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ユーロ各国は2013年までに財政赤字半減が目標だ。日本は例外とされた。理由は、ほぼ国内の資金で財政赤字がまかなわれているからだとされる。 しかし、日本において財政再建が可能か考えると、とても可能とは思えない。理由は簡単で、財政赤字があまりに大規模になっているからだ。 もう少し具体的に言うと、国債費は歳出の約2割を占め、20兆円ほどにもなる。そして、その内、利払い費、つまり、利子分の支払いに10兆円、元本の償還分に10兆円が充てられている。重要なことは、毎年毎年10兆円ほどの税金がただの利払いに消えていると言うことだ。基本的に、何ら経済活動を伴わない分野に10兆円もの税金が使われること自体が、日本経済の停滞を招いている。利払いを受ける側からすれば、何ら働かなくても、自動的に毎年毎年10兆円ものお金が確実にもらえるのだから、経済成長分野への投資資金として、一般企業へ貸し出しをしようと銀行が市民から預かったお金を回すはずもない。更に、元本償還分も、毎年の国債発行残高の1.6%分(つまり60年で償還すると言う考えなので、60分の一を毎年償還する)なので、国債残高が積みあがればそれだけ増えざるを得ない。ちなみに、今年は50兆円ほどの新規国債を発行したので、その60分の一、つまり、約1兆円来年は元本償還分が増えることになる。よって、例えば、現在の財政赤字が続き、毎年50兆円ほどの新規国債発行が10年間行われれば、それだけで、元本償還分は現在の2倍の20兆円ほどになってしまう。 更に問題がある。それは、国だけでなく、県や市レベルでも、公債費は支出の10%から20%を占めていることだ。多くの地自体では、公債費が人件費に次ぐ大きな割合を占めていて、このまま行けば数年後には最も大きな割合を占めるようになってしまう。 その上、国債のかなりの部分が既に低利のものに切り替わっていて、利払い費用を圧縮する余地が既にほとんどなくなっている。昭和の時代には利率が5%とか8%ほどもあったが、それらの大半は既に2%以下のものに切り替えられている。 財政赤字が巨額であると言うことは、もし、景気が良くなってきて金利を上げたくなっても、それができないと言うことを意味する。国債や公債の利払い費が跳ね上がってしまうからだ。景気が良いとは経済活動が活発であることで、普通、企業は銀行から資金を借りてそれを設備投資などに使うことになる。しかし、資金需要が高まれば当然金利も高くなるわけで、金利を高くすることができないと言うことは、景気が良くなってもそのまま資金の貸し出しを低利で行うことになり、これは確実にハイパーインフレに結びつく。そして、ハイパーインフレになれば、最も割を食うのは年金暮らしの人々であり、低所得の人々だ。 つまり、日本の未来は、このままでは、巨額の財政赤字を抱えたまま、経済成長をしないで借金をただただ積み上げていくことになってしまう。しかも、多分、これは数年しか持たない。国債発行がうまくできなくなり、日銀の大規模な直接引き受けしか手が無くなり、それが大幅な円安を呼び、輸入物価高から一般的なハイパーインフレへと続いていくからだ。 多分、回避の方策はただ一つしかない。それは、富裕層への増税を大胆にやって、数年の内にもプライマリーバランスを達成して、国債費の増加を抑え込むことだ。そして、それと同時に、原発を廃止して地熱発電を大規模に全国各地で導入し、電力価格を国際競争できる程度にまで引き下げることだ。現在の電気代はアメリカの約2倍、韓国の約3倍だとされている。 基本的に、今の財政赤字は富裕層の預貯金によって賄われている。つまり、国債費の内の利払い費は、これらの富裕層への一般国民からの富の転移でしかない。つまり、毎年毎年、10兆円規模で富裕層には不労所得が発生しているわけだから、これをきちんとした経済活動を伴ったものへ戻していく必要があるのだ。その意味で、富裕層への増税しか、増税の選択対象はない。
財政再建は可能か?
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<36>>
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