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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu222.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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FRBは、米国債の購入再開に踏み切った。ワシントンはドル安を容認
しているが、当局者も内心はいつ米国債急落に転じるかびくびくしている。
2010年8月31日 火曜日
◆戦略的円売り介入を提案する アジアと協調して危機再発防止 8月29日 田村秀男
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/1768495/
◆円高要因は資金の偏在
政府・日銀は、円高ドル安の進行になすすべもない。必要なのは米国、さらにアジアを巻き込む「戦略的市場介入」である。
これは、外国為替市場で大規模で継続的な円売り介入を行うことを指す。
デフレ脱却と国際金融市場の安定の双方を達成するのが狙いだ。
今の円高局面は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2008年9月の「リーマン・ショック」後、それまでの2・3倍も市中に流し込んだドル資金が行き場を見失い、国債など限られた「商品」に集中していることが原因である。
日本は世界最大の債権国として経常収支の黒字基調が定着しており、構造的に円高に向かいやすい。通貨価値を減らすインフレを忌み嫌う日銀は約20年間、物価が下がり続けるデフレを容認する基本姿勢を墨守している。このため、外国の投資家には「日本が円高誘導をしている」と映る。
原油や穀物と同様の“国際商品”として売買される円はもうかる確率が高い。だからこそ、投資家は大量の円買いに踏み切るわけだ。
この流れに引き込まれ、国内銀行は前年比で10兆円前後も貸し出しを減らす一方、前年比で30兆円前後も国債を買い増している。
国内の円の過剰資金は国債に向かって滞留し、生産や消費、設備投資に回らない。そして、デフレ不況が深刻化するという悪循環に陥っている。
もとはといえば、円高サイクルは、ドルというペーパー・マネーの増刷に始まる。
米国は、マネーが住宅市場や株式市場に回るようにすれば「景気が上向く」というシナリオを描いた。
ところが、7月の住宅販売件数は1963年以来、最低の水準にまで落ち込んだ。
かくなるうえは、より一層のドル安と低金利誘導策を進めるしかない。日本が無定見に円売り市場介入に踏み切ったところで、米国は突き放すだろう。それだけに、冷静かつ沈着な思考が欠かせない。
まず、米国債の動向である。グラフが示すように、ドル安になっても余剰資金は米国債に向かっており、米金利を下げている。投機とはいえ、原油先物も売られている。
余剰ドルを運用し、短期的な利益を狙う投資ファンドはいずれ何らかの理由で米国債を売り、原油先物を買う挙に出るだろう。ドル安下で米国債が急落すれば、オバマ政権が慌てることは過去の例から見ても明らかだ。
ドル安誘導の揚げ句、1987年10月19日の「ブラック・マンデー(暗黒の月曜日)」と呼ばれるドル、株、国債のトリプル暴落が起き、世界の市場を震撼(しんかん)させた。
93年に発足したクリントン政権は通商摩擦で日本たたきと円高促進策をとった。しかし、米国債は94年1月までの1年3カ月の間、2・5ポイントも利回りが上昇し、クリントン政権は95年半ば、「強いドル」政策に転じた。
オバマ政権のドル安容認政策は、米国を含む世界の金融市場に大災厄をもたらすマグマを鬱積(うっせき)させている。円高・ドル安阻止の政策に日本が米国の同調、もしくははっきりした承認の意思表示を求めるのは国際責任でもある。
米国債が暴落の危機にさらされたとき、日本は豊富な円資金で米国債買い支えのために機動的に出動できる。北朝鮮問題など政治、軍事両面から緊張関係をはらむ米国債の最大の保有国中国は、米国債購入の見返りに外交上の対価を求めてくる恐れがある。それは、オバマ政権も分かっているはずである。
◆国家戦略が必要
円高の日本と逆に、新興国の多くはドル安の流れが逆転したときに起きた97年のアジア通貨危機の再来を恐れている。
筆者は先週、ソウルで開かれた日中韓経済協力に関する民間団体主催の国際会議で、李明博大統領直属の規制改革委員会の安忠栄委員長に会った。
韓国は11月に、20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)を主催する。
同委員長によれば、最大の合意目標は「米英の投機による犠牲にならないための方策」だという。
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓による通貨交換協定「チェンマイ・イニシアチブ」を拡充して通貨安定基金を創設し、国際的な通貨協調の枠組みを整備するのはこのためだ。
それならば、日本は円売り・ドル買い介入で得た巨額のドル資金の多くを通貨基金に移管すればよい。介入資金は国内の貯蓄ではなく日銀資金で調達できる。
日本の市場介入はアジアに還元され、金融の量的緩和効果によるデフレ対策にもなる。
日本に必要なのは、強固な意志に基づく国家戦略なのである。(編集委員・田村秀男)
◆ドル安・円高修正の鍵は米国債 8月23日 田村秀男
http://tamurah.iza.ne.jp/blog/entry/1759198/
「円高はいつまで続くのでしょうか」−。よく聞かれる質問だが、小欄の答えは「簡単ですよ、米国債が急落するまでです」。
なぜか。ワシントンが一番困るのは、ドル安が転じて米国債が売られ、長期金利(国債利回り)が急騰するときである。
そうでない限り、ドル安は米産業界の国際競争力を改善し、ひいては雇用の増大に結びつくとオバマ政権は判断して放置する。
日本が円高・ドル安の進行に歯止めをかけるため、外国為替市場でドル買い、円売りの介入で米国通貨当局に協調を呼びかけても、うんともすんとも応えるはずがない。
基軸通貨ドルを支配する米当局の影響力は日本を圧倒しているのだから、米国がその気になるまでは、ドル安・円高が進むわけである。
逆にドル安につられて米国債が急落し始めたら、真の意味でのドル危機に直面する。
米国債の発行残高はこの7月末で13兆2400億ドルで、年間で2兆ドル近く増えている。
国債を2兆ドル追加発行する場合、金利が1%上昇するだけで200億ドル(日本円換算で約1兆7000億円)の財政負担増になる。
民間景気への打撃は大きい。
10年もの国債利回りで代表される長期金利は国債相場の下落とともに上昇する。すると、米国債に連動する住宅ローン金利を押し上げ、住宅市場を直撃する。
米住宅市場は2001年から08年9月のリーマン・ショックまで続いた空前の米好景気の牽引(けんいん)車だった。
住宅市場はここにきてようやく下げ止まる兆しが見えているが、金利が上昇し始めると、二番底に突き落とされかねない。
さらに金利に敏感な株式市場も急落する恐れがある。企業の設備投資意欲もさらに冷え込むだろう。
■FRBが米国債購入再開
オバマ政権も米連邦準備制度理事会(FRB)も米国債の市場動向に神経質になっている。
特にドル安のもとでは、米国債はちょっとしたきっかけで下落しかねないもろさをはらんでいる。
FRBはそこで、米国債の購入再開に踏み切った。ワシントンはドル安を容認し、放置し、平静を装っているが、当局者も内心はいつ米国債急落に転じるかびくびくしているに違いない。
言い換えると、ここまでドル安を放置できたのはリーマン・ショック後、米国債市場がドル安下でも不安定にならなかった背景がある。
グラフをみてほしい。「リーマン」危機が起きた08年9月15日を起点とし最近までの米国債の標準である10年もの国債の利回りと円ドル相場の推移である。
この特徴は、ドル安になっても米国債利回りが下落する、つまり米国債が買われる局面が目立つ点である。
リーマン直後、ドルは急落し米国債相場も急落し10月半ばには利回りが年4%を超えたが、その後下がり始め12月初旬には2.08%を付けた。この間、急速に円高・ドル安が進んでいた。
その後ドル相場は反転したのに、米国債は売られ、次第にドル安に転じていく。米国債利回りはことし4月初旬に再び4%台まで上昇したが、それをピークに下がり現在に至る。
以前に米国当局がドル安政策を転換したときは、米国債が急落するか不安定になったときである。
代表的な例が1987年10月19日の「ブラック・マンデー(暗黒の月曜日)」と呼ばれるドル、株、国債のトリプル暴落事件である。
このとき米国債利回りは年初に比べ3ポイント上昇し、2けた台に上昇した。
当時のJ・ベーカー財務長官はあわてて日本に米国債やドルの買い支えを要請し、日本は超低金利政策を長期化させ、不動産や株のバブルを日本国内に引き起こすきっかけになった。
1993年に発足したクリントン政権は通商摩擦で日本たたきと円高促進策をとった。
しかし、円高・ドル安のプロセスで米国債は下落し、94年1月までの1年3カ月の間に2.5ポイントも利回りが上昇した。
95年4月19日に1ドル=79円台を付けたあと、クリントン政権は政策転換し、日本と合意して円高是正に応じるようになった。
■相場の安定支える中国
リーマン・ショック後の現在、米国債がドル安にもかかわらず買われ、安定している背景には中国の存在が大きい。
中国は世界最大の米国債保有国で、その保有シェアは市場で流通している米国の国債8.7兆ドルのうち約15%に上る。
中国はリーマン・ショックが起きるや、米国債の買い増しを進め、その後は一時的に売却してもちゃんと米国債相場の安定を損なわない配慮がうかがわれる。
中国は米国債の売買を切り札に、ワシントンからの人民元切り上げ要求を巧みにかわしている。
これをみた投資家の多くがドル建て資産では株式に比べ相場変動リスクが少なく換金が容易な米国債を選んで運用しているわけである。
オバマ政権はこうして注意深くドル安政策を継続している。
日本は米国債相場が不安定になったときの対米協調などを約束することで、米国を説得し、円高是正策で同意を取り付けるしかなさそうだ。
(私のコメント)
日銀が動いた事で昨日は円安株高に動きましたが、今日はまた元に戻ってしまった。投機筋にとっては日銀砲が打たれることが一番恐いのですが、想定内の対策ではドル安円高の流れは止められないだろう。アメリカ政府にしてもドル札をばら撒いても米国債が売れているうちはばら撒き続けるだろう。
アメリカにドル安政策で困るのは日本ばかりではなく中国も大量のドルや米国債を抱えているので困っている。ならば日中が共同してアメリカに対してドル安は止めてくれと圧力をかければいいのですが、菅政権ではアメリカの目が恐くてそれが出来ない。小沢一郎なら出来るかもしれませんがアメリカが黙ってはいないだろう。
アメリカ政府や投機筋が一番恐れている事は日中が連携してアメリカに対抗してきた時であり、これ以上ドルは買わないとか米国債を売るとか言ってきたら第二のブラックマンデーがおきるだろう。現在のところ日本や中国がドルや米国債を買っているから投機筋も米国債を買っているのですが、FRBが買い始めていることはかなり危険信号だ。
アメリカもまた失われた10年を体験するのだろうか? 金融緩和によってドルが大量に供給されましたがドルは市場には流れず国債に還流してしまっている。これでは金融緩和も意味がないのですが、金利が下がっても銀行は貸さないし消費者もローンを返済を最優先している。ここまでは日本と同じ道をたどっている。
アメリカの消費者は住宅も車も買わなくなりむしろ手放し始めている。だから中古住宅も予想以上に売買戸数が減ってしまった。過剰な在庫は先行きも値下がりする事が見込まれるからだ。車も古い車を乗り続けて新車はあまり売れないだろう。日本と同じく助成金制度がなくなれば車の売れ行きもがた落ちする。
もはや市場としてのアメリカは縮小していく一方であり、日本はアジアなどの新興国向けに市場を開拓していくしかないだろう。このような経済的な流れが外交にも微妙に影響してくるのですが、アメリカもまたアジアなどの新興国市場に輸出して景気回復をしなければならない。その為には一方的なドル安は日本も中国もASEAN諸国も受け入れられないだろう。
アメリカはもはやドル札を刷りまくって借金しまくって世界中から物を買う余力はなくなった。世界の債権国からカネを返せと言われたらアメリカは破綻する。日本はこのような米中の力関係の変化を利用して一方的なドル安政策に対してブレーキを掛けさせるべきだ。
このような意味でアメリカは日本の中国接近を恐れるのですが、日本に民主党政権が誕生したのは時代の流れだろう。日本はチャイナカードを利用して一方的なドル安に対して圧力をかけるべきだ。中国も一方的なドル安を苦々しく思っている。アメリカはそれに対抗して米中冷戦を構想しているのかもしれませんが、中国はドルや国債を一気に売ってくるかもしれない。だからアメリカは中国に言いなりになっている。
このような米中の力関係の変化が日米の力関係の変化に繋がってくるのですが、日本の政治家にはそこまでの策士はいない。田村氏はアジアに通貨安定基金の創設を提言しているが、ドルに頼らない通貨体制を模索すべき時が来ているのだろう。ドルの基軸通貨体制が崩れれば基軸通貨も多極化して安定した通貨で決済がなされるようになるだろう。
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