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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16670720100806
[東京 6日 ロイター] クレディ・スイス証券のチーフ・エコノミスト、白川浩道氏は、外国為替市場で進行するドル安/円高について「80円割れは想定しにくい」としながら、円高回避に向けた「為替介入はそろそろあり得る」との見方を示した。
ただ、国際的なコンセンサスの観点から、介入を実施しても規模は限定的にならざるを得ないと指摘。日銀の金融政策については、半年から1年程度の短期金利をさらに低下させることができれば、為替に円安のインパクトを与えることが可能と語った。一時1%を割り込んだ日本の長期金利は、財政リスクが反映されていないとし、「バブル的」との認識を示した。
インタビューは5日に実施した。概要は以下の通り。
──為替市場で1ドル=85円台を付けるなど、円高が進行している。
「ドルの先行き下落期待、いわゆるドル不安が非常に強い状態だ。ユーロはいろいろな問題があったが、さまざまな対策によって一時的に財政問題の懸念がやや後退した。ユーロ不安が後退する中でドル不安が強まり、ドルが対ユーロ、対円で弱い状態となっている」
──ドル/円の先行きをどうみるか。
「ドル安の要因は、米経済に対する見方が悪化してきていること。それによって追加的な金融緩和があるのではないかという見方がマーケットで主流になったことがある。ただ、米国の経済データは、実はばらつきがある。消費者のセンチメントや雇用は思ったほど回復してこないが、企業収益や設備投資はかなり強い動きをしている」
「短期的には行き過ぎた米国景気に対する不安や、追加緩和期待は修正されると思っている。6日発表される雇用統計によるが、市場予想よりも数字が良ければ、見方が修正されるのではないか。ドル/円は87─88円程度に戻る可能性がある。ただ、ドル安傾向は続くだろう
「クレディ・スイスのドル/円の下値予想は年内で85─86円程度で、それ以上は円高にならないという前提。そこまで米経済はひどくないというイメージだ。個人的には83円や82円というレベルになってもおかしくないとみているが、現状では80円割れのような展開は想定しにくい」
「今後、米国の雇用情勢がどうなるかが非常に重要。少なくとも、世界景気が大丈夫であれば、米企業利益もそこそこ良く、雇用も腰折れしないだろうということに市場の視点がつながってくるみられる。その意味で中国やブラジルなど新興国全般の動きが今後、重要になる」
──政府が為替市場に介入する可能性は。
「介入する時の問題点は2つあり、1つ目は世界的に認められるかという点。先進国で介入を実施しているのはスイスのみで、日米ユーロ圏の3極で為替介入は基本的にしない。マーケットに任せるというコンセンサスがあるためだ。もう1点はFB(政府短期証券)を発行しなければならなくなるため、そこで政府の短期債務も増加する。現状程度金利が低ければ何も問題はないが、2003年から05年に大きな介入をしたつけが引き続き残っている。大量なFBが絶えず借り換えされている状態だ。これらの点を踏まえると、介入はそろそろあり得ると思うが、多分思い切ったことはできない」
──こうした環境で日銀の金融政策のかじ取りは。
「政府・日銀は、円高が行き過ぎることを懸念せざるを得ないだろう。1ドル=80円や80円割れのレベルでは、企業収益や株価に悪影響を及ぼすとみられるため、1ドル=85円くらいで止まってくれという感覚は持っていると思う。どのように円高を止めるかについては、半年から1年くらいの金利をさらにゼロに近くできれば、為替に円安インパクトがあるかもしれない」
──日本の長期金利が7年ぶりに1%を割るなど、国債に資金が向かっている。
「背景には、グローバルな景気見通しの悪化がある。それに加えて、国内で特に景気が浮上するような要因が見えていない。さらに、円高であるために、他の国に比べると国債が買われやすい展開だ」
「円高分だけデフレ圧力が高まる。企業利益は当然円高によって悪化する部分があり、それを反映して賃金やボーナスも上がりにくくなるため、結局デフレ圧力がかかってしまう。世界景気に対する不安感に、日本は円高分だけおまけが付いているという感じ。おまけがついている分だけ日本の金利の方が低下幅が大きく、リーマンショック直後のボトムよりも低下した。日本だけ、やや異常な形で債券が買われてしまっていて、世界的な現象という中では完全に突出している」
「金利低下はやや行き過ぎという気がする。日本の財政の状態から来るリスク、つまりこのまま放っておけば政府の負債が発散的に拡大してしまうリスクが、現状の国債市場ではほとんど織り込まれていない。デフレによって財政破たんの確率が上がるにも関わらず、買われてしまう点を踏まえると非常にバランスは悪くなっており、ややバブル的色彩が強い。いろいろな分析をしても一定の基準を示すのは難しいが、政府の借金の残高などを考慮すると、長期金利は2%以上、3%位あってもおかしくないため、1%は低過ぎるというイメージだ」
(ロイターニュース 武田晃子;編集 石田仁志)
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