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「デフレ脱却」はパンドラの箱(日本の論点PLUS) http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/775.html
「デフレ脱却」はパンドラの箱(日本の論点PLUS) そのお手並みにはおおいに期待したいところだが、それで本当に万事解決するかといえば、じつはそうは言い切れないのが悩ましいところなのだ。かりに首尾よくデフレから脱却し、理想的とされる1〜2%のインフレ率を達成したとしても、今度はそれによって財政の逼迫懸念が台頭するからだ。「デフレ脱却」は、さながらパンドラの箱、あるいは浦島太郎の玉手箱のようなものかもしれない。開けたとたん、封印されていたさまざまな難題が噴出し、茨の道が始まるのである。 戦後、日本政府はほぼ一貫して借金を積み上げ、その償還と同時に毎年の利払い費を増加させてきた。ところが90年代以降は様相が一変。債務が加速度的に上積みされたにもかかわらず、利払い費は頭打ちとなり、さらに2000年以降は下落傾向を見せるようになった。いうまでもなく、名目金利がずっと低位で推移したためだ。なぜかといえば、ひとえにデフレだったからである。 しかし、条件が変われば金利も上昇し、したがって利払い費も増加する。かりに来年以降に1%のインフレが予想されるとすれば、名目金利も1%程度の上昇が見込まれることになる。試みに今年度予算の新規国債発行額44兆円に当てはめれば、4400億円の利払い費増ということになる。さらに財投債や借換債も加えた国債発行額162兆円を前提にすれば、なんと利払い費は1兆6200億円も膨らむことになる。 ただ、インフレ率1%ということは、名目経済成長率を1%押し上げるということでもある。そして名目経済成長率が上向けば、それ以上の率で税収も増えるとされている。その割合、つまり「税収の増加率÷名目経済成長率」を税収弾性値といい、政府がしばしば将来の税収を予測する際には「1.1」を想定している。名目経済成長率が1%増なら、税収は1.1%増えるわけである。これを同様に今年度予算の税収37兆円に当てはめれば、見込める増額分は4000億円程度。しかし利払い費と比較すると、ざっと1兆円以上も負担が増えることになる。 これらを前提に考えると、「デフレ脱却」によって余計な負担を増やさないためには、名目ではなく実質の経済成長率を押し上げればよいということになる。かりにインフレ率1%、実質成長率3%とすると、名目成長率は4%。これに先の数字を当てはめると、税収の増額分は約1兆6300億円となって利払い費にほぼ匹敵する。だが、これこそまさに机上の空論であり、日本経済の現状を考えれば実現はきわめて困難だ。ではどう手当てするのか。「デフレ脱却」を目指すなら、こうした点をワンセットで議論する必要があろう。 (島田栄昭 しまだ・よしあき=『日本の論点』スタッフライター)
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