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沈黙守るゴールドマンの取締役会−山積する問題と批判に無為無策 6月30日
(ブルームバーグ):
2008年12月16日、米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループの法務顧問、グレッグ・パーム氏はワン・ニューヨーク・プラザ37階のオフィスでその電話を取った。元上司、スティーブン・フリードマン氏(72)からだった。元ゴールドマン会長のフリードマン氏は当時、取締役会監査委員会の委員長を務めていた。ゴールドマンの株価は当時、世界的な金融崩壊の中で52週高値から65%下落していた。
その年の初めにニューヨーク連銀の会長になっていたフリードマン氏はパーム氏に、ゴールドマン株を買いたいと言った。
パーム氏はフリードマン氏がゴールドマン株を買って悪い理由は思い当たらないと答えた。同社はその日の届け出で、必要な情報を開示したという。
現在もゴールドマンの取締役であるフリードマン氏(72)は08年12月17日に、ゴールドマン株3万7300株を1株当たり平均80.78ドルで購入した。5週間後にはさらに1万5300株を1株当たり平均66.61ドルで取得した。これらの価値は以来2倍以上になり、現在では300万ドル(約2億6600万円)を超えている。
米下院の監視・政府改革委員会は現在、フリードマン氏の株購入について調査している。ニューヨーク連銀の会長として銀行を規制する立場の同氏が、規制対象企業の株式の購入を許された点を問題視している。
沈黙
フリードマン氏の問題と並行して、規制・司法当局とのゴールドマンの軋轢(あつれき)が悪化する中で、同社の9人の外部取締役は口を閉ざしている。
例えば、4月16日に米証券取引委員会(SEC)が住宅ローン関連証券の引き受けと販促で詐欺行為があったとしてゴールドマンを提訴したときも、取締役会は沈黙を守った。SECはゴールドマンが顧客のヘッジファンド会社ポールソンが証券の組成に関与した事実を他の顧客に開示していなかったと指摘している。
事情に詳しい関係者2人によれば、連邦検察当局も同問題を捜査し訴追の可能性を検討している。
企業統治に関する調査会社、コーポレート・ライブラリーの共同創業者、ネル・ミノウ氏は、SECの提訴と同時に外部取締役が調査委員会を組織し外部から弁護士を起用するとともに、調査結果については公表すると宣言するべきだったと指摘する。
ウェルズ通知
取締役会はまた、メンバーの株売買についても監視すべきだったとコーネル大学法科大学院のロバート・ホケット教授(金融規制専門)は言う。
ゴールドマンは、SECが詐欺の疑いで調査していることを伝えるウェルズ通知を09年7月28日付で受け取っていた。同社はこの事実も、今年4月に実際に提訴されるまで明らかにしていなかった。ブルームバーグのデータによれば、09年10月−10年2月の間に、マイケル・エバンズ副会長を含む少なくとも3人の幹部が2700万ドル以上のゴールドマン株を、ストックオプション(自社株購入権)の行使や制限付き株式の権利発生とは無関係に売却していた。
ゴールドマンの広報担当のルーカス・バンプラーグ氏は、ゴールドマンの弁護士らはウェルズ通知が重要ではないと判断したと説明した。ホケット教授は、「一見してこれを重要でないと判断したなど、すました顔をして言う人間がいるなど想像もできない」とコメントした。
ゴールドマンの幹部と取締役会が対応しなければならない問題はさらに積み上がっていく。
取締役だったラジャット・グプタ氏は5月の株主総会で再選を目指さなかった。事情に詳しい関係者によれば、米当局は同氏がバークシャー・ハサウェイによる08年の50億ドルのゴールドマン投資について情報を漏らしたと疑っている。同氏の代理人のゲーリー・ナフタリス弁護士は、グプタ氏が「法律や規則に反したことは一度もない」と述べた。
グプタ氏
今年4月27日、米上院の常設調査小委員会は金融危機におけるゴールドマンの関与を解明するため、11時間にわたる公聴会を開いた。同委員会のカール・レビン委員長(民主、ミシガン州)は公聴会で「ゴールドマンは繰り返し、自社の利益を顧客および社会の利害に優先させた」と指摘した。バンプラーグ氏は「同意しかねる」と述べた。
6月7日には議会の金融危機調査委員会(FCIC)が、ゴールドマンが10億ページを超える量の文書を電子的に送り付け調査の妨害を図ったとして、同社に召喚状を送った。
株主に助言を提供するリスクメトリクス・グループ(ニューヨーク)のスペシャルカウンセル、パトリック・マクガーン氏は「これらを通して、外部取締役の顔は全く見えてこなかった」と指摘する。「倫理的に正しい姿勢を示そうとしているのか疑問だ」と述べた。
顔が見えない
バンプラーグ氏は、取締役会の見解は「取締役会の会長であるロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)が明白にしている」と主張している。
バーンスタイン・リトウィッツ・バージャー・アンド・グロスマンの元パートナーでニューヨーク州司法長官に立候補しているショーン・コフィー氏は、ゴールドマンの取締役会は声を上げることによって批判を防ぐことができたかもしれないと話す。取締役会は倫理問題を調査し事実を把握するため、独立した弁護士を含む外部取締役委員会を組織するべきだったという。
またミノウ氏によれば、ゴールドマンは証券法の法順守当局での経験のある人間を内部調査の責任者に指名するべきだった。
ウォルマート
しかしゴールドマンはそうせず、今年3月に小売り最大手のウォルマート・ストアーズの元CEO、H・リー・スコット氏を指名。株主はのちにこれを承認するが、年次総会で人選の理由を聞かれたブランクファインCEOはすまして、「私はウォルマートで買い物するのが好きだからだ」と答えた。
株主総会でゴールドマンは、利益相反の可能性や透明性と情報開示などの問題を検討する内部委員会の設置を発表した。委員会を率いるのはエバンズ副会長とゴールドマン・サックス・バンク・USAのE・ジェラルド・コリガン会長。取締役会メンバーは含まれていない。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aJhpD4D6J514
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