01. 2010年5月22日 14:20:57: cqRnZH2CUM 2009年末時点の「国の借金」は871兆円。 そこから借入金や政府短期証券を除いた日本国債の残高は約700兆円。 ■郵便貯金 日本の借金の最大のお得意様は、郵便貯金。 金額にしてざっと150兆円。私たち日本国民1人1人が郵便局にせっせと貯金してきたお金で日本国債全体の4分の1弱を買い支えています。
■銀行 2番手は銀行。銀行預金も私たち国民の財産です。 本来、企業融資などに活用されるべき資金ですが、長く続く景気低迷、デフレにより構造的にお金の巡りが悪くなっており、結果として、私たちが銀行に預けた資金も、民間の活力にはならずに消去法的に国債購入に向かっている状況を反映しています。 ■保険 生損保が約10%、簡易生命保険が約9%、私たちは保険を通して日本国債の約2割(約140兆円)を買い支えています。 ■年金 公的年金・年金基金のうち、100兆円を超える金額が国債購入に充てられています。 ただでさえずさんな管理により「消えた年金」と騒がれていますが、国債が暴落すれば、本当の意味で「年金」が消えてなくなります。 ■海外、家計 近年、急速に保有比率上昇が目立っているのが「海外」と「家計」です。 5年ほど昔は、海外は3%程度でしたが、財務省が海外説明会(IR)活動を積極的に行った成果が出て、海外保有者が7%へ増加しています。家計も昔は2%台と低水準でしたが、個人向け国債の積極的な販売もあり、家計の保有比率もここ5年で2倍以上に伸びています。 百パーセント円建て国債で、かつ94%が国内向けにも関わらず、「日本国債はデフォルトする! アルゼンチンやロシアのように!」とか、とち狂ったことを叫んでいる連中は、さすがに減ってきたようです。今度は、家計の金融資産やら貯蓄率に「目をつけ」、「いずれ国内金融機関も『買い支えられなくなる』」などと、頑張って財政破綻論を展開しているようですが。 この種の「適当」かつ「いい加減」かつ「頭の悪い」連中には、一つだけ質問したいと思います。 あなた方は、日本国債の金利が長年「世界最低」で、政府の負債が増えても増えても、ちっとも長期金利が上がらない理由を説明できますか? ◇主要国長期金利推移 1998年−2008年 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_17.html#Kinri ◇1995年武村正義元蔵相「財政危機宣言」以降の日本政府の負債 http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#Takemura 銀行が頑張って買い支えているからですか?(ここ、嘲笑の笑みを浮かべるところです。)「買い支える」って、具体的に何を意味しているのですか? 政府が銀行に「命令」しているのですか? 政府が命令して国債買い支えるなんて、共産独裁国家の中国でも無理でしょう(多分)。 国内金融機関が国債を「買わなければならない」のは、単純に手元に貯まっていくマネーの運用先がないためです。 ◇国内銀行 貸出金・実質預金・預金超過額 (単位:十億円) http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#Kashidashi01 ようやく国家のバランスシートを理解してきた人たち(遅すぎ!)は、今度は家計の金融資産残高に目をつけ、 「この家計の金融資産が取り崩されれば、国債の買い手がいなくなる!」 などと、「わたくしは全く経済を理解していません!」と、わざわざ宣言するような、無知丸だしなことを叫んでいます。 家計が本当にお金を取り崩して消費なり投資に回してくれれば、日本は未曾有の好景気(注:国家経済のフロー、すなわちGDPの拡大期)を迎え、政府は景気対策が不要になり、税収は膨らみ、そもそも国債を発行する必要はなくなるでしょう・・・。 ついでに、家計がお金を使えば、それは「企業(非金融法人企業)の所得」になり、バランスシート上で「家計の資産」から「非金融法人企業の資産」へお金が移るだけの話です。相変わらず、「家計がお金を使えば、そのお金は消滅する!」と、物理法則を無視した妙な理解をしているようでございます。 繰り返しますが、頭が悪いですね。 日本経済の問題は、国の借金(正しくは、政府の負債)とかそういう話ではなく、まさにこの「銀行(だけじゃないけど)に貯まるマネーの運用先がない」という点になります。 なぜ、銀行の運用先、すなわち「貸出先」がないのか。もちろん、民間(主に企業)の資金需要がないからです。 それでは、なぜ企業の資金需要がないのでしょうか。今さら書くまでもないですが、日本経済のデフレギャップが拡大しているからです。 この状況で民主党政権が何をやっているのかといえば、「国の借金」が大変だということで、政府支出の削減(=デフレギャップの拡大)に精を出しているわけです。デフレギャップが拡大すれば、ますます企業の資金需要はなくなり、銀行の貸出先が失われ、国債が買われることになるでしょう。結果、長期金利は下がっていきます。 また、デフレギャップが拡大すれば、企業の売上が低迷し、法人税収入が減ります。同時に企業や国民から悲鳴が上がり、結局、景気対策を拡大するしかなくなります。こうなると、当然ながら政府の財政は悪化します。 すると、ここで財務省がまたしゃしゃり出てきて、 「国の借金が大変だ。政府支出の削減しましょう。増税しましょう」 と、なるわけです。(そして、振り出しに戻る) バブル崩壊後の日本は、すでに二度も(大々的に)↑この失敗(政府の負債を問題視し、緊縮財政に走った結果、財政を却って悪化させる)を繰り返してきたわけです。
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