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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4275
アメリカ経済学会(AEA)の年次総会をご存じだろうか?
世界中の有力企業が優秀な人材を求めて大集合
「経済学者の会合」は、表の顔。世界有数企業の人事が最も熱くなる年明け早々のリク ルートイベントが、裏の顔である。
国際通貨基金(IMF)や世界銀行(世銀)、欧米の有力企業であるゼネラル・エレクト リック(GE)やBP、そしてサムスングループをはじめとする韓国の企業など錚々たる
企業の人事担当が、世界の有名大学院で博士号を取得した優秀な人材をAEA総会で待ち 受けている。
最高の頭脳には多くの企業が群がり、争奪戦が起こるのである。
少しでも良い人材を採るために、筆者が以前勤めていた外資系企業では、10人を超える 経営層と人事採用者がAEAの年次総会に臨んでいた。
世界の中で、国際経済情勢を他社よりもより正確に分析し、企業経営に生かそうとする のは、生き残りをかけた世界企業の常識である。
ゴールドマン、マッキンゼーに内定した学生をサムスン、LGが引き抜き
場所は変わり、欧米各国に広がる有名ビジネススクールのキャンパス。MBAコースを提 供する欧米のビジネススクールでは、
大規模なMBA学生への求人フォーラムを開催する。
欧米の有名企業はもちろんのこと、韓国のサムスン電子やLG電子は、
1990年代後半から欧米のトップビジネススクールの就職フォーラムに積極的に参加し、 少しでも多くの優秀な人材を取り入れることに必死になっていた。
筆者が感心したのは、韓国企業の一部が、ゴールドマン・サックスやマッキンゼーに
内定が出ている20代半ばの欧米の学生を、年収1500万から2000万円の高額で自社に
釣ろうと必死になっていることだった。
リーマン・ブラザースを買収した野村証券が、国際コミュニケーション力(高い英語力 を含む)のある優秀な新卒者を年収約600万円で採用することが話題をさらっている が、飛び抜けて優れた人材を自社で争奪することは、能力にふさわしい給与を支払う
世界の常識に少し近づいただけである。
日本企業だけが蚊帳の外
こうした熱気が満ちた会場に、残念ながら日本企業の姿は見当たらない。
日本企業は、国際コミュニケーション力のある世界水準の人材を採用するだけの人事制 度を整備していないし、日本人以外の人材を積極的に採用しようともしない。
楽天が社内言語を英語にしたというニュースが大きな話題になる国である。シンガポー ルや香港であればまず話題にも上らない。
国際コミュニケーション力がより問われるようになる中、日本から世界に飛び出す人材 が確実に減ってきている。
日本の高校生が海外の大学に進学する状況を見てみよう。国際教育研究所(IIE)によ れば、1996年の日本から米国への留学生は4万6292人いたものの、2008年の日本からの 米国への留学生は、2万9264人と大きな減少。
米国へ日本の2.5倍の留学生を送る韓国
一方で、韓国においては、1996年当時こそ米国への留学生は4万2890人と日本と変わら なかったものの、2008年にその数は7万5065人、日本の約2.5倍である。
そして、この人数は年々増え、日本と全く逆の状況と言える状況である。内向きな日本 に対し、韓国は完全にグローバル化時代に合わせたシフトを行っている。
こうした日本の若者の内向き傾向も、実は日本企業の人事制度が主因である。
多くの日本企業では依然リクルーター制度を採り、相も変わらず、その企業の役員など が卒業した大学からの採用が中心になっている。
ハーバードより東大、慶大がいい
米国のハーバード大学を卒業した学生よりも、東京大学や慶応義塾大学を卒業した学生 の方が明らかに就職上有利なのである。
当然、日本の経営層に海外の大学出身者はほとんどいないので、海外の大学についての 知識も少なく、海外大学出身者が採用されるのは至難の業である。
そして、新卒者には、能力差があったとしても、年功序列的な発想から均一の給与を
出すのである。
こういった状況をしっかりと見ている日本の高校生やその保護者が、高い学費を払って まで海外の大学に子供を送ることは考えられないだろう。
一方、韓国の主力企業では、ソウル大学よりもハーバード大学出身者の方が
国際コミュニケーション力等に秀でていると評価され、
給与も待遇もいい形で入社できる。
楽天や野村証券に期待したい
日本企業の人事制度は、このままガラパゴス化が続くのであろうか?
恐らくしばらくは続くと考えられるが、その中で、小さな一歩ではあっても
野村証券や楽天の試みにはやはり注目をしたい。
国際コミュニケーション力のある人材に対して能力に応じた世界標準の給与体系で
遇し、採用した人材をレバレッジとして会社の国際化を進める。
結果として、楽天の目指す社内公用語を英語にすることも可能であり、世界水準の
給与を日本で得ることを目指して海外の大学に進学する学生も増えるであろう。
新卒採用は、その企業の10年先、20年先、そして30年先を決める。韓国や中国、
インドなどアジア企業の急速な台頭で、グローバル化はこれまでにないスピードで
進み始める。
日本の企業がその中でしっかりと競争力を維持、拡大するためには、
採用の革新が欠かせない。今やらなければ、間に合わないのである。
そして、企業が変わらなければ、教育現場はなかなか変われない。
その先はすなわち、日本全体の沈下が待っていることになる。
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