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(回答先: ソロス氏:「危機の第2幕が始まったところ」−30年代を想起われわれの知る金融システムの崩壊は現実だ 投稿者 gikou89 日時 2010 年 6 月 11 日 10:17:49)
http://diamond.jp/articles/-/8405
岸博幸のクリエイティブ国富論
霞ヶ関の利害と一致する菅新政権の「第三の道」は、
財政再建ではなく財源確保のための大増税への道だ
菅政権が発足し、世論調査では日経が68%、毎日が66%、読売が64%、朝日が60%と、満遍なく高い支持率が出ました。脱小沢の体制が評価されたのでしょうが、どうも違和感を感じざるを得ません。発足早々の菅総理の発言から、経済財政政策については非常に危ういと言わざるを得ないからです。
“財政再建のための増税”にだまされるな
菅総理は、“財政再建のための消費税増税”に前向きな発言を繰り返していますが、これを額面どおりに受け取ってはいけません。
確かに日本の国と地方を合わせた累積債務は、GDP比約200%と先進国の中で最高水準、財政破綻したギリシャよりも悪い状態にあります。麻生・鳩山の大盤振る舞いの前ならば増税なしでの財政再建は可能でしたが、今や増税が不可避な状態にあるのは事実です。
菅総理は、G7などの場を通じてギリシャの財政問題の深刻さを実感し、財政再建とそのための消費税増税に前向きになったようです。それが純粋に財政再建のためだけならば良いのですが、今の政府にはまだムダが山ほど残っていて、かつ民主党のバラマキ政策が修正されていないことを忘れてはいけないのではないでしょうか。それを放置したままでの安易な消費税増税は危険です。
民主党がマニフェストに掲げたように、行政にはまだかなり多くのムダが残されています。政権は事業仕分けでそれを削減しようとしましたが、過去2回の成果からも明らかなように、そうしたアプローチでは時間がかかるし成果も限定されると言わざるを得ません。マニフェストで約束した“行政のムダ削減による新規政策の財源捻出”は、初年度から実現できなかったのです。
かつ、政権は密かに行政のムダを温存しようともしています。その典型例が公務員制度改革の関連で策定された公務員の「退職管理基本方針」です。これによると、役所の幹部クラスの年次の人で幹部ポストに就けなかった人のために“高級スタッフ職”的な専門職ポストを新設するようです。要は、今の政府は民間企業で言えば破綻状態なのに、民間では当たり前のリストラは行なわず、仕事がない人にも高い給料を払い続けようとしているのです
加えて、民主党がマニフェストに掲げたバラマキ政策は、子ども手当など一部で見直しの方向になっていますが、全体としては大きく修正されていないことにも留意すべきです。
そのように考えると、政府のムダとバラマキ政策が温存されているにもかかわらず、財政再建だけを錦の御旗にして消費税増税を訴えるのは、ある意味で国民に対する詐欺ではないでしょうか。
菅総理は財務大臣時代、“来年度予算での国債発行額を今年度と同じ44兆円に抑える”と発言しました。しかし、この金額自体が異常な数字であることを忘れてはいけません。今年度予算では税収が37兆円に対して国債発行が44兆円です。今の日本は既に身の丈を超えたお金の使い方をしているのです。小泉時代は国債発行額を30兆円に抑えようとしていたのと比較してください。
つまり、今のままでは、表面上は財政再建だけを理由にしているものの、実質的には“財政再建と政府のムダ&バラマキの財源確保のための大増税”となりかねないのです。本来目指すべきはそうではなく、“財政再建のための最小限の増税”のはずです。
もし政府のムダとバラマキ政策を改善しなかったら、消費税率は25%近くになっておかしくありません。消費税1%あたりの税収は2兆5千億円なので、それで国債発行分の44兆円を賄おうと思ったら、現行の5%に18%程度は上積みしないといけないからです。でも、財政再建だけのためだったら、消費税率は例えば10%程度で済むはずです。
今私たちが真剣に考えるべきは、消費税増税の可否ではなく、大増税と小増税のどちらを選ぶべきか、なのです。
“第三の道”にだまされるな
そして、菅総理の就任後の発言のうち財政再建や消費税増税以上に気になるのは、経済政策についての「第三の道」発言です。増税をしても、その税収を社会福祉や医療、環境などの雇用創出につながる分野に政府が賢く支出すれば経済は活性化する、という主張です。
政府が賢い支出をしてきたかどうかは、過去の実績からも明らかです。民主党も、政府がこれまで賢くない支出をしてきたと認識したからこそ、行政のムダを大胆に削減するとマニフェストで約束したのです。そして、過去2回の事業仕分けの成果からも分かるように、少数の政治家や民間人だけでは、そのムダを削減することさえ困難なのです。
そうした状況にもかかわらず、民主党が政権を持っていれば政府は賢い支出をできるようになるんだと言われても、誰がそれを信用できるでしょうか。
かつ、よくそうした“政府による賢い支出”の事例としてスウェーデンなどの北欧諸国が挙げられますが、それも真に受けてはいけません。スウェーデンの人口は925万人、デンマークは550万人です。日本でそれに近い数字を探すと、神奈川県が900万人、福岡県が500万人です。
つまり、日本の地方自治体レベルでならば、北欧諸国のように市民が政府をしっかり監視して、政府のムダを排除するとともに賢い支出を行なうことも可能かもしれませんが、それを1億2千万という巨大な国に同じことを期待して大丈夫かどうか、よく考える必要があります。1億2千万の国民生活を支える公務員の数は自ずから膨大な数になるからです。
そう考えると、この“第三の道”の主張は非現実的と言わざるを得ません。その主張に媚びた発言をする学者の人もいますが、行政の現場の経験もない机上の空論をベースに、1億2千万人を道連れにしかねない失敗確実な壮大な実験は控えるべきではないでしょうか。
菅総理と官僚の思惑は一致する
このように考えると、菅政権が目指すのは“大増税&バラマキ&大きな政府”路線と言わざるを得ません。そして、それは官僚の利害と一致することを忘れてはいけないと思います。
財務省にとって消費税増税は悲願です。他の省庁は財政再建などにほとんど関心なく、自分の役所の予算が増えればそれだけで万々歳です。つまり、菅政権が考える経済財政政策は、官僚からすれば願ったりかなったりなのです。
そう考えると、この政権は危ういように感じます。菅総理は「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」と発言しましたが、まず強い経済を実現して、その身の丈にあった財政と社会保障を実現するのが本筋です。
そして、強い経済の実現のためには、デフレ解消に向けた金融緩和、企業の活性化に向けた法人税減税や規制改革が不可欠なはずです。日本の経済と財政が置かれている状況は危機的であるからこそ、経済財政政策については王道を歩むべきです。これは郵政改革についても言えますが、「小泉・竹中への怨念」丸出しの行動は慎むべきです
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