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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu221.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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FRBのバランスシートは今も2兆1000億円台に膨張したままだ。資金供給
のために1兆2000億ドルにも上るモーゲージ債や国債を購入したためだ。
2010年8月1日 日曜日
◆米国で「失われた10年」が始まる 7月29日 辻広雅文
http://diamond.jp/articles/-/8884
実は、この経済低迷の長期化させる本質についても、先の白川総裁の講演では念入りに解説されている。長くなるが、再び引用しよう。
『マクロ経済政策は、経済の急激な減速に立ち向かう上で鍵となる役割を果たすのですが、万能薬ではありません。バブル期に蓄積された過剰の整理に目途がつかない限り、力強い経済成長を取り戻すには至りません。同様に、マクロ経済政策は企業がビジネスモデルを調整できないことに伴う生産性の低下に対処することもできません。この点は非常に重要ですので、若干説明を加えたいと思います』
『バブル期において、日本経済に蓄積された不均衡は非常に大きなものでした。1980年代のブーム期に、日本の企業は借入れを急速に増やし、設備投資は、1990年までの3年間に年率2桁のペースで拡大しました。
しかし、一旦バブルが1990年代初頭に崩壊すると、実体経済面で資源の稼働率が急速に低下するとともに、不良資産が増加し始めました。
結局のところ、日本は債務・設備・雇用の3つの過剰を大幅に蓄積していたのです。
このような大きな不均衡を解きほぐすのに長い時間を要することは明らかです。
日本経済は、金融システムが安定を取り戻したことを背景に、回復しました。しかし、日本経済の復活にとって同様に重要だったのは、ただ今申し述べたような過剰を取り除くことでした。過剰を解消していったことによって、日本の企業は、グローバル経済に生じた大きな変化に適応し始めたのです』
白川総裁は、米国も日本と同様に産業界の構造調整こそが必要だ、と説く。
『政策当局者は何でも達成できる訳ではないということも認識する必要があります。
日本の場合は、企業の債務・設備・雇用の3つの過剰が整理されるまでは、経済が持続的な回復に移行しませんでした。
今回の危機についても、同様のことが言えます。米国経済は、金融機関のレバレッジの増加や、家計の過剰債務、そして恐らくは金融産業の行き過ぎた拡大に対する調整が必要になっているものと思われます。
これは痛みを伴うことですが、避けては通れないプロセスです。日本の10年に及ぶ経験からみて、痛みの伴わない近道はありません』
痛みの伴わない近道はない――米国は今、デフレとともに「失われた10年」の入り口に立っている。
最後に付け加えよう。
忍び寄る暗転を察して、米国政府が財政資金を追加投入したくとも、議会が許すはずがない。
他方、FRBは更なる金融緩和で対処しようとしている。
FRBのバランスシートは08年9月のリーマンショックまで8000億ドルから9000億ドルで推移してきたが、緊急危機対応で一気に2兆ドルを超え、今も2兆1000億円台に膨張したままだ。資金供給のために1兆2000億ドルにも上るモーゲージ債や国債を購入したためだ。
すでに政策金利はゼロ近辺に張り付き、超金融緩和状態にある。それでも、バーナンキFBR議長はさらなる資金供給拡大も辞さない覚悟を示しており、期限を迎えたモーゲージ債の購入再開を示唆している。
そのなりふりかまわない姿勢は、バブル崩壊の問題解決を再びバブルを起こすことに求めているようにすら写る。
だが、白川総裁に代わって日銀の量的緩和政策を総括すれば、金融危機対策には有効だったが、景気回復策としては役に立たなかったことははっきりしている。
必要なのは構造調整であり、その主体は個々の企業であり、中央銀行ができることは限定的だ。むしろ、世界経済にとって有害だったという指摘すらある。
行き過ぎた金融緩和を続けたために“安い円”が大量に世界に供給され、米国その他に流れ込み、サブプライム問題を引き起こす一要因になったという指摘である。
今こそ、米国は日本の教訓に学ぶべきである。
(私のコメント)
「株式日記」では「失われた10年」はリチャード・クー氏のバランスシート不況説を支持してきましたが、日銀の白川総裁の講演を見ても債務・設備・雇用の過剰を述べている。つまり企業や個人の過剰債務の整理がつかないと景気の回復には繋がらない。企業も個人も借金はもうこりごりであり、二度と借金はすまいと言う人はなかなか借金をしてまで消費や投資をしないだろう。
同じような経験は1929年以降のアメリカにありますが、けっきょく大不況を脱出するのに30年かかっている。借金で苦しんだ世代が交代して子や孫の世代になってようやく借金してマイホームなどを建てるようになった。住宅ローンの返済は30年以上もあり返済は一生かかってしまう。
多くの家庭が住宅ローンを返済不能になって住宅を失った。返済不能にはならなくても毎月の返済は非常に苦しい。バブルの頃は給料も毎年上がっていたし不動産価格も二桁で上昇していた。だからローンを借りて住宅を買う事は合理的な判断だった。銀行も企業がカネを借りなくなったので個人の住宅ローンに貸し出しを増やしていった。
バブル崩壊後は銀行は債権の回収を最重点にするようになり、借りた方も返済を最優先でするようになりその分だけ消費は減ってしまう。もし短期間に不況を解決したいのならば徳政令で借金をチャラにすることしかない。大不況を30年も経験するくらいなら政府が徳政令でチャラにしたほうが金額的には安く済むかもしれない。
◆痛みとは15%の消費税の事 2001年5月12日 株式日記
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu23.htm
今日のテレビの「ウェークアップ」でも財政問題を扱っていましたが、評論家達も15%の消費税やむなしと言っていました。「構造改革のためなら痛みを伴ってもやむをえない」と言う意見に国民の65%が賛成している。その痛みがどういうものか分かって賛成しているのだろうか。
構造改革も不良債権処理もやったからと言って景気が好くなるとは限らない。学者や評論家は良くなると言っている。リィチャード・クー氏は疫病神のように言われている。景気回復が第一と言う政策は間違っているのだろうか。アメリカ政府も最近は「構造改革しろ」「不良債権を処理しろ」と言うようになった。アメリカ政府は日本経済の実状を良く知って言っているのだろうか。
景気回復が第一と言う政策は間違ってはいない。不況の原因は過剰債務にあるからだ。過剰債務は年月をかけて解決するか、債権放棄で処理して短期にかたずけるしか方法はない。おそらく政府はそのことを検討している筈だ。銀行は大きな損害を被るが、資産インフレで土地や株の価値が上がり不良債権が正常債権になり、問題は一気に片付く。
今は非常識な案としてまともには相手にされていないが、日本の歴史的に見れば徳政令は珍しい事ではない。株式買い取り機構も数年前は非常識として検討もされていなかった。国債も日銀が買取れば問題はない。金本位制ではないからいくらでも紙幣を発行出来るからだ。日銀の国債の買いオペの拡大や量的緩和はその第一歩だ。
(私のコメント)
以上の文は10年前の株式日記ですが、10年間同じ主張を続けているのに日本の政治は消費税増税で思考停止してしまっている。しかし辻広氏の記事を見てもらえば分かるようにFRBは1兆2000億ドルに上回るモーゲージ債やCDSや国債を買いまくっている。表ざたにはなっていないが株式の買い支えもやっているだろう。
10年前に株式日記で主張していた事をFRBがやっている。アメリカは住宅ローンに関してもノンリコースローンで住宅を放棄すれば借金はチャラになります。ところが日本の住宅ローンは住宅を放棄しても借金はチャラにならない。だからなかなか債務整理が進まない。企業にしても社長の個人補償までしなければカネが借りられないから、事業に失敗すると企業家は二度と立ち上がれなくなる。
このような弊害を「株式日記」では10年前から指摘してきたのですが、なかなか是正されない。ノンリコースローンも社長の個人補償免除も一部では行なわれていますが一般化していない。銀行側がリスクを負う事になるから一般化しない。いったん借金が焦げ付いたらとことん返済に追われて借金恐怖症を拡大させてしまう。これでは日本が不況から抜け出す事は無理だ。
金融の量的な拡大で金融危機は回避できても景気を回復させる事はなかなか難しいだろう。過剰な借金の整理が進まなければ、借り入れを増やして投資しようと言う気運が起こらないからだ。一度借金返済で苦労した人は二度と借金はしないだろうし、景気回復は子や孫の代になってしまうかもしれない。
日本に起業家が少ないのも事業に失敗すると一生借金返済に追われて人生がパーになってしまうからですが、社長の個人資産は保護されるようにすれば再起する事が可能になる。アメリカのように債権を証券化して転売すれば銀行もリスクを回避できるから合理的だと思うのですが、やりすぎればサブプライムローンのような事がおきる。
日本ではこのような金融革命がなかなか出来ないのは財務省の指導が厳しいからだろう。つまり財務省の役人の頭が非常に固くて金融とはどんなものであるかを知らないのだろう。竹中平蔵のように少しでも条件変更すれば不良債権だといった乱暴な論理がまかり通ってしまう。以下の文も1998年の株式日記ですが、金融のセンスのある人でないと理解できないだろう。
◆要注意債権処理法案私案 1998年7月3日 株式日記
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu6.htm
アメリカではデフォルト(債務不履行)が発生した際の対処法も、日本の常識では考えられないような手法が有ります。その代表がDPO(ディスカウント・ペイ・オフ)と呼ばれる手法です。DPOは、債務者に支払不能もしくは遅延が発生した場合に、その債権を割引価格で債務者に買い取らせるか、別の金融機関に借り換えをさせる方法の事で、アメリカの不動産ローンでは頻繁に使われる手法です。キャッシュフローが確保されている収益不動産であれば、借り手がデフォルトを起こしても、貸し手はDPOを使って、なるべく通常の返済に近づけようとします。
アメリカの金融機関の考え方は、不良債権が発生する原因が、主に担保物件から得られるキャッシュフローが何らかの原因で減少し、ローン返済金額を下回ってしまうことからくることに着目し、キャッシュフローで返済が賄えるレベルまで元本を減額する事さえ認めてやれば、減額後のローン返済は継続できるはずだと言う事が前提に立っています。
つまり、貸し手側が債権を一部放棄する事にそう難色を示さない事が前提条件になります。アメリカでは、デフォルトを発生させるくらいなら、元本を減額してでも支払いを継続させた方が、債権者にとっても、債務者にとっても都合がいいと言う考え方をするのです。
アメリカ流のDSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)を重視するファイナンスでは、物件が生み出すキャッシュフローを上回る返済額の融資はありえませんので、与信の段階から手仕舞いの段階まで、キャッシュフローを重視する点において整合性がとれていると言えるでしょう。
以上は総合法令社の井出保夫著「不動産投資革命」より引用させていただきました。
(私のコメント)
今でこそJALに対する1000億円単位の債権放棄が行なわれていますが、住宅ローンなども返済が苦しい家庭には半額債権放棄をさせたらどうだろうか? 1000万円の住宅ローンなら500万円銀行に債権放棄させてあげれば返済額も半分に出来て住宅も放棄せずに済む。その分だけ消費に回って景気対策にもなる。このような発想が財務省の役人には出来ないから財務省の役人はバカだと書き続けているのです。
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