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http://jp.wsj.com/US/Economy/node_94789
最近、米経済の調子がどうも良くない、と思うかもしれない。米連邦準備理事会(FRB)はまさにそう考えている。8月10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBは、それまでの関心事である「いかに若干引き締めるか」から、「いかに若干緩和するか」という新たな課題に政策の軸足をシフトさせた。中央銀行の基準から言えば、この転換は異例のスピードだった。
バーナンキ議長は、FRBの取る手段がなくなった訳ではない、としている。必要に迫られれば、FRBに金融緩和の選択肢はまだある、と。良いニュースは「バーナンキ議長は正しい」ということだ。悪いニュースは、FRBがすでに最強の武器を使ってしまっており、弱い武器しか残っていない、ということだ。バーナンキ議長は、とりわけ3つの選択肢について言及してきた。その3つとは、1)FRBのバランスシートを再び拡大させること、2)すっかり有名になったFOMC声明の「長期にわたり」の文言を変えること、3)銀行準備に支払われる金利を低くすることだ。以下、各選択肢について検証してみる。
出口戦略から再緩和へ
緩和に向けた第1の選択肢は、さらなる資産の買い入れによる銀行準備の拡大、つまり「量的緩和」と呼ばれるものだ。FOMCは、前回の会合で、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が償還期日を迎えても、バランスシートを縮小させずに国債に再投資すると発表、この方向に向けて小さな一歩を進めた。
この発表には、2つの明確な政策転換が含まれている。まずはっきりしているのは、FRBが、出口戦略に必要不可欠な要素であるバランスシートの段階的な縮小を、一時停止させたことである。
次に、量的緩和の目的が変わったことがうかがえる。FRBがMBSのような民間資産を購入する時、FRBは国債との金利スプレッドの縮小を目指している。民間資産の価格を押し上げて、利回りを押し下げる、つまり住宅ローン金利など、民間借り入れ金利を引き下げることにつながる。この観点から言えば、MBS購入プログラムはかなりの成功を収めた。
しかし、FRBが長期国債を購入する場合、長期国債の価格押し上げによる、イールドカーブのフラット化を意図している。この努力も、国債市場の大きさからすると、成功したようにみえる。しかし、これらを合わせて考えると、FRBは、MBS保有を減らし、国債保有を増やすことにより、政策の軸足をリスクスプレッドの縮小からイールドカーブのフラット化に移す、ということになる。このことは、経済にとって悪い取引だと考える。問題は、高いリスクスプレッドであり、高水準の国債金利ではないからだ。
FOMCが量的緩和への「再入場」を真剣に考えるなら、国債ではなく、民間資産を購入するべきだ。「購入対象となる資産は?」との質問に条件反射的に答えるなら、MBSだ。ただ、住宅ローン金利がすでに低水準にあるだけに、どの程度の低下余地があるかは疑問だ。また、若干低下したとしても、不調な住宅市場の活性化につながるかどうかはわからない。
量的緩和にインパクトを持たせるには、FRBは、社債やシンジケートローン、中小企業ローン、クレジットカード債権など様々な資産を購入する創造的な方法を生み出す必要があるかもしれない。ただ、一部の民間企業を優遇せずにこれらの資産を購入することには、深刻な技術上の困難がつきまとう。政治的な困難の方がより大きいかもしれない。このため、FRBにとって、この選択肢の優先度は低いだろう。
言葉に何があるのか
FOMCは、フェデラル・ファンド(FF)金利をゼロから0.25%の間で「長期にわたり」維持する、と2009年3月以来、繰り返し表明してきた。このフレーズは、短期金利がかなりの期間、ゼロ付近にとどまると市場に確信させることによる、長期金利の押し下げ効果を狙ったものだ。
金融緩和のための第2の選択肢は、「さらに長期間、ゼロ付近でのFF金利の維持に努める」ことを示唆する新たな文言を採用することだ。
率直に言って、この方法はもう有効ではないと考える。新たな文言とは何だろうか。「超長期」(Hyper-extended)だろうか。バーナンキ氏は頭が良いので、良いフレーズをひねり出せるだろう。しかし、市場関係者はすでに、「長期にわたり」は、2011年もしくはそれ以降も含むと解釈している。新たな文言が一体どれだけ長く、この考えを引き伸ばすことができるのか。
準備預金金利
FRBは2008年10月、銀行が保有する準備預金残高に対して利息を支払う権限を得た。現在に至るまで、FRBはこの権限を利用している。現在、準備預金に対する金利は0.25%と低いが、財務省短期証券、フェデラル・ファンド、当座預金などの利回りに比べれば、低くはない。事実、銀行はこの低い金利で、約1兆ドル(約85兆円)もの過剰準備を自主的に維持しているのだ。
つまり、第3の選択肢は、準備預金金利を引き下げ、銀行に滞留資金の一部を吐き出させることだ。残念ながら、0.25%からゼロ%では引き下げ余地は大きくない。しかし、そこで終わる理由はない。マイナス0.25%ではどうだろうか。ばかげていると思われるかもしれないが、中央銀行の準備預金残高はマイナス金利の適用もあり得る。
0.25%のマイナス金利が適用された場合、銀行は別なところに資金を移動させるだろう。問題はどこに動かすのか、である。FRBの準備預金口座からフェデラル・ファンド市場に移すだけなら、FF金利はさほど下がらない。08年12月以来の同金利は平均して0.16%でしかない。また、銀行が、財務省短期証券に資金を移した場合、同証券の金利は下がるだろう。しかし、ゼロ付近に下がったとしても、3カ月の同証券の利回り12カ月平均0.11%と比べると、たいした低下ではない。つまり、0.25%のマイナス金利適用は万能薬ではない、ということだ。
しかし、1兆ドルの過剰準備のうち一部が、貸し出しに回ることも考えられる。全体の10%だけでも、銀行貸出が3〜4%伸びることになる。何もないよりましだ。
第4の道
バーナンキ議長が言及していない、第4の策がある。融資に積極的な健全銀行への緩和策だ。銀行監督機関のこれまでの緩い審査を考えれば、彼らが今、銀行融資に厳しい姿勢で臨むのも理解できる。この厳しい姿勢こそが銀行を健全に保っているが、同時に、経済の信用をも枯渇させている。
銀行審査官の相当数は、FRBに勤務している。少々の貸倒れはたいしたことではなく、融資には付き物である、ぐらいの「お達し」が彼らからあれば、少しは、いやかなりの効果が期待できるのではないか。
これがメニューだ。景気が上向かなければ、弱い対策でも早期に打ち出さざるを得なくなるので、FRBは注意深く検討した方がいい。
(ブラインダー氏は、元FRB副議長。現在、プリンストン大学の経済学部教授および国際コンサルティング会社プロモントリー・インターファイナンシャル・ネットワークの副会長を務める)
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コメント
民主党菅政権による単独為替介入から周辺国が徐々に動き始めているようです。今回の為替介入には、いろいろと憶測があり、介入で手に入れたドルの多くを米国債購入にまわすことになるようです。
国債を発行し、その資金で為替介入をし、そしてその資金で米国債を買うという菅民主党政権、国内成長派からみれば、そのような資金、わざわざ米国債など買わず、日本の国債を買えという理屈も理解できるのですが、どうも今回の中国との対立、米国からの思いやり予算、経団連などの市場介入支持などをみていますと、周辺国に菅政権が誘導されているようにも見えますが。
ソロスが、日銀の今回の介入は正しいと発言したことで、財務省幹部も安堵しているようですが、すでに彼らのようなヘッジファンドは、日銀の介入情報を手に入れ、ドル買いポジションを持っていたのかもしれず、大喜びと言ったところなのかもしれません。
日本という国は、外国から見れば気前のいい国だったということかもしれません。黄金の国ジパングというくらい、貨幣価値が高い金、銀などを貿易という形で海外の放出してきました。
欧州などの国民と違い、日本には、それほど金という鉱物に貨幣的価値を見出していないのかもしれません。インドや中国などが、金保持を増やしてきているにもかかわらず、日本は、それに目もくれず、米国債という紙切れに突進していることからもよく理解できます。
ただ、その気前のよさが、これまでに日本が他国の植民地にならなかった原因かもしれませんが。
民主党政権と財務省、日銀は、円高の流れを止めるという、つまりは、単独介入で相場を支配しようとしているようですが、果たして短期的には作用できるのかもしれませんが、長期的トレンドを変えることができるのでしょうか。
それとも、単に米国債を買う口実で、国民批判をまぬがれる口実として手段として使っているのでしょうか。
ポッポ政権に対しては、米国債購入圧力がかなりあり、亀井大臣がなんとかその圧力に抵抗していたのですが、菅民主党政権になり、その姿勢がなだれをうつようにくずれてきています。
今回の中国の対立にしても、中国から歩み寄るまで強硬姿勢を貫くという姿勢がみられますが、第三者的にみれば、中国から見れば今の日本を干し上げる方法があり、それをまず実行若しくは発言しないところをみると、何らかの誘導若しくはそれほど実際は恐慌的態度ではないのかもしれません。
日本の場合、安部元総理等が恐慌的態度を促進していますが、なんとなく以前たどった道をデジャブしているかのようにも感じます。
米国と中国は、じつは後ろで手を繋いでおり中国としては、次の世代への静かなる政権移譲を日本という国を使って利用しているのかもしれません。
日本という国民は、世界のいろいろな民族が流れ、日本という国を形成したともいわれ、その中で主流を占めているのが、朝鮮大陸から流れたもの、中国大陸から流れたもともいわれています。
日本の潜在的勢力争いもその二大勢力が引き起こしているとも言われており、かつ、日本に流れたことによって、流れて持たされた文化が、最高に花開いた地域ともなったのかもしれません。
経済産業省が、麻生政権時代に大手企業に対して海外で儲けた利益に対して日本への移動に対して緩和策をしましたが、考えた以上に日本の大手企業は、日本に資金を戻していなく予測を誤ったという報道がありましたが、今後円高にシフトしようとも経団連などの大手企業の多くは、日本へ回帰しようとしないと感じます。
太平洋戦争後、経済産業省という省庁自体にそれなりの重要な役目があり、通商産業大臣になることが総理大臣になるシフトでもあったのですが、現在は、本当に経済がわかる大臣がなるということでもなく、また、重要なポジションともいえなくなり、経済産業省の衰退が、そのまま国力衰退となりつつあり、そのかわり、財務省などの地位が高くなるにつれて国力が衰退してきているという現状をやはりよく検討するべきかなとも感じます。
今の大手企業のほとんどが国策として成立され、もしくは、選定された企業であり、その多くの企業が、実質は、海外の投資家に牛耳られている現状、経団連などの企業は、国として捨てざるおえない企業であり、新たなる国策企業というものを新たなる市場で形成するべきなのかもしれません。
自民党にしても社会党と連立を組んでから自民党の本来の資質を捨て去っており、民主党にしても労組からの脱却をせずに自由主義的政策にはしりだしており、国内で矛盾を抱えながらの政策実行すら違和感さえ感じてきているのが多くの国民ではないでしょうか。
政府と国民とのかい離現象が今後いつ現れるかによって再度大きな政変がおきるのかもしれません。
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