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7500億ユーロの大規模支援でも解決しない!?ギリシャ発ユーロ危機が起きた本当の理由 http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/205.html
(回答先: ドイツ空売り規制の市場への影響 投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 21 日 01:47:50) http://diamond.jp/articles/-/8192 大正時代から現代まで、その時代の経済事象をつぶさに追ってきた『週刊ダイヤモンド』。創刊約100年となるそのバックナンバーでは、日本経済の現代史が語られているといってもいい。本コラムでは、100年間の『週刊ダイヤモンド』を紐解きながら、歴史を逆引きするのがテーマだ。初回となる今回は「ギリシャ危機がなぜ起きたのか」、その歴史を逆引きしていく。(坪井賢一) ギリシャ危機からユーロ暴落へ 5月9日日曜、市場に促されて欧州連合(EU)は27か国による緊急財務相理事会を開き、ユーロ圏で危機に陥った国を支援するための緊急融資枠を設定した。IMFの2500億ユーロを含めて最大7500億ユーロ(約85兆円)の支援策を明らかにし、市場の動揺を沈静化しようとしたのである。予想より対策の規模が大きく、市場はいったん好感して激しい動揺はおさまったのだが、その後もユーロ不安は断続的に続き、動揺は繰り返されている。 この対策の当面の対象はギリシャだが、波及する恐れのあるポルトガル、スペイン、アイルランドなどをにらんだものである。 しかし、この大規模な融資枠設定でも根本的な解決はまだ先の話だ。リーマン・ショック(2008年9月)によってEUの不動産バブルも崩壊し、とくにポルトガル、スペイン、イギリスなどの傷が深い。イギリスは総選挙で労働党が破れ、保守党と自民党の連立政権が成立した。 IMFが本来“無関係”の ギリシャの場合は完全に財政危機であり、IMFは本来、無関係なのだ。しかし、ギリシャ企業に融資したり、ギリシャの短期国債を購入している金融機関はドイツ、フランスをはじめ、EU内にいくらでもある。ギリシャ危機が深まればあっというまに金融危機が連鎖し、ユーロが崩壊してしまうのだから、IMFが乗り出すのは正しいことである。 もう1点。ギリシャ程度の経済規模(日本の6%以下)を一国で救済する能力のあるドイツの世論は、国民に大きな負担がかかるギリシャ財政穴埋めに猛反発してきた経緯がある。いや、現在だって反対している。そこでEU各国だけでなく、IMFにも負担してもらう、というスキームができた。そうこうしているうちに5月第1週の大危機を迎えてしまい、市場に促されて一挙に大規模な緊急融資の枠組みができたのである。 しかしこの融資の枠組みが発表された後で行なわれたドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州議会選挙でCDU(キリスト教民主同盟)が破れ、連動する連邦参議院でも与党が過半数を割ってしまった。ドイツ世論の迷走が続いている。 ギリシャが90年代の日本と 「90年代の日本では、財政・金融政策による景気刺激策が取られる一方で、不良債権処理は先送りされた。循環的な景気回復が訪れると、97年に橋本政権は財政構造改革に着手したが、不良債権問題が手つかずであったため、経済は急激な悪化に見舞われた。 ギリシャの財政不安をきっかけに、EUはスペイン、ポルトガルに対し、財政再建圧力を強めている。確かに財政再建は必要だが、先に不良債権問題を解決しなければ、かつての日本同様、経済が再び危機的状況に陥るリスクがある。90年代の日本の教訓が生かされることを祈る。」 EUとIMFの対策は、あくまでも緊急融資であり、無償でギリシャの財政赤字を補填するわけでない。したがっていずれギリシャは借金を返済しなければならない。とくにIMFは厳しく取り立てる。融資するのだから、放漫財政を正し、圧縮せよ、と要求する。 ところが、財政を一気に圧縮すれば不況は一段と深くなる。通常はこの経路で為替レートが変動する。その国の通貨は安くなり、輸出競争力が上がり、輸出の伸張によって国内景気が回復過程に入る、ということになる。これは1997年のアジア通貨危機で実証されている。 5月9日にEUとIMFの緊急融資枠7500億ユーロが決まったわけだが、じつはこのスキームは、3月25日に決まっていたのである。このときの枠は220億ユーロであり、対象はギリシャだけである。この金額は4、5月に来たギリシャ国債の償還額とほぼ同じだ。つまり限定的なスキームだった(その後、対ギリシャ融資を1100億ユーロまで枠拡大)。 そして5月第1週の大危機で大きく枠を拡大し、対象もEU諸国へ広げたわけである。ECB(欧州中央銀行)はその3週間前の3月4日、出口戦略の一環として、金融機関向け貸し出し条件を厳格化(金利は据え置き1.0%)している。つまり、金融は引き締める方向に動いていた。出口戦略とは、リーマン・ショック以降、超金融緩和を続けてきた異常事態から出る、という意味だ。 ギリシャ危機で金融緩和するのではなく、ECBとしては引き締めに回る。非常に矛盾しているのだが、財政政策は各国に委ね、金融政策はECBに一元化しているユーロ圏の問題点である。長期的には財政政策も一元化されるのだろうが、まだ先のことだ。ECBはけっきょく5月第2週に「国債買い入れを行なう」と、態度を逆転させたので、この矛盾は解消に向かうが、欧州世論は混乱しただろう。 財政赤字を粉飾!
ユーロ圏は金融政策をECBに一元化し、財政政策は各国に委ねているわけだが、財政規律の基準がある。1年間の財政赤字はGDP(国内総生産)の3%以下にすること、累積債務(累積財政赤字)をGDPの60%以内にすること、この2点だ。ギリシャはユーロの条件を破り、虚偽の申告をしていた。3%以内という基準は、じつは他のユーロ圏諸国も突破している。リーマン・ショック以降の金融危機と不況で財政支出を大幅に増やしているからだ。ギリシャの問題は、虚偽の数字を公表していたことだ。信用で成り立っている資本主義経済では、ウソは致命的なのである。 この虚偽が暴露された1か月後の2009年11月にはドバイ政府系企業が支払い不能になり、世界の株式市場が暴落した。ドバイ・ショックである。この激しいショックがギリシャの財政危機を大きく拡大する。 ギリシャの財政粉飾が明らかになったのは、2009年10月4日の総選挙でギリシャ社会主義運動(PASOK中道左派)が過半数を獲得し、政権交代したためである。総選挙で前政権が倒れたのは、リーマン・ショックによる不況の影響だ。2009年のEUのGDP成長率は▲4%だった。 2009年の年末にジョージ・ソロスは「週刊ダイヤモンド」(2009年12月26日/2010年1月2日合併号)でこう書いている。2009年年末は、不況が底を打ち始め、株価も回復し、明るさが見えてきた時期だった。とくに米国企業の決算は好転している。 「人為的な生命維持装置はうまく機能した。リーマン・ブラザーズの倒産から1年足らずのあいだに金融市場は安定し、株式市場も反騰に転じた。経済は回復の兆候を示している。人びとは普段どおりのビジネスに戻りたいと考え、08年の崩壊は悪い夢だったのだと考えたがっている。残念ながら、この景気回復は息切れしがちであり、この先、(2010年なのか2011年なのかは確言できないが)第二の景気後退が待ち構えている可能性さえある。」 グローバル資本主義を批判するソロスがこう書いた半年後、第二の景気後退より激しいギリシャ・ショックが地球を1周することになったのである。
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