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株式日記と経済展望
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アメリカの上位2%ほどの富裕層にクリントン政権に支払っていた税率
にもどすのを頼むか,それとも国の基盤が崩壊するにまかせるか。
2010年8月10日 火曜日
◆明かりの消えるアメリカ 8月8日 ポール・クルーグマン
http://econdays.net/?p=489
アメリカ中で明かりが消えていっている――文字どおりに.『コロラド・スプリングズ』のヘッドラインには,街灯の3分の1を消して節約にはげむ試みが紹介された.フィラデルフィアからフレズノまで,全米で同じことが行われたり検討されている.
一方で,エリー運河から州連絡高速道路システムまで,かつて先見の明ある輸送機関への投資で世界を驚嘆させたこの国は,いまでは道路をつぶしているありさまだ:多くの州で,地方政府は維持できなくなった舗装道路を砂利道に戻していってる.
そして,かつて教育を重んじた国が――すべての児童に基本教育を与えた最初の国が――いまや教育を切り詰めている.教師たちは解雇され,各種プログラムは取り消されていっている.ハワイでは,学年度そのものが劇的に短縮されつつある.しかも,あらゆる徴候は今後のさらなる削減を示している.
「他にどうしようもないんだ」と聞かされる.基本的な政府機能――過去何世代にもわたって提供されてきた基礎サービス――の費用はもうまかなえないんだ,とね.たしかに,景気後退で傷手を受けた州・地方政府が金欠なのは事実だ.でも,政治家が少なくともいくばくかの増税を検討する気にさえなれば,そう大した金欠ってわけでもない.
それに,インフレから守られた長期国債をほんの1.04%の低利で売れる連邦政府は,ちっとも金穴なんかじゃない.連邦政府は地方政府に援助を提供してぼくらの子どもたちとインフラの未来を守ることができるし,そうすべきだ.
ところがワシントンはほんの申し訳程度の助けしか出してない.それも,しぶしぶにだ.赤字削減を優先しなくちゃならん,と共和党員や「中道」民主党員は言う.ところがその二の句を継いで言い放つ言葉ときたら「富裕層減税は維持すべし」だ.この先10年間にわたって7000億ドルの予算コストでね.
実質的に,われらが政治階級の大多数は,優先順位をはっきりさせてるわけだ:アメリカの上位2%ほどの富裕層にクリントン政権の好況時に支払っていた税率にもどすのを頼むか,それとも国の基盤が崩壊するにまかせるか(道路なら文字どおりの「崩壊」だし教育なら比喩的な意味ので「崩壊」ですな),この2択をつきつけられた彼らは後者を選んでいる.
これは,短期でも長期でも破滅的な選択だ.
短期では,州・地方での削減は経済の脚を大いに引っ張り,とてつもない高失業率を永続化してしまう.
オバマ大統領のもとで浪費的なまでに政府支出がなされてるとかわめく声を聞くときには,州・地方政府のことに留意しなきゃいけない.そりゃまあ,みんなが思うほどでないにせよ,連邦政府はたしかに支出を増やしてる.でも,州・地方政府は支出を削減しているんだよ.両方を足し合わせると,実は大規模な支出増加は失業手当みたいなセーフティネット・プログラムでなされているだけ.これは不況が深刻なせいでコストが急増したから増えてるんだ.
つまり,刺激策は失敗したとさんざん吹聴されてるけど,政府支出全体をみてみれば,刺激策なんてほとんど打たれてないのがわかるんだよ.州・地方政府の削減がつづく一方で連邦政府の支出が尻すぼみになっているいま,支出増加から反転しつつある.
でも,富裕層減税をつづけるのだって財政刺激の一種にはちがいないんでしょー? いや,それはないって.教員の職を守れば,まちがいなく雇用援助になる.そうじゃなく億万長者にもっとお金をあげたってそのお金の大半は死に金になるのがオチだ.
じゃあ,経済の未来はどうなんだろう? 経済成長に関するあらゆる知識は,教育水準の高い人口と高品質インフラが決定的に重要だと告げている.いま台頭しつつある国々は,道路,港湾,そして学校の改良に猛烈に力を注いでいる.ところがアメリカではその逆をやってる.
どうしてこうなった? 反政府のレトリックを30年間もつづけた論理的帰結ってもんだね.なにかっていうと,課税で集まったお金はかならず無駄金で公共部門はなにもちゃんとできないと多くの有権者に信じさせてきたレトリックのことだ.
反政府キャンペーンはいつも決まって無駄遣いと詐欺への反対という体裁をとってきた.キャデラックを転がす「福祉の女王」宛ての小切手だの,むだに書類ばかりつくってる役人の群れだの,そういうのに反対するかたちをとってきた.でも,もちろんこういうのは神話だ.右派が主張するほどの無駄や詐欺なんて控えめにみてもなかった.キャンペーンが功を奏したいまになって,ほんとうは何が攻撃対象だったのかぼくらは目にしている:すごい富裕層以外の誰もにとって必要なサービス,公衆全体のための街灯やほどほどの学校教育みたいな政府が提供しなきゃ誰もやらないサービスが攻撃対象だったんだ.
この長年にわたる反政府キャンペーンでもたらされた結果,それはぼくらが破滅的なまでに道を間違えたってことだ.いまやアメリカは明かりのない暗い砂利道で立ち往生している.
(私のコメント)
株式日記のホ−ムページ版の表紙には累進課税の復活を主張してきましたが、ポール・クルーグマン教授も富裕層に対する減税措置の廃止を主張している。富裕層にいくら減税しても貯蓄に回るだけで景気刺激にはなりません。デフレ傾向になれば富裕層はいっそう貯蓄志向を強めるでしょう。
先日も株式日記では富裕層に貯まっている1500兆円を動かす政策提言をしましたが、富裕層は投資を控えて貯蓄に回しているカネを投資に回させるには累進課税を復活させて、税金で取られるくらいなら投資に回そうという誘導が必要だ。法人税の減税でも今減税しても内部留保になるだけで投資には回らない。
むしろ法人税は増税した方が景気は良くなるだろう。もともと法人税を払っている企業はすくなく69%が赤字企業だ。僅かな黒字企業が法人税を払っている訳ですが、人件費をカットして浮いた利益を役員報酬や株式配当や内部留保にまわしている。正規社員を減らして非正規社員を増やしているわけだから景気が良くなるわけがない。
菅総理大臣は平均賃金が低下しているような状況で消費税増税を強行すれば余計に不景気になって税収は増えない。日本の輸出企業が円高で利益が出ないと言うのは高付加価値のある商品を作っていないと言うことであり、韓国や中国でもできるような商品を作っていては儲かる訳がない。
韓国や中国でもできるような商品を作っている企業が法人税が高いから出て行くというのなら出て行けばいいのであり、そんな企業は海外に出て行っても勝てるわけがない。高付加価値のある商品を作っているところは円が高くなろうが儲け続けているし、任天堂のゲーム機やトヨタのハイブリットカーは生産が間に合わない。
富裕層も同じで所得税が高いから海外に出て行くというのなら出て行かせればいいのであり、金の使い方を知らない金持ちが海外に行っても使わないのだから同じだ。私が金持ちならビルやマンションを買い込んで事業拡大を目指す所ですが、銀行がカネを貸してくれない。今ならビルでも利回りが12%もあるような物件がごろごろしているのですが、日本の金持ちは投資の仕方を知らないから現金で持っている。
投資で成功する秘訣は誰も見向きもしない時に投資してブームが過熱したころに売り抜けることだ。利回りが12%の物件がごろごろしているのに1%以下の銀行預金にしたままと言うのは馬鹿げていますが、銀行の貸しはがしや貸し渋りで投資した人が酷い目に遭って投資はもうこりごりと言った風潮を政府が作ってしまったからだ。
投資が減ってしまった分を国が国債で借り入れをしていますが、1500兆円の金融資産をどのように動かすかがデフレ脱却の近道なのですが、その為には政府が税制で投資へのインセンティブを作り出すことだ。その方が国債発行を減らせる近道だろう。その為にセカンドハウスローン減税を提言してみたのですが、富裕層への課税強化と組み合わせれば1500兆円が動くはずだ。
欧米の投資銀行なども日本の1500兆円の金融資産をいかに取り込むかが課題ですが、投資はこりごりだと現金で持っている人たちを投資に向かわせるのは至難の業だ。だから国が代わって借金して使っていますが多くが公務員への給料に消えてしまった。公務員はこれまた固い人たちだから金を貯めこんで使わない。
1500兆円の金を動かすには飴と鞭で動かさないと無理でしょうが、富裕層への課税強化とセカンドハウス減税で日本全国を別荘ブームを起こせばいいだろう。高速道路も無料化して安い費用で往来が出来れば地方の活性化にもなる。バブルの頃は日本中がゴルフ場開発ブームになりましたが、それだけゴルフをする人が多かった。
ゴルフの会員権も二束三文になり紙切れになってしまいましたが、富裕層が別荘を持ってゴルフ三昧でカネを使ってくれれば日本は再びバブル時代のような活気が戻ってくるはずだ。とにかくバブル潰しの為の税制改正がそのままになっており、不動産への課税が強化されて節税メリットがなくなってしまった。政治家は財務省任せの政治をしているから失われた20年になってしまった。
◆世界に広がるデフレ 8月9日 経済コラムマガジン
http://www.adpweb.com/eco/
筆者は長年バブルとその後のデフレ経済の関係を取上げてきた。最近になって日本でもデフレ経済と過剰貯蓄の関係を指摘する者がチラホラ出てきた。先日もテレビに登場したエコノミストは「日本には金融機関に眠ったままの資金が300兆円(金額の根拠がはっきりしないが)もある。これが動かない限りデフレは克服できない」と発言していた。
そしてこのエコノミストは「この眠り続ける貯蓄に貯蓄税を課せ」と主張していた。アイディアとしては面白いが、しかし実際にそれが実施されればパニックが起ると考える。これまで筆者は、率直に政府がそれに見合う金額の借金をして、そっくり財政支出をすれば済むと主張してきた。
もし政府が債務を増やすことが問題なら、政府紙幣の発行という方法があり、さらにそれが困難なら国債を日銀が引き受ければ良い。政府やエコノミストは日銀が購入した国債が実質的に国の借金にならないことを国民に説明すれば良いのである。これは先進各国が少しずつ始めている政策であり、貯蓄税なんかよりよほどまともな政策である。
筆者は、バブル期の不動産取引が日本のデフレの原因と指摘してきた。もちろんそれ以外にも過剰貯蓄の要因がある。特に日本人の将来不安に備えた貯蓄が大き過ぎることもその一つである。また政府も異常に大きな公的年金の積立金を持っている。ストを全くしない労働組合でさえ、闘争資金の名目で組合費を集めて多額の預金をしている(おそらく何兆円もあると思われる。組合員に返せば良いのである)。
歴史的に見ても、バブル崩壊後に過剰貯蓄を伴ってデフレ経済に陥ると、各国とも為替の切下げ競争と保護主義に走る。そして場合によっては戦争である。第二次世界大戦にもその要素がある。まず軍事の需要がデフレ経済対策になる。そして戦争で互いの国の過剰生産設備を壊し合うことによってデフレが解消される(生産設備が壊されなかった米国だけは戦後もデフレが続いた)。
しかし人類も少しは賢くなっているはずである。何も戦争をしなくともデフレは克服できる。日本の場合、過剰貯蓄を「はやぶさ」などの宇宙開発や色々な学術研究に使うのも良い。必要な道路も造れば良い。エネルギー自立のために高速増殖炉を建設するのも良い(原子力アレルギーの人は反対するかもしれないが)。公的年金の補填に使うことも考えるべきである。要するに国民が喜ぶことにどんどん使えば良い。
需要がないから、長期金利が1%になっても収益が見込めず民間は投資をしないか、あるいは減価償却の範囲の投資しか行わないのである。経済がこのような状態になった場合には、公的投資と公的消費で総需要を増やす他はない。そして総需要が増えれば、民間の投資もジワリと増えてくるはずである。
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