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Re: 松本清張と肩を並べる藤原肇博士の推理力の秘めている謎と驚異
http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/653.html
投稿者 薬組 日時 2010 年 6 月 16 日 22:35:29: ZbN8gq5oZOb0s
 

(回答先: 天木大使と藤原肇博士の革命的な内容の対談 投稿者 カクジツ先生 日時 2010 年 6 月 16 日 08:13:38)

藤原肇博士はフランスの大学で地質学の学位をとったということだが、日本の歴史の暗部についての分析と考察力の鋭さは驚くべきものである。そのことを「読書日記」というブロッグが報告しており、藤原氏が出した「夜明け前の朝日」という名の著書の中に、大杉栄の暗殺にまつわる推理を秘話の形で紹介してあって、これが菅内閣が誕生した今の時点での日本の政治の混乱との関係で見るならば、実に意味深長な歴史の相関関係が読み取れるように思われる。それは大杉栄と共に暗殺された伊藤野枝との痴情関係で、大杉栄を殺そうとしたのが若き日の神近市子であったが、その子分として市民運動に参加していた野が菅直人という風来坊であり、それがいつの間にか日本国の首相になっている。しかも、民主党という政党の首相のはずだが、閣僚のほとんどは小泉内閣から送り込まれた新自由主義者であり、前原大臣がCIAの手先であることは誰でも知っている上に、幹事長が隠れ小泉チルドレンということからして、関東大震災の前後の日本の不穏な政治状態が、菅内閣にまつわる政局として復活するように見えるのが不思議である。そういう意味においては、「夜明け前の朝日」なる本は奇妙な予言の書と考えられないことはない。

<貼り付け>
読書日記

●大杉暗殺  「『夜明け前の朝日』(鹿砦社)より。
2008/01/10 21:21

 前記、「★「『夜明け前の朝日』(鹿砦社)の中に書いてあるが、・・・」の該当部分を下に引用しておきます。
 
 ★鹿砦社  2001年5月1日刊 だが、この記事=対談の初出は『創』誌1998年10月号
   であると、『夜明け前の朝日』巻末にある。

 **************

 第三章 朝日・講談社巻き込む「大激論」の欠落した部分
 [歴史の証言】 (その2)
  ●歴史の秘密と隠れた情報の点を線に結ぶ より。  

対談者の紹介は次の通りです。

 お互いが相手の記事や著書の読者として、30年も昔から名前を知り合っていながら、1度も会って話し合うことがなかったのに、雑誌・『創』(つくる)に掲載された私の記事が縁になり、鋭い分析で知られた評論家と対話の機会を得た、話の内容が多岐にわたって展開したので、多分にまとめるのが難しいお喋りになって、扱った事象や人物の説明を抜きにしては、言っている意味が分かり難い部分もあるが、ジャーナリズムの問題を考えるために、重要な示唆を含むので相手を*Lとして復元した。*Fは藤原肇氏。
  
  ****************
<以下、引用>
 ・・・ 
L: えっ、それは驚きです。そんなことは夢にも考えなかったし、あの松本清張でもそこまで推理したとは言えないが、地獄耳の私でも聞いたことがありません。竹下が幾ら自民党の日韓議員連盟の代表で、韓国と太いパイプを持っていたとはいえ、そんなタメにするような情報は信じられません。松本清張でもそれは言わなかったし、知っていたら絶対に書いていたはずだが、私は彼から片鱗もその話を聞いていません。

●情報の真偽を見破る眼識

F: さあ、どうでしょうか。絶対に正体を現わさない秘密もあります。
それに、清張の長編小説で読んだものは少なくて、『霧の会議』と遺作の『神々の乱心』くらいであり、多くの人から『深層海流』を読めと言われたが、どこの文庫本にもないので未だ読んでいません。『霧の会議』はバチカン銀行とフリーメーソンを扱ったが、その前にガーウィンの『誰が頭取を殺したか』を読んでいたので、清張がヨーロッパを舞台にしたものは迫力が乏しく、事件の掘り下げ方が通俗的だと思いました。
 ただ、高校生から大学生にかけての頃だったが、『日本の黒い霧』や『昭和史発掘』を読んだ印象では、彼は鋭い史限を持つ人だと思いました。

L: 彼の作品では短編に比較的いいものが多く、長編小説ではどうしても限界があるが、社会派の作家として国内問題に関しては、資料集めに力を注ぎいい仕事をしています。
 話題が変わりますが、石油ビジネスを専門にしている藤原さんの目で、石油業界を具合に安宅産業が潰れた事件を描いた、あの『空の城』をどう思われましたか。
F: 実は、未だ読んでないのです。

L: 日本で映画化されて大評判になりましたが、石油ビジネスをやったあなたが読んでいないのは、私には非常に不思議でならないのですが・・・。

F: 安宅事件に関しては経済記事を読みましたが、石油ビジネスの本質に迫ったものはなく、ジャーナリストの調査は実に告白的です。国際石油政治の掘り下げは簡単でないから、幾ら社会派の清張でもあまり期待できないので、それを小説で読むのはナンセンスでしょう。
 日本でオイルマンと称していろいろと書き散らす、落合信彦にしてもハッタリ屋の小説家で、石油開発をやって生きて来た私の目には、石油ビジネスのイロハも知らない人です。

L: ハッタリを書き散らすと言われたが、具体的にはどういうことを指しますか。

F: キリスト教について少し知っている人なら、カトリックは神父でプロテスタントは牧師と呼び、その世界での専門的な言葉遣いがあり、牧師が告解を受けるとは絶対に言いません。石油会社で石油の発見を担当する部門は、エクスプロレーションと言って探査とか開発と訳しますが、落合は商社のレベルの発想で調査部と書いたり、セメンティングをリグ(掘削装置)を固定するためだなんて、飛んでもないデタラメを書いています。

L: プロが使う用語をカタカナ英語で書けば、誤魔化せると思っているわけですか。

F: そんなレベルです。幾ら日本語が上手なアメリカ人でも、神社の神主とお寺の和尚さんを取り違えて、出雲大社の和尚さんと書けばお笑いで、日本人なら誰でも知識の浅さが分かるし、宗教のイロハも知らないと思うのと同じです。

L: そうですか。それでは落合はともかく松本清張ですが、彼は『神々の乱心』を非常に興味深く読んだので、あれについてのコメントはいかがですか。

F: 私も先生と同じでとても興味深く読みました。
冒頭にある天津アヘン密輸事件の密輸犯が、三島由紀夫の祖父の平岡錠太郎であり、吉薗周蔵という実在の人物を二人に分け、吉屋謙介と荻園泰之という主人公にして、筋を展開する清張の手腕はなかなかのものです。しかし、落合莞爾の『陸軍特務・古薗周蔵の手記』を読んでいるので、清張が小説の中では触れるに至らない、アヘン売人の中に若き日の牧口常三郎(創価学会初代会長)がいたり、大杉栄が後藤新平のスパイだった話との関連で、ちょっと物足りないという感じがします。

L: えっ、大杉栄が後藤新平のスパイだったのですか。そんな話は今までも聞いたことがないが、アナキストの大杉は後藤内相にとって、最も警戒すべき要注意人物だったはずです。それなのに、大杉が手下だったというのは奇想天外で、私にはとても信じることができないが、そんな奇妙なことがあり得るでしょうか。

F: だから、秘められた歴史の真相は興味深いのです。でも、この件に関しては『朝日と読売の火ダルマ事件』の中に、ちょっとほのめかして書いておいたのですが、先生はそれにお気づきにならなかったのですか。

●秘められた歴史のジグソーパズル

L: 後藤新兵のことは正力松太郎の話の中に、だいぶ出て来たのは記憶しておりますが、大杉が後藤のスパイだということに関しては、恥ずかしいが記憶に残っておりません。

F: 実は、大杉と同棲していた伊藤野枝がスパイで、彼女の祖父は玄洋杜の頭山満と親しく、後藤の親分だった児玉源太郎に私淑した、杉山茂丸と繋がりがあったのです。

L: そう言えば夢野久作の親父の杉山茂丸は、明治から昭和にかけて政界の巨大黒幕だが、彼は『児玉大将伝』という非常に痛快な、児玉源太郎の伝記を書いていましたな。

F: 児玉台湾総督の下で民政長官だったのが、後に内相に就任した後藤新平だったし、彼が名古屋時代に作った娘の静子の息子が、メキシコに渡った左翼演劇家の佐野碩です。静子が結婚した医者の佐野尨太の兄が佐野学で、野坂参三とは遠戚関係で繋がっており、野坂の身内は神戸のモロゾフ製菓の筋です。その周辺には警保局長や特高課長がいて、すべてが後藤に繋がっていることから、後藤が共産党を作ったと考えられるのです。

L: そんなバカな・・・。。どうして内務大臣が共産党など作りますか。

F: 共産党を作ってそこにシンパを集めれば、弾圧する時に手間があまりかからないし、世界的なスケールで展望して見るならば、情報収集をする上で非常に便利です。後藤新平は日本人離れした大型の政治家だったから、ソ連の外交官ヨッフェと親交を結び、英国流の帝国主義を手本に使いながら、日本の政治を改革しようと試みています。

L: 確かに満鉄の初代総裁として采配を揮い、関東大震災後の東京市長としても活躍して、日本の政治家の水準を越えていた人です。
 それにしても、あなたと喋って歴史の話をしていると、松本清張が文春に連載したイラン革命の話で、冒頭に出て来るイラン系ユダヤ人商人が、米国から祖国を遠望するのを思い出して、実に奇妙な感じがしてなりませんな。

F: 私は『文芸春秋』を定期購読していないし、松本清張の小説はあまり読んでないので、おっしゃっていることの意味がよく分かりませんが、清張はイラン革命を小説にしたのですか。

L: パーレビ皇帝が失脚した時のドキュメントです。

F: 残念ながら知りませんでした。それじゃあ、話を後藤新平が持つ実力に戻しますが、日本では本当に優れていたらダメであり、三流のものしかトップになれないのです。
 それは歴史書の場合においても同じであり、幕末のことを知る上で最良の本としては、マリアス・ジャンセンの『坂本竜馬と明治維新』で、その次に大仏次郎の『天皇の世紀』が来て、奈良本辰也の幕末物が続くと私は思います。小説は十番以下に来ることになり、子母沢寛から海音寺潮五郎に続いた後で、司馬遼太郎が来ると私は考えていて、日本人がなぜ司馬を持ち上げるのか不思議に思うが、彼が日本ではトップ扱いされていますね。

L: 今の日本では司馬遼太郎を国民文学と言って、財界人から政治家に至るまで愛読しており、藤原さんのような考え方は少数派です。
 この間も『文芸春秋』が人気投票をやって、誰が日本の作家で好まれるかを発表したが、一番は夏目漱石で二番が司馬遼太郎だった。不思議だったのは吉川英治がいるのに、20傑に松本清張が入っていなかった点です。私は司馬より松本の方が国民的だと思うが、小説は各人の好みが関係しているために、自分の趣味は押しつけられないのです。

●松本清張に見る幅広い取材ネットワーク

F: 司馬の小説の主人公は必ず売れるタイプで、いかにもヒーローになりそうな人が多く、判官贔屓の日本人によく受けるのは、新しい愛国主義が底流にあるためです。彼には小栗忠順は描けないだろと思うし、現代史の謎に挑む気はなかっただろうが、『街道を行く』は歴史が主人公だから好きです。ただ、『街道を行く』と『昭和史発掘』の比較になると、私は清張の歴史への冷めた視点の方が、司馬のロマン主義よりも強く惹かれます。
L: 松本の筆法はジャーナリスティックだし、推理小説のやり方で話を展開しているので、謎解きとしての興味が加わるからです。また、彼は非常に熱心に資料を集めていたし、取材力を誇る記者や情報マンたちを動かして、いろんな組織や会社から情報を集めた上で、老練な刑事がやるような緻密な調査を行い、事件の骨格や当事者の心理を分析してます。文春の嘱託だった大竹宗美も彼の情報マンであり、内調のレポ役の形で動き回っていたが、大竹は児玉誉士夫のアンテナ的な存在で、三矢事件は児玉が持っていた資料の山を使い、社会党の岡田春雄の所にそれを待ち込んで、国会で爆弾質問を仕掛けたということです。

F: 内調を通じて大竹と田中の関係が分かるし、文巻が事件として騒ぎ立てるとしたら、メディアとしてマッチポンプをしたのですね。

L: 松本清張の情報源として重要だったのは、文春と朝日が手配した優秀な調査マンで、当時のカネで月に百五十万円も遣っていたから、今の貨幣価値だと十倍以上に当たるので、文春が音を上げたのももっともでした。それに、松本自身が朝日の広告部門だったから、新聞社の内容について熟知していたので、『赤旗』の報道部長になった下里正樹までが、情報整理のために秘書として手伝っており、彼のネットワークは実に凄いものでした。

F: 彼の人脈からすれば当然でしょう。また、私は森鴎外の史伝に属す作品が好きだから、清張の歴史小説より初期の短編を評価するが、なんと言っても『昭和史発掘』が最高であり、あの現代史に対して挑戦した仕事は、彼にしかできない偉大な成果だと思う。
 『朝日と読売の火ダルマ時代』の「まえがき」に書いたが、過去10年間に読んで最も衝撃を受けた、鹿烏昂の『裏切られた三人の天皇』を清張が読んだら、『幕末史発掘』をどんな具合に書くかと考えると、眠られなくなるほどの興奮を覚えてます。

L: 私は未だその本を読んでいないから、なんとも意見を言えないのが残念です。ただ、松本漬張は歴史感覚が優れているので、日記や古文書を懐疑して扱う精神を持ち、その背後にある動機や心理の分析を試みて、歴史の真相に迫って何かを発掘するのです。

F: シナの歴史は必ず前王朝が悪辣政治で、天命により王朝交替の革命が起きたから、今の支配者が正統だと書いてあるけれども、日本の歴史も支配者のために書き直しが行われ、史実を抹殺した現世賛美の作文です。だから、『古事記』や『日本書紀』が問題になるのは、藤原不比等が書き改めているからだし、書かれた歴史のほとんどが捏造に属すから、真相の解明には推理小説の手法が有効です。

L: そうなると司馬遼太郎より松本漬張が、推理発想の点で有利になるわけですね。

   <完>  

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コメント
 
01. 2010年6月18日 13:50:25: pkEdbttu1A
敗戦直後の国民作家は吉川英治だったが、戦後の復興の中で国民が頑張った時期に、松本清張が下積みで苦労した国民の気持ちを代弁して、推理力の楽しさを加味した作品により、国民作家としての地位を確立したのだった。彼が『或る小倉日記』で芥川賞を取ったときには、日本の文学はまだ衰退の時期をむかえていなかった。それに続いて日本が豊かになりだしたのに歩調を合わせて、経営者の期待にこたえた形で司馬遼太郎の作品が人気を集め、その明るさが読者の好みに一致したこともあり、坂の上の雲を目指す国民の気持ちを反映し、国民作家としての地歩を確立したが、それが日本経済の絶頂期と重なり合っていた。松本と司馬のどちらが国民作家の王者かという判定は難しいが、少なくとも今の日本には松本も司馬も存在せず、閉そく感の中でマンガ的なストリーばかりが好まれ、それはパチンコ屋の看板に似て虚しさを強く感じさせる。

02. 2010年6月20日 02:12:14: DCHDReL3A2
松本清張って、学校にもいかず、独学で、文章を磨き、これほどの奥の深い小説を数多く作りあげた。その能力は、天才としかいいようがない。オレにはむり。
それにしても、現代において、学歴のない人間に、そのような作家を育てる懐の深い社会環境があるのであろうか。
型にはめた受験勉強を突破し自分たちと同じような経験をしたものしか認めない現代の社会ではなかろうか。それだと、他者とはまったく違う大きな才能を秘めた人材が
出にくいのではないか。

03. 2010年9月09日 14:29:11: FFIErVvouc
学歴社会には分割統治のために内部対立をあおる仕組みがあるね

04. 2010年9月11日 08:23:23: 5gUOArsSvI
藤原肇先生が5年前に『小泉純一郎と日本の病理』で予言した、小泉流の「賎民資本主義」(新自由主義・市場原理主義)のままでは、国民はさらに貧しく、そして国も社会も国民自身もどんどん劣化していく、とは、まさにその通りになっています。
その本で、無能と断じられている安倍や麻生が首相になってさらに悪くなった。
そして、政権交代しても民主党政権も結局小泉と変わらなくなった。
国民は目覚めず破滅へひた走ろうとしている。もう日本はダメかもしれない。

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