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日本にとってチャンスかもしれないEUのファンド規制案(KlugView)
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投稿者 そのまんま西 日時 2010 年 5 月 20 日 00:06:01: sypgvaaYz82Hc
 

日本にとってチャンスかもしれないEUのファンド規制案(KlugView)
2010/05/19 (水) 14:44

5月18日、欧州連合(EU)は、財務相理事会を開き、ヘッジファンドなどの投資ファンドに対する規制や監督を強化する規制案を採択しました。

ファンド規制案では、ファンドの事業活動を認可制とした上で、運用手法やリスク管理に関する情報開示を義務付けるほか、大規模ファンドには自己資本規制を設けることが盛り込まれています。また、租税回避地のケイマン諸島などEU域外(第三国)に籍があるファンドについては、EU域内で販売する場合、第三国がEUと同等の規制を規制を備えることが必要となります。

この規制案に対して反対の立場を貫いていたのが英国です。英国には、欧州のヘッジファンドの8割、プライベートエクイティ投資会社の6割が、英国に本拠地があるとされています。ファンド規制案をきっかけに、ファンド関連会社が英国を含むEUから離れる可能性もあり、英国経済にとって規制案は大きなマイナスです。

EUの他諸国も、英国のこうした事情を理解しているはずです。それにもかかわらず、EUが英国を押し切る形でファンド規制案を採択したのは、足元でも進行している金融危機の一因がファンドの活動にある、と考える意見が多数あったためと思われます。

金融危機の結果、巨額の損失を被った金融機関を救出するため、多額の公的資金を投入した経験があるだけに、当局者がファンドに対して厳しい姿勢をとりたくなるのも理解できなくはありません。

EUのファンド規制案は、市場にて否定的に受け止められています。

そもそもヘッジファンドは、規制が緩やかな国・地域を本拠地とすることで運用コストを引き下げるとともに、自由な運用手段を用いることで、伝統的な投資手法を越えるリスクと利回りを追及してきました。そんなヘッジファンドに規制をかけてしまえば、ヘッジファンドの存在意義を失うことになりかねません。また、自由に動けるファンドですら規制がかかるような状況であれば、証券化市場への資金流入が細るのは目に見えています。

市場関係者の中には、EUのファンド規制案をきっかけに、金融市場での資金移動が滞るとの見方も出てきています。また、規制により金融機関がリスクをとりにくくなることから、信用収縮がおこり、実体経済も停滞するとの見方もあります。ひいては、ファンドを始めとする金融業が衰退するという悲観的なものも出てきています。

市場関係者が、こうした心配をするのは分からなくもないですが、仮にEUのファンド規制案が実行に移されたとしても、それによって金融業が衰退するようなことはないでしょう。

2008年の金融危機によって、先進国は過去最大級の金融緩和策を続けており、世界のマネーは膨張しています。EUは、こうした膨張したマネーを規制によって封じ込めようとしているわけですが、膨張したマネーは規制の目をくぐりぬけ、あちこちに動き回ります。動き回りたいマネーを取り扱うべく、金融業のニーズは高まることはあっても、衰退するとは考えにくいです。

規制によってEUへの資金流入が細ることはあるでしょう。しかし、世界全体でのマネーが膨張している以上、EUで流通するマネーの減少分は、他地域に波及するだけです。世界最大の経済大国である米国にマネーが流れる可能性が高いと思われますが、米国でも金融の規制を強化する案(通称ボルカールール)もありますから、日本にマネーが流入する展開も考えられます。

日本の産業振興の観点からすると、EUのファンド規制案や米国の金融規制強化案が実施されるのであれば、日本はあえて金融規制を緩和するのが好ましいと言えます。膨張するマネーの流通拠点が欧米から日本にシフトすれば、日本の金融業界が発展するだけでなく、日本に流入するマネーが日本の他産業に波及することも充分に期待できるでしょう。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

米国での金融規制強化案の通称は?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

ボルカールール


http://www.gci-klug.jp/klugview/2010/05/19/009453.php  

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