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銀行危機スパイラル要因か−資本と見なされた米トラスト型優先証券 6月8日
(ブルームバーグ):
米国では銀行がトラスト型優先証券(TruPS)を今後も資本として活用できるようにするため躍起になっている。ただ銀行同士が持ち合うTruPSは、損失拡大の「下方スパイラル」を呼ぶとして当局者が警鐘を鳴らしている。
銀行監督当局が奨励せず、見過ごされることも多いTruPSの持ち合いは、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンのようにウォール街の技術革新によって編み出された。フロリダ州のリバーサイド・ナショナル・バンクのような小規模行がTruPSを利用できるようになったのは、投資銀行が他の金融機関発行の証券と組み合わせて債務担保証券(CDO)にパッケージ化したためだ。
1982年創業のリバーサイドは、支店数が65、資産規模が48億ドル(約4400億円)に拡大する中で、TruPSで組成したCDOを購入。不動産相場が急落し、金融機関が貸倒損失を計上すると、同行や同業約400行はTruPSの利払いを停止し、CDOのデフォルト(債務不履行)あるいは大幅な価値下落を引き起こし、大恐慌以来最悪の景気悪化に苦しんでいた金融業界に一段の打撃を与えた。
ルイジアナ州立大学のジョゼフ・メイソン教授(金融学)は、「業界は規則の抜け穴を利用し、業界内で資本調達していた。資本の本当の出し手を当局は把握せず、CDOの利用でそれがますます困難になった。そして銀行同士の損失が膨らんでいった」と指摘する。
修正条項
フィラデルフィア連銀によると、リバーサイドを含む1400近い米金融機関が2008年末までに計1490億ドルのTruPSを発行。これらを組み込んだCDO約450億ドル相当が同年に証券化商品市場が機能不全に陥るまで組成されていたと、PF2セキュリティーズ・エバリュエーションズは試算する。
米議会はTruPSを資本と見なす慣行に終止符を打つ可能性があり、そうなれば、同証券を利用して資本を調達してきた銀行は増資を余儀なくされる。共和党のスーザン・コリンズ上院議員(メーン州)が提案したTruPS利用を禁じる修正条項の議会通過を阻止しようと、銀行側はロビー活動を活発化させている。
米銀行協会(ABA)のマーク・テンハンドフェルド上級副会長は、TruPS利用が禁止されれば銀行は最大1300億ドルの増資か融資抑制を強いられるとして、「銀行持ち株会社の資本への打撃を最小限に抑えようと依然として取り組んでいるところだ」と語る。
ただ、条項の行方にかかわらず、リバーサイドは既に打撃を被っており、4月16日に米連邦預金保険公社(FDIC)によって閉鎖された。同行はTruPSを組み込んだCDOを組成した金融機関が他行にもそのCDOを販売している事実を公表しなかったとして提訴した。また、格付けが高過ぎたとも主張している。
Tier1
TruPSは銀行持ち株会社が簿外のトラストに債務を移し、それを証券化するもの。普通株と優先債の中間に位置することから資本の一部と見なされる。銀行の財務状況が悪化した場合は配当支払いを最大5年間連続して見送ることができる。
TruPSは1980年代から存在したが、銀行持ち株会社の監督機関である米連邦準備制度理事会(FRB)が96年に中核的自己資本(Tier1)の一部と見なすことを認め、幅広く受け入れられるようになった。
FDICのベアー総裁は、コリンズ上院議員の修正条項を支持する書簡を同議員に5月7日に送っている。FDICで消費者保護などを担当するジョージ・フレンチ氏は、金融危機でFDICの懸念は証明されたと述べ、配当延期は銀行の体力の弱さと見なされ、TruPSが資本の役割を果たせず、むしろ他行が保有していた同証券に損失を発生させたと指摘。「下方スパイラルにつながった」と述べた。
TruPSはCDOへの組み入れで普及したが、格付け会社フィッチ・レーティングスによれば、組み込まれたTruPSの13%余りが4月現在でデフォルトとなり、さらに17%で配当支払いが停止している。同社によれば、リバーサイドの9900万ドル相当のこうしたデフォルトは昨年12月以降最悪の規模だった。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=akW1UbbTImGA
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