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価値の尺度は価格であり、それはお金の量なのだから、金融資産の現在価値という考え方はおかしいと思われる方もいるかもしれない。 けれど、日本の金融資産の半分以上は国債や地方債に化けているのであり、実質的に個人金融資産の価値は国債や地方債の価値と同じだと考えるべきなのだ。 昔、アルミ精錬に電気がまだ利用できなかった頃、アルミの価値は金と同等だった。人通りが多く活発な商店街の不動産価値は高いだろうが、もしその商店街が寂びれてしまえば価値は下落するだろう。 つまり、経済的な価値とは常に相対的なものなのだ。 たとえばあなたがAさんに100万円貸したとする。ところがAさんは病気にかかってしまい、財産も事業に失敗してほとんどない。金目のものを処分しても10万円行くかどうかとなれば、100万円の債権の現在価値は10万円になるかどうかということだ。 現在の日本の財政赤字は、地方分を入れるとだいたい1000兆円だろう。民間の住宅ローンなどでの借り入れ分が300兆円から400兆円ほどあると言うから、現金で残っているのが200兆円ほどとなる。赤ん坊からご老人まで入れて国民一人あたりの借金額が公的部門分だけでだいたい700万円ほどになるという。私的な部分(住宅ローンなど)を入れたら国民一人あたりの借金額は1000万円を超えるはずだ。 日本の現在の高齢化率が23%程度。30年後には50%程度になると言う。つまり、毎年毎年、高齢者分の年金・医療などの福祉関係費用が1兆円から数兆円という規模で増加していくことが分かっている。このことは逆から言うと、15歳から60歳までの納税者人口は継続的に減少していくことになる。 国民金融資産1500兆円の内、1000兆円ほどは国債などに化けているから、まずこの国債の分の現在価値が問題になる。簡単に言えば現在価値は今売ればいくらで売れるかだ。しかし、1000兆円もの国債をいっぺんに売りに出したら、買い手はとても出てこないだろう。つまり、値が付かないと言うわけだ。 では、別の評価方法は何かというと、不動産などでやられている収益還元法がある。これは、非常に簡略化すると、「不動産の収益還元価値=その不動産の年間収益÷利回り」となる。 非常に大雑把な数値になるが、1000兆円の国債につく利子を今年の国債費の内の利払い費用と同等と見て10兆円とし、利回りを長期国債の利率2%としてみよう。すると、10兆円÷0.02=500兆円 となる。1000兆円の国債にはさまざまな種類の国債が混じっているのでその利回りは現実には2%ではない。低いものでは1%に行かないものもある。利回りが低ければ低いほど収益還元価値は高くなるし、その逆も正しい。つまり、国債の買い手が多くいれば、利回りが低くても売れるが、これは収益還元法で見たとき、現在価値が高いからだ。買い手がつかなければ利回りを高くしなければならず、この時収益還元法で見た現在価値は低くなる。 さて、1000兆円の国債の現在価値は500兆円だった。住宅ローンなどの分はそのまま回収できると考え、現金分は勿論そのままなので、現在の国民金融資産1500兆円の現在価値は1000兆円となる。 国際会計基準が数年の内に適用になるが、これは時価評価を基準としている。つまり、現在価値だ。大手の銀行などはみな国債を10兆円単位で持ってるから、国債が暴落して発行利率が暴騰すればいっぺんにその現在価値が低下してしまう。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<177>>
日本の個人金融資産1500兆円の現在価値は?
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