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通貨発行権を行使して例えば1兆円を政府が得て、それをたとえば低所得層へ配ったとします。1兆円規模ですから、人口の1割、1200万人に配ったとして、一人10万円行きません。確かにその月か又はその月ともう一月ぐらいは生活が安定するでしょうが、それで終わりになってしまうでしょう。特に、その1兆円が呼び水になって経済が上向くかと言ったらそうではないのは、今までの経験からあまりにはっきりしています。仮に、100兆円だったらどうでしょうか?一人1000万円近くを人口の1割の方たちへ配ることが出来ます。これだけあれば、職業訓練を落ち着いて受け、安定した職業を得ることも可能になるかも知れません。 しかし、100兆円という規模で資金が市場へ出ていけば、確実にかなりのインフレになります。労働の裏付けのないお金が社会に出ていくのですから、それによって、労働の価値が下がるわけです。それは、労働の裏付けを持った今までの貯蓄をも傷つけてしまいます。「私たちが一生懸命働いて、倹約してやっとお金をためているのに、あの人たちはただ貧乏だからと言って政府から1000万円ももらえるのなら、私たちの頑張りはなんだったの?」という意識が働くからです。今まで100円だったものが200円になれば、100万円の貯金は50万円の価値しか持たなくなります。 つまり、仕組みから言って、政府の通貨発行権によるお金は、どうしても小規模なものしかできないのです。大規模にやろうとしたら、それは、今までの経済の仕組み自体を壊すことになるからです。 お金というものが、人々の労働のやり取りにおいて、労働そのものを肩代わりするというお金の定義から言っても、このことは明らかです。 今現在、アメリカでは、FRBが無限の通貨発行権を持ち、彼らがほぼ無制限にドルを印刷して米国債を買っていますが、必ず、これは、資本主義という仕組みそのものの破たんを招くと思います。資金の供給に一定の流れを作り、それが社会一般へ流れないようにしているので、インフレにはなりませんが、逆に、その資金を握ったものが非常に大きな権力を持つことになり、それが権力の腐敗を招くからです。彼らは魔法の印刷機を持っていて、それによって幾らでも他者の労働を買うことが出来る。これは、明らかにこれらの人々を特権階級にしてしまいます。そして、ただ単に富を無制限に持つというだけなら、欲望が無制限に膨らみ、彼ら自身を破壊するのです。 人間に差があるのは事実です。身長も違えば体重も違う。同様に、さまざまな能力も異なり、財産も異なるのです。ただ、それがあまりにも大きくなってしまうと、それは、社会全体に歪みを生じさせるわけです。身長が10mもある人がいたら、今のあらゆる社会的仕組みは作り直しが必要になってしまいます。家の玄関ばかりでなく各部屋の天井も、布団や机、椅子、車、自転車、それこそあらゆるものが混乱するでしょう。同様に、あまりに財産がある人が出てきて、その人が他者を自由に操れるようになれば、今までの社会の仕組みは壊れてしまうのです。 もともと、人間は、一定の差異はあっても同じ人間です。そういった人間が作る社会もある程度の格差はあっても、あまりに極端な差があることを許容できないのです。 つまり、政府の通貨発行権によって政府が無限の富を手に入れると言うやり方は、まさに、一定の人たちが無限の富を手に入れることであり、それは人間社会の破壊につながっていきます。 政府に金がなければ、富裕層がそれを供給する。これは、ごく普通のことです。少なくとも、日本のように所得税がかなり低く抑えられているとき、それを引き上げて政府が税収を確保しようとすることはごく正当なことであり、それしか財政再建の方法はないと言えるはずです。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<112>>
通貨発行権を行使すれば国家は破産しないはなぜ間違えか!
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