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日刊ゲンダイ 09月17日 掲載
【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】為替の安定に必要な現代版「バンコール」
新しい国際通貨が決済システムを変える
政府日銀が為替介入に踏み切った。これによって円高の流れが変わればいいが、状況は楽観できない。米国経済はボロボロで、ドルの信頼は地に落ちている。そんな通貨を中心に据えている限り、為替市場の安定は困難だ。
1929年の大恐慌のあと、激烈な為替戦争が勃発した。当時は、世界の中心だったポンドと、新興勢力であるドルの戦い。かろうじて金との交換を続けていたドルが勝利し、36年に英米仏による3国通貨協定が成立した。
現在の市場は、当時と同じぐらい不安定だ。米国は世界のGNPの7割を占め、金の保有量も圧倒的だった時代とは違う。基軸通貨のドルは崩壊し、世界は新たな決済システムを求めている。だが、金と交換できるか、それに準ずるほどの力がある通貨は存在しない。
現状は為替戦争に発展する可能性が濃厚でも、ドルに取って代わるものがないのだ。単一国家の通貨を基軸通貨にする限界は明らかである。
ドルが金との交換を停止した71年以降、欧州では、為替の大幅な変動による混乱を回避する方法が考えられてきた。79年に立ち上がったEMS(ヨーロピアン・マネタリー・システム=欧州通貨制度)は、欧州経済共同体の加盟国が相互の為替変動幅を2.25%以下に抑えるというもので、99年のユーロ導入まで続いた。
日本も、通貨の安定を考えるなら、EMSを参考にしたAMS(エイジアン・マネタリー・システム)の導入を急ぐべきである。日中韓3カ国が協力し、通貨の変動幅を一定範囲内に収める協定を結べば、ASEAN各国も相次いで参加する可能性は高い。為替変動に経済が振り回される状況を変えるには、ドルに頼らない決済システムの構築が必要である。
米国の思惑を無視してドルにひじ鉄を食らわせるのは勇気がいるし、尖閣諸島で反日感情を募らせている中国と肩を組むのも簡単ではないだろう。だが、この難問をクリアしない限り、為替の安定はない。
基軸通貨のポンドが崩れたとき、英国の経済学者ケインズは、新しい国際通貨「バンコール」の導入を提唱した。これはドルを基軸通貨に据える米国のハリー・ホワイト財務次官補の案に退けられて日の目を見なかった。だが、ドルに縛られないAMSが成立すれば、それが「現代版バンコール」の橋渡し役となる可能性は高い。
円売り介入でマーケットと丁々発止を繰り返しても、為替問題の解決にはならないのだ。
【高橋乗宣】
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