大きいわけではないが、悪くない数字だ」。バーグステン氏はこう述べ、中国が同じように人民元切り上げにコミットすれば、米国内の財政再建議論が落ち着くかもしれない、とつけ加える。
「先進国クラブ」入りを拒む中国
一方で、違いを指摘する向きもある。カーネギー国際平和財団の客員研究員、デビッド・ロスコフ氏は言う。「1985年の日本は小さな先進国クラブの一員であり、クラブの規則にのっとって行動する用意があった。だが、中国は自身を全く独自の存在だと考えている。これほど規模が大きく多様な経済は、ほかの国々と同じルールには従えないというのだ」
中国商務部系シンクタンクの研究員、梅新育氏は今年、「急激な通貨上昇が中国に与える影響は日本以上に大きいだろう。中国は日本よりずっと初期の発展段階にあるからだ」と語っていた。日本は洗練された企業を抱える先進国だったが、「中国の労働集約型産業は利益率が極めて低いため、大幅な通貨上昇の圧力に耐えられない」というのが同氏の主張だ。
いずれにせよ、中国政府の関係者は大抵、プラザ合意は日本にとって惨事だったと主張する。合意を受け、日銀は円高を相殺するために利下げに動いた。日中両国では多くの人が、この政策変更が日本の1980年代末の巨大不動産・金融バブルを助長し、経済停滞の「失われた10年」が後に続く結果になったと考えている。
中国政府に都合のいい日本のバブル
これに対してバーグステン氏は、「より賢明な中国人エコノミスト」は内々に、こうした主張がまやかしであることを認めており、日本のお粗末な銀行規制の方がバブルの大きな原因だったと言う。それでも、日本の例は確かに中国政府に都合のいい論点を与える。
プラザ合意を成し遂げるうえでも、米国の多大な外交努力が必要だった。米国はG5のメンバーである欧州諸国(フランス、ドイツ、英国)をまとめ上げ、高圧的な態度で日本に協力を迫った。そうした協調は今、当時よりも難しい。
確かに、中国の為替操作については一部のG20諸国からも不満の声が上がっている。欧州連合(EU)は発言を強めており、インドやブラジルの当局者もこの流れに加わった。だが、バラク・オバマ大統領率いる米政権は、彼らを団結させ、中国に圧力をかけるまとまった部隊にすることはできずにいる。
先日、日本が円安誘導のための介入の決断を下したことは、多国間のアプローチに対する支持表明ではなかった。
法律事務所シドリー・オースティンのパートナーで、G20でジョージ・ブッシュ大統領の「シェルパ(首脳の個人代表)」を務めたダン・プライス氏は、G20は2008〜09年の世界金融危機のピーク時には目覚ましい成果を上げたと話す。
現実的でないG20での包括合意
しかし、世界経済を修復するためには、為替レートと財政赤字に関する取り決め以上のものが必要であり、欧州のソブリン債の問題、ドイツの経常黒字、欧州労働市場の硬直性といった問題にも対処しなければならないと指摘する。
「多くのことが達成できるだろうが、G20サミットが一定の尺度と行程表を備えた包括合意でこうした問題をすべて決定的に解決できると期待するのは現実的ではない」とプライス氏は語っている。
◆通貨安競争へ金高騰の警告 9月21日 日経新聞
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE3E6EBEBE5E4EBE2E0E3E2EBE0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
金の国際価格が先週、3カ月ぶりに史上最高値を更新した。ドル資産にもユーロ資産にも不安を感じる投資家や新興国の中央銀行が、金の保有量を増やしている。金高騰は、景気立て直しを焦る各国が輸出に有利な通貨安競争に走ることへの、市場からの警告の意味合いも大きい。
金の国際価格は6月に1トロイオンス(約31グラム)1260ドル台の高値を記録した後、ヘッジファンドなどが利益確定の売りを出して下げ局面に入った。だが、景気回復の足取りが鈍り、デフレ懸念も出てきた米国が8月に追加的な金融緩和を決めると、金価格は再び上昇基調に戻った。
6月まで金価格の上げ材料になった欧州の財政・金融不安も消えていない。さらに、多くの投資家が米国や欧州諸国が通貨安を容認するとみて、ドルやユーロ資産の一部を金投資に振り向けている。
金にも価格変動リスクはある。ただし、実物資産である金には、債務不履行に陥るような信用リスクはない。各国の財政不安が高まるほど、「無国籍通貨」「世界通貨」の性格を持つ金に投資家の関心は向く。
金の調査機関ワールド・ゴールド・カウンシルなどが8月に発表した今年4〜6月の世界の金需要は、宝飾品が前年同期比で5%減る一方、投資需要は同42%も増えた。
個人投資家や、年金基金など機関投資家のほか、中央銀行が準備資産として金の保有を増やす動きも目立つ。中国人民銀行は昨年、自国で産出した金を積み増して金保有量を1054トンへと8割増やした。ロシア中央銀行の6月末時点の金準備は668トンで昨年末比で1割増え、フィリピンやベネズエラの中銀も金保有を増やしている。
国際通貨基金(IMF)が昨年秋から売却を進める403トンの保有金も、インド(200トン)やスリランカ(10トン)、モーリシャス(2トン)、バングラデシュ(10トン)といった国々の中央銀行が取得した。
金価格上昇の背景には、欧米の金融機関やヘッジファンドによる活発な商品投資もある。だが新興国による金保有の増加は、ドル、ユーロなどへの信認の低下の裏返しだ。金高騰が発する通貨・経済政策への警告を主要国は無視してはならない。
(私のコメント)
中国が先進国の仲間入りする事は可能なのだろうか? 中国人自身が人民元を切り上げたら価格競争に耐えられない事を認識している。「中国の労働集約型産業は利益率が極めて低いため、大幅な通貨上昇の圧力に耐えられない」というのは真実であり、中国の貿易黒字の多くが外資系企業が稼ぎ出したものだ。
日本は1ドル=360円から1ドル=80円近くまで切り上げられてにもかかわらず、国際競争力を維持しているが、中国は数年前に20%ほど切り上げましたが、東南アジア諸国との競争に追い立てられる状態になっている。実際多くの外資系企業が中国からベトナムなどへの工場の移転を進めている。
中国が日本のようなプラザ合意の試練に耐えられないのは事実だろう。日本の菅首相は中国をG8の会議に招こうとしましたが、中国の先進国会議入りは無理だろう。その為にG20の会議が作られて、アメリカは中国を引き入れて国際ルールに従わせようとしていますが、中国は中華の民だから国際ルールに従う事はないだろう。
中国が経済発展を続けようとすれば為替の自由化は避けては通れないし、マネーが自由に出入りできなければ経済交流は難しくなる。それでも外資が中国に投資を続けているのは中国が近代国家となり巨大市場になると考えてきたからだ。もしこのまま中国が為替規制を続けてドルにリンクし続ければ中国は国際市場から排除されるだろう。
85年のプラザ合意は日本経済を吊るし上げる手段でもあったのですが、日本は400%以上もの円の切り上げに耐えてきた。しかし切り上げる事によって石油や石炭や鉄鉱石などを安く買えるようになって、二度にわたる石油ショックに耐えたばかりか高度成長の持続にも繋がった。
日本は労働集約型の産業は失ったが、付加価値の高い技術集約型産業に転化する事によって円高に耐えられる産業構造を作り上げた。日本はいつの間にかアメリカやヨーロッパを追い越してしまったのであり、日本はバブル崩壊を20年前に経験しましたが、アメリカやヨーロッパは2年前に日本型バブル崩壊を迎えた。
アメリカやヨーロッパは日本の経験を元に経済対策や金融政策を行なっていますが、結局は日本病に罹ってしまうだろう。FRBは資金供給を続けてBSを膨らまし続けていますが、それは通貨安競争で金などの資産インフレを招くだけだろう。金が高騰すれば石油や他の資源にもヘッジファンドの投機の手が伸びるだろう。
普通ならば景気が低迷すれば石油や石炭や鉄鉱石は価格が低迷するはずですが、アメリカやヨーロッパの通貨供給政策が資源価格の高騰を招いている。石油の高騰で一番困るのはアメリカでありドル札を印刷しまくってばら撒けば自分で自分の首を絞めることになる。まさに小沢一郎が言うようにアメリカ人は単純だから困ったものだ。
ドルもユーロも信用できないとなれば円に買いが集まるわけですが、欧米から非難される為替介入よりも、国債の買いオペを行なって日本も資金供給してバランスを取る政策に切り替えるべきだ。マネーが世界的にだぶつけば投機の矛先は金や石油に向かうだろう。そうなればFRBもドル札を世界中にばら撒く事は出来なくなる。
金融政策は効果がすぐに現れる事は少なくて3ヶ月から1年以上たって現れることがある。中央銀行の金融政策が後手後手に回りがちなのは過去のデーターで金融を決定するからであり、金融政策は逆に3ヶ月先を見ながら金融政策をコントロールすべきだ。
おそらく来月あたりから緊急経済対策の期限が切れたマイナス効果が出てきて危機的状況になるかもしれない。FRBはそれを警戒しているのでしょうが日本型のデフレ不況はアメリカも避ける事は出来ないでしょう。しかしアメリカはデフォルトの誘惑に打ち勝つ事ができるだろうか?
「株式日記」では、アメリカと中国の抱き合い心中するだろうと言う予想を書きましたが、中国が元の切り上げをすれば中国から製品の供給を受けていたアメリカが困る事になる。中国に投資をしていた日本やヨーロッパの企業も困るだろう。しかし中国に代わる国はいくらでもあるのであり、インドやベトナムなど人件費の安い国はいくらでもある。
世界の中央銀行が金を買い始めていますが、ドルを買うよりも金を買って資源価格を引き上げたほうが日本にとってはいいのかもしれない。ドル札はいずれ紙切れになるのでしょうが金は価格の変動があっても金の価値には変わりがない。しかし数千億円もの金を買ったら保管場所に困る事になる。
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