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円高が続いている。菅直人首相が予定していた円安とは事態が逆になっていて、日本国内の輸出産業にとっては苦しい状況だ。今後、円高はどの程度続くのか、それを占ってみよう。あくまで占うと言うレベルであり、具体的な根拠となる数値などはほとんどない。 1. 日本が米国などよりも先に財政破綻を迎えれば、当然、円安が来る。だから、いつごろ財政破綻をし、かつ、それがアメリカよりも先かどうかが一つの要素だ。 2. 米国の景気回復がされるかどうか、アメリカの今のような半分博打のような経済がもっと社会に根を張った健全なものになるかどうか、これも一つの要素だ。オバマ大統領の任期が切れる2013年が一つの鍵で、普通なら、富裕層優遇の政策ではなく、一般市民、それも、ヒスパニックや黒人層を対象に経済政策を行うので、そのころにはアメリカの景気も回復し、ある程度のドル高容認になる可能性が強い。 3. ただ、日本は2012年とか2013年問題と言われるものがあり、団塊世代が65歳を迎え、本格的に定年退職と年金受給が始まる。つまり、このころまでに税制改革が行われて、財政の改善がある程度までは進んでいないと市場は財政破綻を見越していっぺんに円安に振れる可能性もある。 4. ただ、アメリカもベビーブーマー世代が同時期に定年退職から年金受給へと向かうわけで、アメリカの場合はそんなに一律に退職するわけではないが、それでも、かなりの方が職を退くはずだ。そして、このことは、株投資が増えると言う意味だと思う。401kでの運用なら、どうしても国内企業への投資が多くなるはずで、その意味でもアメリカ国内の景気浮揚に対する政治的圧力が高まりそうだ。 5. 民主党政権が最も総選挙を先延ばしにしたとして、その時期がやはり2013年だ。日本においても、2013年は国内景気浮揚への期待感が政治への圧力になる年であり、日本においては国内景気の自律的回復は非常に難しいだろうから、円安による輸出の伸びに頼るしかない。ただ、税金値上げの信を問うと言う名目で総選挙が2011年あたりに行われる可能性もある。結果的に、税制改定がうまく行かず、財政破綻を迎える可能性もないとは言えない。ただ、今の自民党などの姿勢を見ると財政再建には協力的だから、総選挙をやってどこが勝っても、結果的に税制改定がある程度の規模で行われ、財政破たん回避に動く可能性が高い。しかし、単に消費税値上げだけなら、却って全体として経済が落ち込み全体としての税収が減ってしまう可能性もある。実際に97年の消費税増税で全体としての税収は減った。http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20100627/p1にそのことがまとめられている。つまり、消費税増税だけだと、派遣社員の雇用を増やすなどの副作用が強く働いてしまい、全体としての経済活動を阻害してしまうのだ。だから、いかにして公平感を保った新たな課税体系を作れるかがカギになるはずだ。所得税や相続税、証券税制などが大きな要素になり、消費税自体は増税の効果はあまりないと言えるはずだ 6. 中国やほかのアジアの国との関係ではどうかと言えば、中国の国力はそう簡単には落ちないはずで、2013年時点では今よりも中国の国力は上がっていると見るのが自然だ。つまり、GDPで言えば完全に中国が日本を追い抜いて世界第2位の地位を獲得する。だから、少なくとも対元で言えば、円安傾向は強まるだろう。 7. 結局、対米ドルでは、余り円安が進むと米国債を売ると言う選択ができやすくなるので、大幅な対米ドルでの円安は起こりそうにない。ただ、米国国内事情から見たら、ある程度のインフレ誘導があり、金利上げを行って世界から資金をまたアメリカ国内へ誘導しようとするはずだ。 8. 世界的に見て、信用過剰なのはどう見ても日本国債であり、これ以外バブルが破裂する要素はないように見える。日本国債のバブルが破裂して、アメリカの資本家が儲けを出すシナリオはどんなものがあり得るだろうか?日本国債の米国資本が持つ割合は5%行かないはずだが、先物では結構大きなシェアを持っている様子だ。つまり、国債先物を売り出すことによって国債市場を混乱させることはできるだろう。次に、国債を多量に買っている日本の金融機関や保険会社の株式の問題がある。現在、国債をいくら多量に保有していようとリスク資産とはみなさないと言う決まりがあり、そのため、多くの金融機関などが国債や地方債を多量に買っている。都銀はみな20兆円から30兆円程度の国債を買っているはずだ。しかし、ギリシャやポルトガルなど世界中でソブリンリスクが言われている現在、数年しない内に、国債をリスクのある資産として評価するようにBIS規制が改正される可能性はかなり高い。つまり、日本の金融機関などの株価を日本国債のリスク資産化によって変動させて、その売買益を狙うことはかなりたやすいはずだ。もっと大がかりに、郵貯の倒産を狙うこともできるはずだと思う。郵貯の資産の9割弱は日本国債だとされているので、国債の値下がりの程度や一般市民の動向次第、つまり、一般市民が郵貯へ預けていた預金引き出しに一斉に走るかどうかなどが大きな要素になる。ただ、郵貯は未だ政府が100%の株を保有しているので、株の売買益で儲けることはできない。それでも、郵貯の影響は非常に大きいので、幾らでもいろいろな仕組みを作ることは可能だろう。国内金融機関の国債保有状況についてはhttp://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20100625/p1が分かりやすい。 9. 日本が好景気になりかつ国債金利が上がらないと言う事態はあり得るだろうか?好景気とは物の取引が活発になり、資金需要がそれだけ高まることだから、新たに低金利で国債を発行しようとしても、その低金利では国債の買い手がつかないと言うことになるはずだ。だから、好景気下で民間金融機関が低金利の国債を引き受けることはまずないだろう。しかし、日銀なら、低金利の国債引き受けも一応可能だろう。毎月1兆円ほど日銀が引き受けて年間12兆円、これはかなりの金額で、このくらいの資金が市場へ出て、実際に取引に使われれば、インフレ傾向になることは間違えがない。地震が今後多発するはずの関東地方から首都機能移転を進めたり、地熱開発を全国規模で行えば、日本全体にとってのリスク低減になるし、経済成長への道も開けるように思う。なお、日銀による国債直接引き受けをある程度の規模でやることをリフレ政策と言うようだ。 10. 結局、かなり希望的観測になるが、2012年から13年ぐらいに今後の日本や世界の行く末がある程度決まるはずで、もし円安になるとしたらそのころであるはずだと言うことになる。ただ、突発的な事態、例えば首都圏大地震などが発生して、急激な円安が来る可能性はいつでもある。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<88>>
円高はいつまで続くか
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