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2010年06月27日
中国のストライキに思うこと
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中国の日系車工場、停止続く 部品会社のスト拡大 (2010/6/24日本経済新聞社)
【広州=吉田渉】中国南部、広東省の日系自動車部品メーカーで賃上げを要求するストライキが相次ぎ発生し、現地の日系完成車工場が部品不足で相次ぎ操業を停止する事態となっている。トヨタ自動車の広州工場は23日も操業停止を継続。新たにバネ大手のニッパツでもストが発生し、23日にホンダの工場が生産を止めた。従業員は他社工場の賃金動向に敏感になっており、ネットや携帯電話で情報を収集。ストの飛び火が止まらない状況だ。
広州市内にあるトヨタ系部品メーカー、デンソーの工場の中庭には青い制服を着込んだ200人以上の従業員が23日午後、集結していた。同工場では21日にストが発生し、燃料噴射装置などの生産ラインが停止。23日も労使協議が続く。中型車「カムリ」などを手掛ける広汽豊田汽車(広汽トヨタ)の操業は22日から停止したままだ。
23日午後5時。デンソー工場に、トヨタと合弁を組む国有自動車大手、広州汽車集団の曽慶洪総経理が現れた。「協議と平行して仕事に戻るように」。従業員への必死の呼び掛けに一部で拍手も起きたが、大半は不満げな表情のまま。終業時間になると従業員たちは次々と帰宅。「納得できない」「明日もストを続けるぞ」。口々に大声でまくし立てた。
「昨日(22日)の午後5時にストをしようとみんなで決めた。回りの工場に比べるとおれたちの給料は安い」。23日午後、広州市内にあるニッパツの現地工場の入り口で、20歳代の従業員は話した。同工場でストが発生したため、ホンダの現地合弁会社、広汽本田汽車(広汽ホンダ)の工場が部品不足で同日早朝から稼働を見合わせる事態となったが、この日のうちに労使の協議が成立。広汽ホンダの工場は24日朝から稼働する予定だ。
スト頻発の背景には、インターネットや携帯電話の普及で他社の賃上げ情報などを簡単に入手できるようになったことがある。23日、デンソーの工場でも携帯の画面に見入る従業員が大勢いた。広東省仏山市のホンダの部品工場でのストで経営側が賃上げを受け入れたことも影響したようだ。
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「ストライキ」だそうである。一体この言葉をこの国で聞かなくなってから、もうどれくらいになるだろう?ストをしないナショナルセンターばかりになり、「労働組合の組織率」そのもが年々下がり「無権利な非正規労働者」だけが毎日増え続けるこの日本という国。その一方で、かつて「労働力が安い」ことを理由に進出した中国で、労働条件改善を求めてストが起きる・・・、いつの間にかそんな世の中になってしまった。中国の経済が成長し、労働者の生活が向上するにしたがって、日本企業も中国で今までのように勝手なことは出来なくなってきた、ということだろう。国内ではどれだけ「無法」なことが出来ても、海外では好き勝手は許されない。普通はちゃんとした「法律」が整っているから。日本の大企業はそれが分かっているから、例えばヨーロッパでは法律に従い、不当な解雇はしないし、長時間労働はさせない。日本と違い社会保険負担は、全額企持ちだが、それに文句をいうこともない。
つまり欧米では、彼らは国内以上のリスクを「甘んじて受け入れている」のである。
その「事実」をひた隠しにして「日本は法人税が高いから企業が海外に出て行く」というデマを、大企業経営者とマスコミは必死に振り撒く。事実は著しくそれに反している。私は以前次のように書いた。
http://takashichan.seesaa.net/article/147842747.html
日本の大企業が日本国内でやっている「非正規労働者を雇い、必要なくなれば自由に使い捨てる」という「労務政策」は、アメリカやヨーロッパでは行なうことが出来ない。何故ならば、それらの国々においては労働者の人権を守る「法律」ががっちりと出来上がっており、日本企業と言えどもそれを侵すことは許されないから。つまり欧米諸国で「稼働」している「日本」の工場は「現地では」そのような「生産調整」が出来ないということになる。
それじゃあその分の「生産(=雇用)調整」を日本国内でやりましょう、というのが日本の大企業の現在やっていることなのである。過去十数年にもわたって行なわれてきた地ならし(=「派遣法」やその他の労働法制の「破壊」)の目的は、まさにそこにあったということなのだ。
例えば日産自動車の社長カルロス・ゴーンはフランス人だが、何故これほど業績を伸ばしているかといえばそれは、本国フランス国内では絶対に許されないような「雇用政策」を日本国内で「実践」しているからに他ならない。
(引用終わり)
このように日本国内の労働者は今や、海外でクビを切ることが「許されない」労働者の代わりに「調整弁」の役割を与えられているのだ。まるで「出力調整」を容易にできない原子力発電所をフル稼働して、火力や水力で発電量を「調整」するのによく似た光景といえる。
菅政権が正式に発足した6月8日、民主党の枝野幹事長と、細野幹事長代理が真っ先に表敬訪問にむかったのは、米倉弘昌日本経団連会長であった。そこで民主党は「一つの大きな材料として成長戦略という経団連のみなさんとも方向性の合うものを携えていきます」と約束した。民主党の「成長戦略」は、日本経団連とも「方向性の合うもの」だ、と。それでは、日本経団連の「成長戦略」とはどのようなものか。「豊かで活力ある国民生活を目指して〜経団連 成長戦略 2010」なる「提言」によると、
@「消費税の税率の早期引き上げ」を行ない「2011年度から速やかかつ段階的に(たとえば、毎年2%ずつ引き上げ)、消費税率を少なくとも10%まで引き上げ」ること「2020年代半ばまでに10%台後半ないしはそれ以上へ引き上げ」る。
A同時に、「法人実効税率の早期引き下げ」を行ない「成長戦略の必須の柱」として法人実効税率を現行の約40%から30%に、早期に10%引き下げる。
ということなのだそうだ。これは今回の参議院選挙で民主党や自民党が掲げている「公約」とぴったり一致する。財界・大企業が考えている最終シナリオが、私には見える。彼らは、現在「労使折半」で負担している社会保険料を、全額労働者負担とすることを目論んでいるはずだ。そうやって負担を免れた分の「埋め合わせ」を消費税でまかなう、そのような欧米先進国では許されもしない「構想」が、ありありと見て取れるのだ。まさに歴史の歯車を逆に回すような野蛮な政策を進めようとしているのが現政府の実態である。他にも共産党を国会から締め出すのが目的の「衆議院比例定数削減」というのも、財界の強い要望として出されているのは、みなさんよくご存知のとおりだ。
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