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通貨システムの世界的崩壊:量的緩和策が行き着く先
金融津波の第2波の到来が間近?
◆9月3日
今年の第2四半期までにアメリカ経済が崩壊し始めると語ったマティアス・チャン氏は、今現在生じているアメリカ経済が氏の説をほぼ裏付けている、と見ている。そして今後、その傾向はより一層顕著になり、2011年の第1四半期までに大銀行の破綻が相次ぐと見ている。
勿論、正確にその時期までにそのようになるかどうかは、常に未知数であることはそのとおりであるが、諸般のデータなどから見れば、細かい部分や時期のずれなどは多少あったとしても、傾向としてはそのような事態が生じるベクトルが強まることは間違いないであろう。
あらゆる彌縫策(びほうさく)を動員していままで、延命してきたのだが、その延命策も万策尽きようとしているわけだ。最後の延命策として、もう一度大規模量的緩和策を行う、すなわちドルの大量印刷(別に実態的にドル札を印刷するわけではない)でしのぐ方法があるかもしれないが、さすがにその時は、ドルの価値の激減から、アメリカはハイパーインフレに見舞われる危険性があるだろう。
シロアリに内部を食いつぶされた巨木がしっかり立っているように見えても、その腐った幹を支える力より大きい力を持つ風が吹けば、倒壊するように、やがて金融シロアリに食いつぶされた巨大なアメリカ経済はゆっくりと倒壊していくことになるかもしれない。
その巨木が倒壊する響きでその他の巨木群も次々と倒壊し始めることなるのかもしれない。これが「金融津波」の第2波を形成することになるだろう。第1波の10倍の規模で我々に迫ってくるはずだ。
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●通貨システムの世界的崩壊:量的緩和策が行き着く先
今から2011年第1四半期までの間に「大き過ぎて潰せない」大銀行が破綻する
【8月31日 by Matthias Chang】
私の記事の読者は、金融の津波が2007年に世界経済を襲った時、2006年12月に、世界的大銀行が破綻すると私が警告していたことを思い出しただろう。
連邦準備制度理事会議長のベン・バーナンキ議長によって進められた量的緩和策は、法廷通貨銀行システムの避けられない破綻を18ヶ月引き延ばした。
それで、2009年11月、私は読者に対して、早ければ2010年の最初の四半期、遅くとも第2四半期までに、世界経済は崩壊し始める、と自信を持って警告した。「最近の成長ペースは期待していたよりか鈍い」、とバーナンキ議長の語った言葉に示されているように、アメリカ経済がスローダウンし始めているという事態が私の警告が正しかったことを示しているだろう。議長は、展望は不確かで「経済は予期せぬ事態に対し脆弱なままである」と警告している。
確かに、バーナンキの言葉は、ワイオミングのジャクソン・ホールの年次総会に集まった中央銀行の銀行員や金融エリートたちの恐れを完全には示していない。しかし、彼らが非常に恐れているということは私が保証する。
◆何故か?
はっきり説明しよう。「予期せぬ事態」とバーナンキが言ったことは、世界的銀行の破綻のことである。これが、連邦準備制度理事会(FED)の言ったことであり、緊急の警告である。多くの有名なエコノミストたちは量的緩和策の目的と結果の診断を誤った。中央銀行の銀行家らの宣伝係りと世界的マス・メディアは、人々に量的緩和は銀行に資金を必要としている企業に貸し出しをさせることで、経済の活性化を図ることができると言って騙したのだ。低金利政策は皆に借金させるようにさせ、消費し投資するよう鼓舞する。
これはお伽話だった。
そして、エコノミストの中には、FEDの印刷機械(電子的にせよなんにせよ)をフル稼働させることでハイパーインフレーションがまもなく始まってしまうのではと恐れだす者も出てきた。
しかし何も起こらなかった。宣伝された効果は現れなかったのだ。銀行の貸し出しは行き詰まった。
◆何故か? 何が起きたのか?
簡単な言葉で一つ一つ説明することにしよう。
1.全ての世界的銀行は有毒アセットに焦点を絞っていた。あらゆるスリーAの不動産担保証券などだ。しかし実際はそれらはジャンク債権なのだ。しかし銀行のバランス・シートあるいは彼らの特定目的事業体では、数兆ドルの価値あるものとして記載されている。
2.リーマン・ブラザースとAIGの崩壊は、この醜い実体を露にした。あらゆる世界的銀行は数兆ドルの負債を抱えていた。彼らは全て、【支払不能】なのだ。イギリスのノーサーン・ロック銀行で起きたようにもしそれが明らかになると銀行が破綻することを恐れて、世界中の中央銀行は世界的銀行の抱えている負債総額を暴露することをしないという点で合意することにしたのだ。
3.バーナンキが中心になって世界的銀行を支援し、システマティックに有毒アセットを放出させる不正なたくらみがFEDによって組まれた。そうすることで銀行は部分準備制度における支払い準備率を確保できるようになり、銀行業を継続できるようになる。これが中央銀行による銀行の救済のエッセンスである。
4.この不正なたくらみはFEDによる量的緩和(QE)によって実施された・・・銀行からの有毒アセット購入である。FEDは無から通貨を生み出して、その通貨を使って銀行からジャンク債券、良くて10分の1の価値しかない有毒アセットを買い取ったのだ。今や、FEDがかつては銀行が持っていた有毒アセットを持たされている。しかしこれらの銀行は、こういった実情を公開したり認めたりすることができないのだ。これは金融茶番劇である。
5.単純な論理に従えば、量的緩和の結果、資金を手にして生気を取り戻した銀行は、資金を必要としている消費者や現金を必要としている企業に貸し出したかもしれない。しかし、資金はローンとして貸し出されなかったのだ。ではどこにその資金は向かったのか?
6.その資金はFEDに準備金として回ったのだ。FEDは数兆ドルの価値の有毒アセットを買い込んでから、銀行が持つ金(FEDの会計簿上の記載だけの話)は、「超過準備」として扱われていたのだ。これは不適切な名称だ。それは銀行が部分準備制度において現金を豊富に持っていて数兆ドルのローンを組めるという幻想を与えることになる。しかし彼らはそうしなかった。何故だろうか?
7.それは、世界的銀行は、まだ彼らのバランスシート上では、数兆ドルの有毒アセットを抱えているからだ。彼らは未だに部分準備制度法の下では支払い不能なのだ。一般人にこのことを知らせてはならないのである。さもないと、世界的銀行の大規模な破綻の引き金を引くことになるだろう。
8.バーナンキ、財務省、世界の中央銀行は皆祈りつつ与えられた時間(彼らの予測として12ヶ月から18ヶ月)内で、住宅市場が回復しアセットプライスが危機の前のレベルに戻ることを願っている。
説明しよう。一軒の住宅が例えば50万ドルで売却されたとしよう。借り手は45万ドルあるいはそれ以上のローンを手にする。住宅は現在20万ドルかそれ以下となっている。これを数百万の住宅として勘定して、2000年から2008年にかけて売却されたとすれば、ブラックホールの規模がどれほどか理解できるだろう。どんな銀行であってもこの巨大な問題を乗り越えることはできない。そしてFEDや世界の中央銀行がそのような有毒廃棄物を量的緩和を通して、自らの手を見せないで、あるいは自分達の銀行が支払い可能であるという嘘がばれないようにしたまま買い込み続けることはできない。
これは私の予想だが、彼らは少なくとも20兆ドルほどの量的緩和が必要である。FEDと中央銀行は敢えて、国家的な債権者や投資家あるいは預金者の疑惑やパニックを惹き起こさずに「それほどの額の資金を無から作り出す」かもしれない。全ての銀行は破綻していると正式に宣言することと同然なのだ。
9.しかし、QEUという量的緩和の大勝負をもう一度やってみるという以外の、短期あるいは中期での他の解決法はない。上記の警告通りにことがなされるとして、このQEUは、最初のQET以上のものではありえない。そうしないとパンドラの箱をひっくり返すことになるからだ。
10.しかし以下の点も理解されている点だ。FEDは、部分準備銀行システムの下でQEUを行うであろう。もしも、FEDが追加の有毒廃棄物を買い込まなければ、世界的な銀行(膨大な差し押さえに直面している)は支払い準備金が足りなくなって破綻することになるだろう。
11.FEDはその危機の真っ只中で、金利はいわゆる「超過準備金」に対して支払われると発表したことを思い出すだろう。そうすることでこれらの銀行は利息を得ることができたのだ。だから、我々が見ているのは、右から左のポケットにコンピューターのマウスのクリック一つで移動する資金のメリーゴーランドなのだ。FEDは資金を作り出す、それを有毒アセットの購入に使用する。同じ金が今度は利息を獲得するためFEDに大銀行から戻ってくる。この量的緩和というフィクションによって、銀行は資金で蘇り利息を獲得することができるようになる。だからこういった銀行が記録的な利益を出したと言う話は驚くべきことではないのだ。
12.世界的な銀行は損失を出さずにいくらかの有毒廃棄物を処理することができた。またその有毒廃棄物を処理した金で利息を獲得することができるようになった。またいくらかの金はこれらの銀行によって、利息のもらえるアメリカ国債購入資金に充てられた。国債購入資金は今度は財務省に自らの負債の支払いの資金になった。これが世紀の救済ペテン作戦なのだ。
これで皆さんはこの詐欺行為を理解されたであろう。今後はFEDがどうやって次の量的緩和策をうまくやりぬけるか、だ。QEUだ。
明らかにFEDと他の中央銀行は、アセットプライスが回復して危機前の元の価値を取り戻すことを願っている。それは夢物語なのだ。QETが銀行を救うことに失敗したようにQEUは失敗するだろう。
この患者は、集中治療を受けているし、どの点から見ても脳死状態なのだ、ただし心臓はまだ血液を弱弱しく送り出してはいる。「大き過ぎて破綻させられない」銀行は、救うことはできないし清算されねばならない。それは痛みを伴うが、回復するためには必要なことだ。これは当然である。
◆警告
2011年のいつか、天井を打ったならば、大規模な銀行の破綻が起きるだろう。私はFEDと他の中央銀行はそのような破綻を先回りして、次のような手を打つだろうと予想する。
1.銀行からの現金引き出しに、例えば一日に1000ドルまでとかの上限を設ける。
2.ある処理での例えば1万ドルまでといった現金の取り扱いでの制限をする。
3.金属(金と銀)への投資の処理は制限される。
4.最悪のケースのシナリオ? 第2次世界大戦時にあったような金(ゴールド)の没収。
5.金融統制を実施する
6.日常の現金処理をデビットカードかクレジットカードの処理にさせる法案を作る。
7.上記に対する違反行為を犯罪行為とする法案を作る。
◆解決法
銀行残高を上記の案件に対応できるだけの十分な内容にしておくこと。
自分のアセットをドル・アセットから変えて多様化させる。上記の案件が少しでも成立しそうな場所では外貨を十分に持つこと。
◆結論
これから第2次の金融津波がやって来る。それは世界がかつて経験したことのないようなものとなろう。そして世界的銀行は破綻する!
準備を怠らないように。
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2010/09/03 (Fri) 経済
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