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【コラム】誓いの言葉:ゴールドマンの面白いコラム書きます−ルイス 6月9日
(ブルームバーグ):
数週間前にブルームバーグ・ニュースが報じた話だが、過去1年の間に米ハーバード大学経営大学院を卒業する数百人が、経営学修士(MBA)の誓いというものをしたという。
この誓いはニティン・ノーリア学長のお墨付きを得ており、他の経営大学院も模倣している。誓いの言葉は長文と短文の2種類あり、短文のバージョンは7項目の個条書きで、その1つには「腐敗や不公正な競争に従事せず、社会に害をもたらす事業慣行には従わないと誓います」となっている。
これをせんじ詰めれば次の1行に要約できる。「自身の利益と世界の利益との選択を迫られた際には、世界の利益を優先することを誓います」ということだ。
宣誓の話が伝わると、当然ながら皮肉屋がこぞってやゆした。市場経済と資本主義の前提であり通常の経営大学院の教えである「自身の利益に沿って行動することが世界の利益に通じる」という理念に反してはいないかと。
そもそも、普通の経営大学院卒業生に、自身の利益と世界の利益を区別する能力があるだろうか。この種の感傷的で意味不明瞭な宣誓は、社会の役に立つのだろうか。宣誓者は単に、自身の利益より社会の利益を優先していると社会に思い込ませたいだけだ。
ウォール街に大量流入
どちらにしても、自分よりも社会のために働きたいと思っているなら、なぜ宣誓者の多くがウォール街、それもゴールドマン・サックス・グループに就職するのだろう。宣誓文の作者の1人はゴールドマンのロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)を、企業の行動が社会にもたらす結果に無頓着な経営者の筆頭に挙げたというのにだ。
ともかく、MBAの誓いが既に、実質的な変化をもたらしているのは明白だ。ハーバード大経営大学院の過去1年の卒業者らが例年のごとくウォール街に大量流入し、誓いへの新たな情熱をウォール街に持ち込んだからだ。
誓い言葉の流行は永久的なものなのか、あるいは一時的なある種の「誓いバブル」といったものなのかは分からない。明らかなのは、ウォール街の多くの企業と従業員が、独自の誓いの言葉を作ることに熱意を燃やしていることだ。最近数週間にも、その幾つかがブルームバーグ・ニュースに伝わってきた。それらを紹介しよう。
ゴールドマン
――ゴールドマンの誓い 「われわれは『神の仕事』をしていても、それを神の仕事と呼ばないと誓います」 「ゴールドマンに勤めていない一般人と会うだけでなく彼らを知り、一般人の根拠なき行動をよりよく理解するとともに、必要な場合に限りこれを利用することを誓います」 「ウォール街で最高の誓い言葉を作ることを誓います」
――モルガン・スタンレーの誓い 「ゴールドマンのすることをすべてまねしようとするのをやめることを誓います」 「われわれもウォール街で最高の誓いの言葉を作ることを誓います」
――メリルリンチの誓い 「誓いがあるかどうか聞いてくれてありがとう。あります!」 「約7万4322人の米国の歯科医に、われわれが入札方式証券(ARS)と債務担保証券(CDO)のエクイティトランシェ(最劣後部分)を売りつけたことを忘れさせると誓います」 「次にウォール街が強引な商売をするときは、ゴールドマンの手先として利用されないことを誓います」
シティグループ
――シティグループの誓い 「米納税者との和解を目指す継続的な取り組みの中で、誓いの言葉を思いつき次第、最も高い値段を付けてくれる外国人に売りつけることを誓います」
――ヘッジファンド運用者の誓い 「本当に命運尽きた公開企業と国家のクレジットスプレッドのみを空売りし、強者を助け弱者を破滅させる適者生存の原理が一段と速やかに働くようにすることを誓います」
――ウォーレン・バフェット氏の誓い 「1人きりになった寝室の中でも、上記のヘッジファンド運用者のような姿を見せないことを誓います」 「米国のマネー文化の良心の指針であり続けることを誓います」 「そのために、ウォール街企業には通常の場合よりもよく調べないで投資することを誓います。こうした企業のうそやインチキ、盗みが後で発覚しても、わたしは何も知らなかったとまことしやかに言えるようにします」
AIG
――アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の誓い 「当社の誓いをアジアに売却する件がうまくいかないので、この誓いのリターンを最大化するように引き続き管理していくことを誓います。もちろん、契約が守られボーナスが支払われた場合に限って誓います」
――米証券取引委員会(SEC)の誓い 「ウォール街でどの会社が最も米国民から憎まれているかを把握し、たとえ負けることが確実であっても訴えることを誓います」
――米議会の金融危機調査委員会(FCIC)の誓い 「今世紀の初めにウォール街で何が起こったのかを、2050年までに明らかにすることを誓います」(マイケル・ルイス)
(マイケル・ルイス氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストで、「ザ・ビッグ・ショート」などの著者です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aV.xagYjkmCc
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