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政府だけではない邦銀が抱える日本国債の価格リスク(KlugView)
2010/05/26 (水) 17:52
3カ月物ドル建てLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は、11営業日連続で上昇し、0.536%と、昨年7月7日以来の高水準に上昇しています。米国で利上げが実施されたわけではありませんから、最近のLIBORの上昇は、銀行が以前ほど他銀行に対して資金を出したがらなくなっていることを意味します。
銀行が他銀行に対して資金を出し渋っている理由は、銀行が保有する国債や各種債券の評価損が大きくなり、破綻する可能性が高まっていると判断されているためです。ギリシャ国債の価格は大きく下落しているほか、スペインでは貯蓄銀行が破綻するなど、欧州の銀行の信用リスクは高まり続けています。
破綻リスクが少ないとされる銀行ですら資金調達が難しくなりつつあるわけですから、市場を動き回る資金は、より安全な資産とされる国債に向かいます。国債といってもギリシャのような国に向かうことはなく、財政事情がよいとされるドイツや、格付が高い米国に資金が向かっています。
日本の財政事情は、良いどころか、むしろ悪い状態にあるのは、多くの方がご存知の通りです。また日本国債の格付も、格付機関であるS&PでAAと、最上位格付から3番目に位置しています。仮に市場の資金がリスクを嫌っているのであれば、日本国債は避けられても不思議ではありません。
しかし、そうした中、じつは日本の国債にも資金が集まっています。長期金利の指標とされる新発10年物の利回りは、昨日(5月25日)夕方には1.19%まで低下し、昨年12月1日以来の1.2%割れを記録しています。これは、日本国債がドイツや米国に比べリスクがあるとしても、日本の銀行が、預金として預かった資金を日本国債に向けているためと思われます。
日本の銀行が日本国債に資金を投ずるのも無理はありません。たとえリスクが低いとはいえ、ドイツや米国の国債に資金を投じてしまうと、国債の価格リスクは低くても為替リスクを負うことになります。日本国債の価格リスクと為替リスクを天秤にかければ、日本国債の価格リスクの方が低い、と日本の銀行が考えているのかもしれません。
ただ、日本の銀行は、すでに多額の日本国債を保有しており、さらに日本国債を保有することで、結果的に日本国債の価格リスクを大きく抱えることになっている気がします。日本銀行が今年3月に発表した「金融システムレポート」によると、金利が1%上昇した場合の保有債券の損失額を示す金利リスク量は、昨年(09年)9月末時点で、大手行で3兆円、地銀で4兆円規模に達しています。
日本国債の利回りが急上昇する、という「国債暴落シナリオ」の是非については、一般の方々も含め様々なご意見がありますが、10年債利回りが1.2%程度の低水準であるほか、日本の財政事情や格付けの相対的な低さも考えれば、程度の差こそあれ、日本国債の金利上昇リスクは、かなり高いと見たほうが自然に思えます。また、日本の銀行の金利リスク量が高まっていることから、日本の銀行の経営リスクもそれなりに高いとなります。
日本国債は大丈夫、というロジックとして、日本国債の94%が国内資金で充当されている点が指摘されています。しかし、たとえ数%であっても、外国人投資家が日本国債を同時期に一斉に売り込めば、日本国債の利回りが急上昇するシナリオはありえます。
注意すべきは、日本国債が「暴落」することの有無だけでなく、「暴落」によって日本の銀行が多額の評価損を計上し、金融システム不安が再燃することです。日本はギリシャと違って大丈夫!と安心するのではなく、表には出てこない潜在的なリスクを気にかけながら、投資・運用方針を決めていく必要があるのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
金利リスク量って何?
●●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●
金利が1%上昇した場合の保有債券の損失額を示す値
http://www.gci-klug.jp/klugview/2010/05/26/009528.php
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