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欧州単一通貨ユーロが急落。投資家が、マネーを、株式から「安全資産」である日米の債券などに逃避させる動きが鮮明になってきた http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/872.html
株式日記と経済展望 2010年5月10日 月曜日 ◆ギリシャ危機「想定超す」 投資マネー、一気に逃避 5月10日 読売新聞 ◆世界株安 日米債券・金へ流入 日米欧で株価の下落が続き、ギリシャの財政危機をきっかけにした金融市場の動揺が収まらない。為替市場でも欧州単一通貨ユーロが急落。投資家が、マネーを、株式から「安全資産」である日米の債券などに逃避させる動きが鮮明になってきた。 市場では「第2のリーマン・ショック」になりかねないとの懸念も出てきた。(ロンドン 是枝智、経済部 西原和紀) ◆1万円割れも 世界の金融市場が動揺しているのは、「ギリシャの財政危機は当初の想定をはるかに超えて悪化している」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との認識が広がったためだ。日経平均株価は1万円割れが現実味を帯びつつある。 ギリシャ以外にも、欧州各地で財政問題が深刻化するとの懸念も強い。7日の欧州債券市場では、ギリシャ国債(10年物)が早朝に一時、2001年にユーロ圏入りして以来、最高の年15%台まで急騰したほか、財政が悪化しているポルトガル国債も年7%台、アイルランド国債も年6%台まで一時上昇した。2008年秋に世界を襲った金融危機のようなパニック的な様相が強まる中で、悲観的な見方を口にする市場関係者が増えている。 ◆長期化も 10年物の米国国債の流通利回りは6日、前日より0・15%低下して年3・40%になったほか、日本国債(10年物)も7日の終値で年1・28%と低い水準だった。欧州のマネーが日米の債券市場に流れ込んでいる構図だ。 金を買う動きなども広がっており、金地金大手の田中貴金属工業によると7日の国内の金小売価格は1グラム=3774円(税込み)と約27年ぶりの高値を付けた。(後略) ◆危機の伝染に共通する人間の特性 5月10日 Financial Times 筆者が目にしている図には5つの輪が描かれている。すべての輪が互いに矢印で結ばれており、これらの輪から別の方向へ飛んでいく矢印もある。一見すると、核爆発か何かのような、何らかの連鎖反応を示す複雑なイラストに見える。 この図が実際に示しているのは、ポルトガルとアイルランド、ギリシャ、イタリア、そしてスペインの債務で、矢印は、その国の債務がどれだけ各国の投資家に保有されているかを表している。これは、米シティグループがまとめたソブリン債の信用リスクに関するプレゼンテーションの一環だ。 「ここには制御された爆発の余地はあまりない」。表題には、こう書かれている。「すべてが互いに結びついている」 ◆すべてが互いに結びついている 16カ国から成るユーロ圏の中では小国に過ぎないにもかかわらず、ギリシャが債務をデフォルト(債務不履行)するかもしれないという懸念は、封じ込めることができなかった。 多くの債務ウオッチャーにしてみれば、これは何ら驚くに当たらない。まさに、ユーロ圏内、そしてグローバルな投資の世界では、すべてが互いに密に結びつき、関係しているせいだ。 800年前までさかのぼる債務危機の歴史を研究したメリーランド大学のカーメン・ラインハート教授(経済学)が筆者にしてくれた話では、彼女はよく人に、ギリシャがどれほど小さい国か聞かされるそうだ。彼らは暗に、同国のデフォルトが連鎖反応を引き起こすのはおかしいと示唆しているのだという。 「伝染の源は、金融の相互連関と重要な関係があり、欧州などの地域では金融の相互連関が強いことが分かっている」。ラインハート教授はインタビューでこう語った。「小さな危機」が大きな危機に発展し得るもう1つの理由は、「警鐘の仮説」だという。「肩越しに(他国に)目を向け、ちょっと待てよ、これらの国もギリシャとよく似てるじゃないか、と気づくわけだ」 債務危機には共通する要素がいくつもある。問題に対処することを躊躇う態度や、問題の深刻さを認めたがらない態度などもそうだ。実際、ギリシャ国債で損失が生じる可能性を考慮して、投資家がリスクを再評価する中、世界の市場が痙攣を起こして急落したが、政治家は、市場の急激な動きが発するメッセージを軽くあしらおうとした。 ◆問題を小さく見せようとする政治家 「ある意味で、これは政治家と市場との戦いだ」。ドイツのアンゲラ・メルケル首相はこう言った。「しかし、すべての同僚もそうだと思うが、私はこの戦いに勝つ決意を固めている」 大抵の場合、債務の危険性や悪影響を小さく見せようとする行為には、強力な実際的理由ばかりでなく、政治的な理由がある。誰も信頼喪失に手を貸したくはないのだ。歳出削減や人員解雇、年金カット、あるいは住居を手放すといった諸々の痛みを伴う対策をもってしか対処できない現実を受け入れるのは難しい。
「多額の借り入れがある時は、悲惨な状況に陥るのに、大したきっかけは要らない」。ケネス・ロゴフ教授と共同で債務危機を分析した著書『This Time is Different(今回は違う)』を執筆したラインハート教授は、こう語る。「何か案件が1つ失敗する、債券発行が1度でも大失敗に終わる、借り換えを巡る本当に短期的な資金不足に見えること・・・どんなことでも、投資家が一斉に逃げ出すシナリオの引き金となり得る」 ◆小さな出来事をきっかけに出口への一斉逃避が起きる 5月第2週の市場の大揺れは、それがいかにして起き得るかを思い出させてくれた。多くの場合、出口への一斉逃避のきっかけとなる予想外の要素がある。 先日そのきっかけとなったのは、コンピュータープログラムに原因があったと見られる取引の大混乱だった。実際、コンピューター取引の普及のために、株式から債券、通貨に至るまで、あらゆる市場がますます密に相互に連動するようになっている。 「一連の自己増殖的なプロセスは雪だるま式に、市場を本質的に不安定なものにする」。シティグループの信用ストラテジスト、マット・キング氏はこう指摘する。「我々が最も懸念しているのは、市場間の相互連関の度合い、そして信頼という極めて重要な要素について、投資家も政策立案者もまだ十分に理解していないのではないか、ということだ」 ひとたび債務危機が起きた時に行われる分析は、債券が買われたり、売られたりする前に何をすべきかについて、有益なアイデアを提供してくれる。国、あるいは企業が投資家に債券を売ろうとする時、買い手を引きつけるために作られたプレゼンテーション資料には、派手なチャートや数字が並べられている。 より大きな構図を理解し、リスク間の関係を把握することは重要だ。ラインハート教授の著作に掲載された、はっとするようなチャートを見るのもいいだろう。そこには、デフォルトと債務危機がどれほど頻繁に起きてきたかが示されている。 ◆人間の傲慢と無知 ラインハート教授は、危機に共通する要素は、人間が持つ2つの特性だと言う。つまり、「傲慢と無知」だ。 「無知というのは、多くの場合、政策立案者や投資家、一般の人は、我々が以前にもこれを経験したこと、この映画を前にも見たことがあるということを全く知らないからだ」「傲慢というのは、そう、もしかしたらそれは分かっている・・・けれども我々には当てはまらない、という考え方だ。我々は前任者たちより賢いし、一連の古い原則、事情は変わった、技術も変わった、と思い込む」 「このため結局、我々が本来注意すべきだったことが全く注意されずに終わり、同じパターンが繰り返されるのだ」とラインハート教授は言う。
いったん信用不安が発生すると各金融機関は一斉に貸出資金の回収にかかる。銀行の中で返せない銀行が出てくれば連鎖的な破綻が生じる。ギリシャ国債は世界中の金融機関が保有していますが特にヨーロッパの金融機関がたくさん持っていると想像されるから、世界の金融機関は疑心暗鬼になっている。 だからリーマンショックなどのときのように世界の中央銀行は市場に資金を供給して破綻を防ごうとしている。ギリシャを始めとしてPIGS諸国の国債利回りは急上昇していますが、逆に日本やアメリカの国債利回りが低下している。欧米のマネーが安全を求めて日本に避難している様な状況になっている。 円やドルなどの通貨や国債などの債権の信用の元はその国の経済力であり、ギリシャなどでは観光ぐらいしか産業が無い。円が高く国債の利回りが低いのはそれだけ日本の経済力が強いからですが、強いドルや米国債を買い支えているのも日本だ。日本が世界に資金供給しているときは世界がバブル景気に沸きましたが、日銀が資金供給を締め始めてからサブプライムやリーマンショックなど出始めた。 世界の中央銀行が資金供給するにしても資金力があるのは日銀くらいでFRBもむやみに資金供給できない状況になりつつあります。世界中の銀行が資金回収に追われれば今までバブル景気に沸いていた新興国もドバイからギリシャからPIGSへと広がりつつある。 目一杯借り入れした新興国の金利が急上昇すれば金利が払えなくなり新興国は破綻する。1997年のアジア金融危機の時は通貨を切り下げて経済が復活して何とか収まりましたが、ユーロ圏のギリシャにはそれが通用しない。金曜日に書いたようにギリシャを破たん処理して緊縮財政を取らせるしか方法はないでしょう。しかしギリシャ一国で収まるとは思えない。 ニューヨーク市場における1000ドルあまりの乱高下は結局は原因が分からないようですが、コンピューターが一斉にそう判断したのかもしれない。想定外の事が起きればコンピュータープログラムが想定外の売り指示を出す事もあるだろう。大量の売りものを細かく分けて売買するから誰がどう売ってきたのかも掴めないのだろう。 NY株式市場の乱高下は為替市場も巻き込んで乱高下した。為替が極めて短期の間に5円も動くとは株式も債券も為替もみんな連動して動いている。NY市場では60%以上変動した取引は取り消すそうですが債券や為替取引までは取り消せない。 ギリシャ自身は取るに足らない小さな国ですが、ユーロを形成している鎖の一番弱い部分であり、そこが切れればドイツも支えきれなくなりユーロから離脱するかもしれない。それよりもギリシャを破綻させてユーロから離脱させた方がいいのですがユーロはそのような状況を想定していなかった。 ユーロの暴落は基準が守られていれば起こり得ないはずのものだった。しかし財政赤字の基準を守れる国は無くECBも機能しない。ヨーロッパは一つといいながら上手くいっている時はいいが危機が起きると支える国が無い。ドイツもPIGS全部を支えるには弱すぎる。韓国は何度も外貨危機に見舞われてきたが日本とアメリカが救ってきた。 1997年のアジア金融危機の時も日本はアジア通貨基金を作ろうとしてアメリカに反対されて潰された。いかにアメリカが日本に対して警戒心を持っているかが分かりますが、それに比べるとドイツがどうしてギリシャ一国を救えないのだろうか? 世界中の国が過剰債務に気がつき始めている。景気が上昇気流に乗っている時はいいが、気流が収まってみると過剰な債務の大きさに返済が優先されて経済規模は小さくなっていく。日本もそのような状況に直面して20年近く立ちましたが、欧米の場合はデフォルトという形で処分されるだろう。 債務が過剰かどうかは経済の成長度にもよりますが、新興国の多くが先進国の資本と技術に依存した経済成長だった。きのうもNHKの特番では自動車用バッテリーの開発現場をルポしていましたが、いかに中国がアメリカの技術に依存しているかが分かっただろう。だから高度成長しているように見えてもアメリカからの資本や技術が入ってこなくなれば中国の高度成長は止まるだろう。 確かに新興国の市場は人口から見ても巨大ですが、日本や欧米からの投資がある時は経済成長も著しいだろう。しかし信用不安が起きれば今回のギリシャのようになり、あっという間に破綻する。ドバイなども金融センターを目指していましたがヨーロッパからの投資が集まっていたからだ。 「株式日記」では日本が世界の覇権国となり円が世界の基軸通貨になると書いてきましたが、ヨーロッパが潰れてアメリカが潰れれば日本しか残らないからだ。新興国も自立的な経済発展は無理であり、中国がアメリカを追い越すことはアメリカが許さないだろう。昨日のNHKの番組を見ても中国の高度成長はアメリカの技術が大きな力になっている。
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