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南アフリカ共和国南西部の大都市ケープタウンから飛行機で2時間、インド洋に面した白い砂浜が広がるリゾート地、ダーバン。ここにトヨタ自動車の現地子会社「南アフリカトヨタ自動車」の工場がある。約7300人が働く南アフリカ最大の雇用主だ。
[表で見る]トヨタ、3位から360位に急落 10年のフォーブス企業番付 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/manufacturer/382943/
世界中に工場を展開するトヨタが、南アフリカで生産を始めたのは約半世紀前の1962年。現地製部品の採用を増やしながら、主力車種「カローラ」などを生産しており、一部は欧州にも輸出している。
中国、インドなど新興国市場への出遅れが指摘されるトヨタだが、南アフリカでのシェア(占有率)は約22%でトップ。しかも、その座を約30年間維持してきた。
南アフリカは48年から94年までアパルトヘイト(人種隔離政策)を実施。国民の9割を占める黒人は満足な教育を受けることができなかったため、トヨタは工場内に職業訓練校を開校し、クルマづくりに必要な技術や技能、さらには一般常識などを指導してきた。
世界の主要国と歩調を合わせ、日本もアパルトヘイトを批判し、経済制裁を実施したが、この間もトヨタは日本で匠(たくみ)と呼ばれる優秀な熟練技能者や技術者をダーバンの工場に派遣し、クルマづくりのノウハウを伝授し続けていたという。そのため、「現地政府や関連企業にとってトヨタの存在は絶対的なもの」(日系商社)と映るようだ。
アフリカ大陸の総人口は世界の14%を占めるが、国内総生産(GDP)は4%にすぎない。しかし、南アフリカのGDPはタイとほぼ同水準で、アフリカ全体の約20%に達しており、アフリカ経済全体の牽引(けんいん)役となっている。
「(アフリカは)富裕層の下の中間層が厚く、消費市場としては有望だ」。トヨタで新興国を担当する布野幸利副社長は、モータリゼーションの進展が今後見込まれるアフリカを含む新興国市場について期待を寄せる。
こうした思いは他の日系自動車メーカーも同じ。日産自動車、ホンダ、スズキなどもすでに南アフリカに進出。デンソーなど自動車部品メーカーも次々と工場を建設している。
自動車メーカーだけでなく、電機メーカーもアフリカに熱い視線を送る。パナソニックは今年2月、日本の大手電機メーカーとして初めてナイジェリアに駐在員事務所を開設。エアコンの販売を強化しており、将来的には同国で年間110億円の増販を狙う。
だが、トヨタのような成功事例はまだ数少なく、全体の売上高、利益に対する貢献度も微々たるものだ。
「労働力人口は確かに大きい。しかし、企業にとって即戦力となる優秀な人材は少ない」。南アフリカに進出する日系企業を調査した日本貿易振興機構(ジェトロ)のスタッフはこう明かす。
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