http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/427.html
Tweet |
「独りファシズム」http://alisonn.blog106.fc2.com/blog-entry-164.htmlより転載
地球が平衡化する日
仕事柄、タイの工業団地をあっちこっち飛び回ってるんですが、毎度この国の発展ぶりには驚かされます。20年前初めて訪れた頃には、まだまだ途上国の風情で、走っている車も黒煙を吹き上げるボロばかりでしたが、今では地方も都市化が進みピカピカのセダンやピックアップトラックがショッピングモールの駐車場にずらりと並んでいます。ことさら目を引くのが工業団地周辺に立ち並ぶ建売住宅です。鉄筋コンクリートの立派なものばかりで、西洋風の瀟洒なつくり、プール付の物件も珍しくありません。皮肉なことに、ぶ厚くなった中産階級の主要な勤め先はタイに移設した7000社余の日系企業であり、つまり日本人の雇用と資本がこの地に流出した故の豊かさなわけです。
派遣労働法が改正される2004年までの5年間、各業種においてどれだけ人員整理がおこなわれたか、つまり「正社員」がどれだけ解雇されたかというデータがあります。内訳は建設業44万人、鉄鋼5.2万人、非鉄金属11.2万人、銀行・証券6.4万人、電気23.4万人、自動車6万人、生保・損保6.3万人、通信5万人、小売45万人、産業機械8.7万人、通信5.2万人といった具合で、ざっと100万人以上の正規労働者が失職しました。これを皮切りに新卒者、中途採用者が次々と非正規社員に置き換えられ、結果、労働者の30%以上がヒエラルキーの最下層に転落したわけです。喧嘩上等で言わせてもらいますが、事実上の生涯格差が固定されたこれら2000万の人々は現代のエタ・ヒニンです。その意味において、2004年はまさに「分割統治元年」でした。大企業は輸出税還付や企業減税、労働法改正など「構造改革3点セットの恩恵」により400兆円規模にまで内部留保を倍増しています。本来ならこれを原資に国内雇用を堅持すべき社会的責務を負いながらも、こぞって海外へ生産拠点を移し産業を空洞化させたたわけですから、ふざけた話です。
ソ連崩壊と中国の開放化政策で経済の垣根が無くなり、結果、対先進国10分の1以下の賃金で働く労働者が10億人規模で発生しました。地球が市場原理主義でフォーマット化されたようなもんですな。つうわけで、現在は先進国の賃金が下がるにつれ、新興国の賃金が上がるという「平衡化現象」のプロセスにあるわけです。某研究者はこれの収束時期を2035年頃と試算しました。この仮説に従うなら、今後後25年にわたり日本の賃金は下がり続け、同期して経済も縮小するということです。イギリスやアメリカは、これに抗うべく対外投資で金融立国化を目指しましたが衆知の通り、結果は惨憺たるものです。日本の対外純資産は260兆円規模で世界一とか言われてますが、その殆どが債権投資、半分が自由決済できない米国債、ドル建準備金ですから数年来の円高トレンドをみれば毀損額はとんでもなく甚大でしょ。それに、後20年もすりゃ、ヘゲモニーが入れ替わり、ドルの機軸通貨性なんぞ禄奪されてるかもしれません。資産をグロスや簿価で勘定するのがいかに危険かということです。いずれにしろ、国家が相場で食っていくなんてことは所詮、絵空事です。
これまで具体的数字に言及しながら幾度も書いた通り、この惨状でさらに政官財米が国民資産を蚕食しまくっているわけです。言ってみりゃ家の火消しでやっきになってるところへ強盗が入りこんで、ドサクサ紛れに片っ端から金目のものを持ち出してるような状態です。日本国覇権の礎であった知的財産権分野においてすら、特許出願件数が中国に猛追され、横並び状態になりましたから、後数年でこれも逆転されるでしょう。前ふりが長くなりましたけど、日本は不可逆的な衰退セクターに入り、回復要素はほぼ皆無であり、庶民の暮らしはさらに加速して困窮する、これが結論です。
企業社会から放逐されて10年来、ずっと自分に課され続けてきた至上命題、「これから先、どうやって食っていくのか?」というセンテンスが、そのまま日本民族のカルマになってしまったという、以上、トンデモナイ話でしたw
(以上引用)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。