http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/224.html
Tweet |
(回答先: 忍び寄るソブリンデフォルト 投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 16 日 22:11:40)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aPqEyBwZIvzs
7月16日(ブルームバーグ):菅直人首相はもはや日本を動かしてはいない。それを託されたのは日本銀行の白川方明総裁だ。
菅氏率いる民主党の参院選惨敗ではっきりしたのは、政治家が経済運営の責任を日銀に押し付けているということだ。日銀の白川総裁はこれまで以上に景気押し上げへの圧力を感じることだろう。日銀への依存の高まりは世界経済にとって悪い結末となる。
9月になれば、この4年で6人目の日本の新首相誕生もあり得る状況だ。ほんの5週間前に就任した首相の座を政権争いで菅氏が失うとの見方は広がりつつある。そうなれば、投資家は痛手を被るだろう。経済成長を借金で賄う日本経済の異常構造に歯止めをかけることを真剣に語った日本のリーダーは、ここ20年で菅氏しかいないからだ。
しかし、菅首相は今や死に体も同然で、国内総生産(GDP)の2倍ほどの債務を抑制できる公算は縮小している。民主党は今月11日の参院選で過半数議席を失い、国際通貨基金(IMF)は今週、日本の財政について警告している。
ギリシャの債務危機前なら、日本の問題について騒ぎ立てないことも可能だったろう。しかし今や投資家は、日本が最終的にデフォルト(債務不履行)を回避できるか、疑問に思っている。
もちろん、それは考え過ぎだ。日本の家計部門が抱える貯蓄は巨額で、国債も9割以上は国内で消化される。野田佳彦財務相がブルームバーグ・ニュースに15日語ったように、日本国債に対する中国の需要も著しく伸びている。日本はギリシャではないし、1997年ごろのタイとも違う。
国民1人当たり8万ドル
それでも、8万ドル(約700万円)という気が重くなる数字に注目が集まる。これは国民1人当たりに対する日本の借金で、昨年11月にメディアが騒ぎ立てたものだ。同じころ、IMFの元主任エコノミスト、サイモン・ジョンソン氏は米議会で、日本がデフォルトに陥る「真のリスク」があると述べていた。
わたしはこの8万ドルを、菅首相の辛苦は日本がこの先抱える一段と大きな困難の予兆にすぎないとの見方に賭けよう。
人口動態を考えただけで、夜は眠れなくなる。高齢化で国内での成長が見込めないため、ソニーグループの金融持ち株会社、ソニーフィナンシャルホールディングスはアジアでの事業を拡大させるという。
日本のリーダーは、こうした現状に完全に混乱させられているようにみえる。デフレが続いて雇用が弱い中で、菅首相は消費税引き上げを提案し、自分で自分の首を絞めてしまった。続投しても、信頼感は既にひどく損なわれている。
財政均衡、一段と困難に
それでも菅氏は、ここ数年では最も先を見て考える日本の首相かもしれない。持続不可能な債務に着目するのは正しい動きだ。日本は刺激策に頼らずに、自らの力で成長を生み出さねばならない。しかし、政治的に基盤が弱くなった菅氏が向こう10年で基礎的財政収支の黒字化を実現させるのは一段と難しくなっている。
同氏が復活し、日本の足元が向こう2年間にしっかりする可能性はある。菅氏は首相にとどまり、急進的な改革に向けて幅広い支持を得なくてはならない。しかし、どちらの公算も小さいようにみえる。
参院選での民主党の惨敗で、政治の世界では新たな勢力が台頭してきた。ただ、そこから出てくるのは斬新なアイデアではない。多くが日銀を当てにしている。渡辺喜美氏が代表を務めるみんなの党がまさにそうだ。
日本において、これは変化ではない。旧態依然とした考えだ。政治家は20年間、日銀に景気押し上げを頼っている。日本の問題は金融政策というよりも構造的なのに、批判する者は日銀の対応が不十分だと指摘する。
危険な依存
日銀への一段の依存は危険だ。2000年に緩和的な金融政策に頼ったのはいいとしても、10年後も同じというのは別の問題だ。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスもスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も、日本の危機的な財政および人口問題を打ち消す楽観的な材料が少しでもないかと探し回っている。
日本の信用格付けが引き下げられるにつれ、投資家の信頼感も下がる。「日いずる国」は「日沈む国」になりつつある。
政策金利が0.1%の状況で白川日銀総裁に何ができようか。2000年代初めのような量的緩和政策に戻ることもできるし、国債や社債を大量に買い取って資金供給することもできる。永遠に紙幣を刷り続けることもできる。
そうした行動は、政治家の一段の責任放棄につながる。バブルがはじけて約20年が過ぎ、日本は依然として、大規模な政府補助金抜きに成長する方法が分からないでいる。日銀の政府支援は、本当の改革を5−10年先送りしてしまう。
日本にそんな時間的余裕はないはずだ。日銀に圧力をかけるのは自暴自棄じみている。それはまた、日本がこの先ますます悪化する兆しでもある。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。