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「スパコン族」が一掃される日/上杉 隆(ジャーナリスト) http://www.asyura2.com/10/hasan68/msg/190.html
(回答先: 日本は先進国一長く「借金に呪われる」、スイス研究 投稿者 gikou89 日時 2010 年 5 月 20 日 11:47:49) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100519-00000001-voice-pol ◇伸び率300%超の科学技術費◇ 4月下旬から、2回目の事業仕分けが始まった。今回のターゲットは独立行政法人。省庁でいえば、文部科学省所管の事業が3分の1を占めることになる。とくに理化学研究所など、科学技術分野が問題視されている。 「なぜ1位じゃないといけないんですか。2位じゃダメなんですか?」 昨年の行政刷新会議の事業仕分けで一躍、注目を浴びたのが、仕分け人の一人である蓮舫議員のこの科白である。 この言葉は象徴的ではあるが、科学技術の本質ではない。だが、“スパコン”の開発費に絡む科学技術予算の政治問題としてみれば、核心を衝いた言葉でもあった。 「“スパコン族”がいるんですよ。科学技術の分野には」 公開シンポジウム「日本に科学技術政策はあるのか」のなかで、政策研究大学院大学客員教授の薬師寺泰蔵氏はこう語った。 科学技術を所管するのは文部科学省である。当然ながら、文部官僚は省益で動き、またそこに関連業者のビジネス上の利権が絡み、文教族が族議員としてうごめき、政官業のトライアングルを形づくっているのだ。 つまり、「道路族」や「厚労族」と同じ構図で、科学技術政策にも「スパコン族」が存在するのである。 「スパコン族」の狙いは明確だ。それは、科学技術の発展のためだけではなく、いかに予算を多く獲得するかどうかにあるのだ。 公開シンポを主催した東京財団の調べによれば、平成に入ってからの科学技術振興費は大いに増加しているという。 実際、平成元年(1989)を基準とすれば、科学技術振興費の伸び率は300%を超え、防衛関係費の121%、中小企業対策費の97%、最大の226%増の社会保障関係費など他の予算を大きく上回るものになっている。 「スパコン族」は、なぜこうも力強いのだろうか。 それは、事業仕分けにおけるスパコン騒動を振り返れば明らかだ。 スパコン予算の仕分け作業は、純粋に科学技術の問題ではなく、政治問題にすぎない。科学技術振興費とは、たんに役所への陳情の問題だ。乱暴にいえば、虎の子の予算を守るために、ノーベル賞学者を集めてアピールを行ない、それによってメディアを動かし、「陳情」を成功させたにすぎないともいえる。 結果、理化学研究所という利害関係者のトップのポジションにありながら、予算獲得のための運動を堂々と行なう野依良治教授のような人物の発言を許してしまうことになった。 つまり、たんなる利権漁りをいかにも純粋な行動にみせかける演技だったわけだ。 ◇「権威」に寄り添ったメディア◇ 問題は、科学者である野依氏が予算獲得のために「陳情」を行なったことではない。いかにも公平な科学者の立場であるかのように装って、予算要求の姿勢をみせつづけたことだ。 また、メディアはその真相を見抜き、ノーベル賞受賞者たちの偽装パフォーマンスを暴くことができなかった。 つまり、メディアは「取材不足」と「知識不足」によって具体的な価値判断ができなかったばかりか、思考停止に陥った末に、それを覆い隠すため、偽者の「権威」に寄り添っただけなのである。 結果、国民に科学技術をめぐる本質が伝わることはなかった。 事業仕分けでの批判を受けて、政府は科学技術関連の施策について、「総合科学技術会議」を設置した。鳩山首相を議長とするこの会議は、有識者議員が関連省庁から提案された予算を3段階で評価し、10件程度に絞り込む作業を行なう。それを4月中に国家戦略室が策定し、最終案に反映する意向だという。 だが、これによって、日本の科学技術政策がいきなり健全化するとは、とうてい思えない。予算編成のあり方自体が根底から見直されないかぎり、科学技術政策における正当な予算割り当ては難しいだろう。 「一度限りで終わらせないで、続けることが大切だ」 公開シンポのモデレーターでもあり、事業仕分けを行なった元衆議院議員の亀井善太郎氏は、仕分け作業とそのレビューの継続性をこのように訴えた。 まったくそのとおりであり、異論はない。そもそもそうした作業は本来的にはジャーナリズムに課せられた使命である。 英米のように、科学ジャーナリズムが機能すれば、この種の行政評価の作業はよりたやすくなるだろう。そうすれば「スパコン族」が一掃される日もくるに違いない。
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