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http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100605/crm1006051201016-n1.htm
昨年11月の新興市場「東証マザーズ」上場からわずか半年で史上最速の退場宣告が下された。証券取引等監視委員会から粉飾決算疑惑で強制調査を受けた半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」(相模原市)が6月15日付で上場廃止となる。売上高の9割を水増しした決算が厳格な上場審査をすり抜けていた事態に関係者は度肝を抜かれた。しかし、東証や投資家らがだまされた背景には、エフ社幹部の輝かしい経歴もあるとされる。“上場詐欺”成功の一因はブランドの威光だったのか。(花房壮)
「東証の危機」…内部告発文で粉飾露見
「東証マザーズの最大の危機だ」
5月12日午前。証券取引等監視委員会による「エフオーアイ」への強制調査の様子をテレビでみていた東京証券取引所職員は驚きを隠せなかった。
容疑は上場時に公表した決算が虚偽だったという金融商品取引法違反(有価証券届出書の虚偽記載)。新規上場時に粉飾した決算書を提出し、厳正な審査をくぐり抜けていたからだ。
「上場後に業績が悪化した企業が、融資をつなぎとめるためや投資家離れを防ぐために粉飾決算で外面をきれいに装うことは珍しくはない。しかし、上場前から市場を欺くとは…」
長年、証券市場をウオッチしてきた投資関係者も今回の粉飾決算疑惑の悪質さに驚く。
東証の危機感もかつてなく強い。粉飾した決算書で上場審査をクリアし、投資家から金を集める“上場詐欺”が簡単に成功してしまうとなれば、審査を通してしまった取引所の信用は失墜し、投資マネーの海外流出を引き起こす。
強制調査から4日後の5月16日。ついにエフ社は売上高の9割にも及ぶ100億円規模の粉飾決算を認めた。
早い時期の“自白”に、東証関係者は「エフ社幹部を相当厳しく追及し、早々に認めさせることができた」と胸をなで下ろすが、監視委幹部は「上場審査のあり方が今後厳しく問われることは間違いない。しかし、最初から悪意のある上場をどこまで見抜くことができるのか」と、東証の審査機能に一抹の不安を口にした。
一方、証券市場に衝撃を及ぼした“上場詐欺”が暴かれたきっかけは、今年に入って監視委や東証など関係各所に送りつけられた1通の内部告発文だった。
「粉飾決算した可能性が濃厚です」「海外取引の実態を調べてください」「売掛金が不自然なほど多いので、調べてください」
差出人不明の告発文にはエフオーアイの疑惑が列挙されていた。
監視委幹部は「告発文の情報の確度は驚くほど高く、結果として、異例の早さで強制調査に踏み切ることができた。粉飾決算を摘発する上で不可欠だった」と話す。
疑いの目で見られた「急成長」
「半導体装置を実際に製造していたが、在庫ばかりが増えていた。一方、伝票上は販売されたことになっている。売り上げの好調さを装うための典型的な手口だ」
市場関係者は今回の粉飾決算の構図をこう説明した。
実際に、売上高は世の中が不況色に染まっている中でも順風満帆だった。エフ社が発表した売上高は毎年20億円前後も増え、平成17年3月期に約31億円だった売上高は、4年後の21年同期に約118億円にまで急増している。
「エフ社をめぐっては台湾などアジアでの需要が好業績を支えているといわれたが、あまりの急成長ぶりは業界の一部で疑問視されていた。例えば、急成長の割に同社の商品が市場にあまり出回っていないことも不可解だった」
市場関係者は業界でそんな声がささやかれていたことを明かす。
東証をだました粉飾決算の手口については現在、監視委が取引先などの裏付けを取りながら解明を急いでいる。浮かび上がってきたのは、海外の実在しない取引先を用いた手口だ。
エフ社が上場審査のため東証に提出した有価証券報告書は、都内の公認会計士の審査を受けているが、この会計士に韓国の偽の取引先を紹介していた疑いがもたれている。
「国内の取引先と違って、海外の取引先の場合、書類で確認することがほとんど。書類を偽造した疑いもある」(メーカー関係者)
このほか、複数の取引先との売買契約書を偽造していた疑いもあるという。
「もともと“上場詐欺”など想定していない。東証は、株主構成や営業計画の実現性などはチェックするが、最初から会社ぐるみでうその財務諸表を作られたら見抜けない。会計士の監査証明がある財務諸表を疑ってかかることはない」と、市場関係者は東証の審査の限界について言及。東証の斉藤惇社長も5月18日の会見で「完璧(かんぺき)に仕組んだ場合は見抜けない」と認め、「今後、必要な対応を図っていきたい」とした。
野村&NEC…信用の源泉か
売上高の9割を水増しするという前代未聞の“上場詐欺”。プロである証券会社や投資家はなぜ株を買ってしまったのか。
「経営者らの経歴が影響したのではないか」と市場関係者は指摘する。
民間信用調査会社や同社のホームページによると、エフ社の社長はNECなどで半導体製造装置分野に従事し、平成6年に創業。豊富な人脈とともに、他社にはない高い技術力が評価されている。ナンバー2の専務は野村証券出身。ベンチャー投資事業にも詳しく、最高財務責任者として資本政策を担っている。
「NECや野村証券の肩書があれば、不可解な会社ではないと判断されるだろう。特に、財務担当者に野村証券出身者がいるのは信用獲得に大きな力を発揮する」
証券会社幹部はそう話す。
証券業界は今でも野村証券をピラミッドの頂点とする認識が浸透しているとされる
「就職試験で野村証券を落ちた人が東京証券取引所にいくケースも珍しくない。かつて不祥事もあったが、業界には今でも野村ブランドは通用している」
市場関係者はそう言い切った。
エフ社の株主に大手外資証券が名を連ねている点も、プロが信用してしまう理由になったようだ。
「外資証券が買う銘柄については、証券業界の中に『外資はいい情報を持っているに違いない』『もうかるかもしれない』と見る向きもある」(証券関係者)
大手企業の名前と外資というブランド。「投資家が株を買う際には、さまざまな指標を見比べるが、最後はブランド力がものをいうということだろう」と東証関係者は話す。
エフ社が東証から上場廃止の決定が決まったと連絡を受けたのは5月18日。投資家の怒りがわき上がる中、3日後の21日に同社は東京地方裁判所に破産手続き開始を申し立てた。
監視委は今後、経営幹部を刑事告発する方針だが、投資家が被った損害は少なくないとみられる。
「今回の事件を機に、市場から投資家が離れていかないことを祈るしかない」。東証関係者はそう話すが、有望株とみられたベンチャー企業にカネを注いできた投資家のトラウマは簡単には消えそうにない。
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