http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/324.html
Tweet |
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aV9vvACmha3o
5月27日(ブルームバーグ):公的債務残高が国内総生産(GDP)の約1.8倍と主要国で最悪の日本は、2007年度に国債利回りが低くても利払い費が増える局面への「転換点」を通過した−。大和証券キャピタル・マーケッツの尾野功一シニアストラテジストは、経済成長と金利抑制を両立し財政赤字の削減を進めた場合でも「今後10年以内に債務残高の増加に歯止めをかけるのは難しい」との見通しを示した。
尾野氏は26日、都内で講演し、「転換点」までは「国債利回り低下の恩恵で、債務残高の増加にもかかわらず、利払い費は減ってきた」と指摘。しかし、金利の低下余地は乏しく、累積赤字は増え続けるため、今後は「金利が横ばいにとどまった場合でも、利払い費は増えていくと容易に想像できる」と述べた。「政策的な経費に回せるお金が減り、財政運営は非常に厳しくなっていく」と予想した。
国と地方の純債務残高は、10年度に名目GDPの約1.6倍と試算。主要国で最低の国債利回りが小幅に上昇し、経済成長率が世界的な金融危機の前には戻らない場合、20年度には同2.8倍に悪化すると予測した。金利が上昇せず、景気が危機前の水準を回復し、基礎的財政収支(プライマリー・バランス)赤字の対GDP比を10年度末の9.4%から毎年1%ずつ削減できた場合でも、同2.1倍に上昇する。
尾野氏は、「かなり踏み込んだ財政再建をしないと、債務残高増に歯止めをかけるのは難しい」と指摘。「支出の削減余地はあまり多くなく、増税なき財政再建は極めてハードルが高い」との見方を示した。
累積債務、低金利
財務省によると、国債・借入金・政府短期証券を合わせた国の債務残高は10年3月末に過去最大の882兆9235億円。前年度末から36兆4265億円増えた。ところが、長期金利の指標とされる新発10年物国債利回りは足元で1.22%前後。バブル崩壊後の長期的な景気低迷や金融不安、デフレ(物価の下落)などを背景に、1990年9月の8.685%から03年6月には0.43%まで低下した。世界的な金融危機を経て、09年以降は1.2−1.6%程度で推移している。
ギリシャの財政危機に端を発した欧州債務不安を背景に、金融市場では緊張が高まり、株価が世界的に下落。日経平均株価は25日に一時9500円を割り込み、10年債利回りは1.190%に低下(価格は上昇)。ともに、昨年12月1日以来の低水準をつけた。財政の持続可能性をめぐるソブリンリスク(国家の信用リスク)懸念は現時点では、最上級の格付けを持つ米国やドイツなどと同様、日本にも向けられてはいない。
債務不安の震源地でギリシャやポルトガル、スペインといった重債務国を抱えるユーロ圏では通貨安が進行。ユーロの対ドル相場は19日に一時1ユーロ=1.2144ドルと06年4月以来、円に対しても25日に1ユーロ=108円84銭と01年11月以来の安値をつけた。
構造的赤字、ギリシャと類似
尾野氏はソブリンリスクの構成要素として、@基礎的財政収支A過去の経緯で決まる利払い費B財政再建の規模も左右する債務残高C景気変動の影響を除いた構造的財政収支−などを挙げた。
ギリシャは金融危機前から、構造的な財政赤字や利払い負担の重さ、所得の低さといった「懸念要素が多かった」と述べた。日本は税収が少なく赤字が慢性化している点で「ギリシャと同じくらい財政構造に問題を抱えている。対岸の火事ではない」と強調。7月の参院選を控えた鳩山由紀夫内閣の下、消費税率引き上げ論議も浮上しているが、増税には「必ずあつれきが生じる」点が「最も深刻な問題だ」と語った。
日本の財政赤字は今のところ、国内の貯蓄が吸収。日本銀行によると、海外勢の国債保有比率は昨年12月末時点で6.2%にとどまる。ただ、家計の純金融資産は1086兆8868億円。公的債務を国内で消化できる余地は徐々に縮小している。
尾野氏は、長期金利が織り込む日本の財政リスクプレミアム(上乗せ金利)を、10年債利回りから名目成長率を差し引くことで推計。景気変動を受けて金利が振幅する中に、「わずかだが上昇トレンドを確認できる」と述べた。
利払い増、市場に激変も
市場の一部に根強い「巨額の債務残高を背景とした金利急騰」といった思惑に関しては、「利払い費が増加基調に転じたため、日本の財政再建は他国と比べて極めて厳しい状況にある」と指摘。「当面はリスクプレミアムがあまり織り込まれない姿を想定している」が、この基調転換に「市場が気付いた時には、激変があるかもしれない」と話した。
大和CMの永井靖敏チーフエコノミストは同日の講演で、世界的な金融危機に対処するため主要国が採った財政出動・金融緩和からの出口戦略は「財政の方が先だ」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを始めるのは「来年秋以降になる」と語った。
日銀の白川方明総裁については「政府からの金融緩和圧力を緩和するのに一生懸命だ」と述べ、「実質を伴う追加緩和はもうない」と予想。ただ、4月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示した11年度の消費者物価の上昇は難しく、利上げは「早くても12年、場合によっては13年にずれ込む」との見通しを示した。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
- 第二弾2010年4月28日、エコノミストの菊池英博氏に、フリージャーナリストの岩上安身が単独インタビューした映像パート1 gikou89 2010/5/28 08:26:43
(1)
- 日本経済の現状と復活のための処方箋 動画 gikou89 2010/5/28 08:34:25
(0)
- 日本経済の現状と復活のための処方箋 動画 gikou89 2010/5/28 08:34:25
(0)
- 公的部門の給与増、国家財政の悪化招いた=ECB専務理事 gikou89 2010/5/28 08:17:34
(1)
- ギリシャ財政危機が数年内に欧州全体を奈落の底へ gikou89 2010/5/28 08:19:09
(0)
- ギリシャ財政危機が数年内に欧州全体を奈落の底へ gikou89 2010/5/28 08:19:09
(0)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。