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石油は採掘する時代から生産する時代へと変る。藻類から作られる石油はジェット燃料となり、日本から石油が世界に輸出される http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/698.html
株式日記と経済展望 2010年4月22日 木曜日 藻から石油を取り出せばトウモロコシ畑より40倍取れる。
トウモロコシやサトウキビなど、食料を原料にするバイオ燃料を第1世代とすれば、ジャトロファなどの草本や建築廃材(木材)、藻類など非食料を原料にするものは第2世代に当たる。第1世代が、食料価格の高騰を引き起こしたとして、国際社会の批判を浴びたことで、第2世代の開発競争が加速している。 中でも藻類が優れているのは、狭い面積でも大量に油が採れることだ。下の表のように、大豆は1ha当たり446Lしか油を生産できないが、藻類なら9万8500Lとけた違いに多い。バイオ燃料は、ガソリン代替のバイオエタノールと軽油代替のバイオディーゼルに大別されるが、藻類を原料としたバイオ燃料はバイオディーゼルに含まれる。 米国では藻類を原料にしたバイオ燃料を開発するベンチャー企業が続々と登場。研究室レベルのものから、大規模な培養を試みるものまで様々あるが、実用化は5〜10年後といわれる。すぐにビジネスになるような話ではないが、産業界の藻類への関心は並々ならぬものだ。 CO2削減を迫られる航空業界では、米ボーイングの航空機に藻類から作ったバイオ燃料を搭載した飛行試験が相次いでいる。従来のジェット燃料にバイオ燃料を20〜50%混ぜる。約1%が米サファイアエナジーが生産した藻類によるバイオ燃料だという。ある関係者は、「航空だけでなく、化学や食品、重工業、医薬など、幅広い業界が藻類に触手を伸ばしている」と明かす。 性能の高い藻類を探す 藻類の細胞内には、脂質が多く含まれている。細胞を破壊し、脂質を取り出して化学反応させればバイオ燃料が得られる。藻類の中には、石油の主成分である炭化水素を生産する種類も存在する。藻類の種類によって、採れる油の種類や量が大きく異なるため、いかに優れた藻類を見つけるかが研究開発の最大のポイントだ。米ベンチャーの中には、藻類の種類を明かさない企業もある。どんな藻類を使うかがノウハウそのものなのだ。 国内の研究グループは、いずれも使用している藻類が異なる。この分野の草分けである筑波大学大学院生命環境科学研究科の渡邉信教授は、100種類以上の藻類を比較検討した結果、「ボトリオコッカス」という種類にたどりついた。 ボトリオコッカスは油の生産量が多いのが特徴だ。オイルシェールの成因のひとつともいわれており、炭化水素を多く生産する。しかも、細胞内だけでなく細胞外にも多くの油を出す。細胞を破壊して油を取り出すのには大きなエネルギーが必要なので、油を細胞外に出す特性は、バイオ燃料の生産に非常に有利だ。やり方によっては、生かしたまま油を採取できる。 だが一般的に、燃料として取り出しやすい油を持つ藻類は、生命力が弱い。また、細胞分裂して2倍に増殖するための期間を見ると、速い種類なら数時間なのに対して、ボトリオコッカスは約1週間と遅い。そこで渡邉教授は、バイオベンチャーのネオ・モルガン研究所(川崎市)と組んで、品種改良を開始した。 同社は遺伝子組み換えではなく、突然変異を人為的に起こす進化工学的な手法を得意とする。「通常の遺伝子工学よりも短期間に安く良い性能を持った藻類を得られる可能性が高い」(渡邉教授) 真珠の養殖技術を生かす 徳島県内の産学グループは、容積100tの培養槽で大量培養に成功した。グループを構成するのは、技術系人材派遣会社のWDB傘下の環境バイオ研究所と徳島大学、四国大学短期大学部、ベンチャーのアムテック(徳島県石井町)である。同グループが数カ月前に見つけたイカダモの1種は、油の量こそボトリオコッカスに及ばないが、真冬の寒さでも、40℃を超える水温でも、1日で約2倍に増えるなど環境変化に強い。 大量培養が難しい種類もあり、この段階で苦労している研究グループも多い。徳島県のグループの成功には、真珠の養殖技術が生かされている。WDBの環境バイオ研究所の前身は、田崎真珠の研究所で、2009年2月に事業譲渡されたばかり。真珠を育てる貝の餌として、藻類の大量培養を20年以上研究してきた蓄積がある。 藻類の大量培養には、光合成に必要なCO2を通気し、太陽光がまんべんなく当たるように、攪拌などの操作が欠かせない。また、培養槽の形状もコストや投入エネルギー量に影響する。閉鎖系の培養槽を使えば、他の動植物が混入するのを防げるが、コストが高くつく。一方、プールのような開放系の培養槽は安価だが、混入が起きやすい。 同グループの培養槽はプールのような開放系のものだ。環境バイオ研究所の鬼木浩所長は、「イカダモの生命力が強いので、他の動植物が混入する余地が少ない。50Wという小さな電力で100tの培養槽を攪拌する技術を見つけたことで、培養にかかるエネルギーも極めて少なく済む」と自信を見せる。今後は、藻類から油を取り出し、燃料にする工程を詰めるという。 製造工程は日本のお家芸 その代表格がデンソーだ。同社は、筑波大学の渡邉教授と共同研究をしているが、慶応義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)とも、「シュードコリシスチス エリプソイディア」という藻類を研究している。 同研究所は生物の代謝経路を明らかにする手法メタボローム解析で世界トップクラスの研究設備を誇る。メタボローム解析で藻類が油を作り出すメカニズムを解明すれば、効率良く安定的に油を産出させるための培養条件が明らかになる。「プラントの建設地域が藻類の生育に合わなくても、培養条件がわかれば日本が得意とする生産管理技術で対応できる」(伊藤卓朗研究員) 東京工業大学と竹中工務店が中心になって2008年6月に設立した「海洋バイオマス研究コンソーシアム」も、バイオ燃料の製造工程の検討を進めている。コンソーシアムには複数の電力会社が参加。石炭火力発電所のCO2回収・貯留施設に培養槽を隣接し、分離したCO2の有効活用を狙う。 東京工業大学統合研究院の小田拓也特任准教授は、「CCSはCO2を分離して地中に押し込むために余分なエネルギーを消費する。CO2をためるだけでなく、藻類などの育成にも有効利用すべきだ」と力説する。 第1世代のバイオ燃料は、条件によっては、バイオ燃料で削減できるCO2よりも、生産時に排出するCO2量が上回るという指摘もある。各研究グループともに、投入エネルギー量やCO2排出量には配慮して進めており、藻類では問題がないという。 環境バイオ研究所の鬼木所長は、「将来的には軽油と同等価格にできる」と断言しており、コスト削減の潜在力も大きい。筑波大学の渡邉教授は、「2025年に日本を石油輸出国にする」という壮大な目標を掲げる。 性能の高い藻類を見つけ、得意の生産管理手法を生かせれば、エネルギー大国への飛躍も夢ではない。 石油は採掘する時代から農産物として生産する時代が来る。
石油の代替物としてバイオ燃料が注目されてきましたが、サトウキビの搾りかすから作ることも出来ます。バイオ燃料としてはアルコール系の燃料になりガソリンの代替物になります。それとは別に藻から作るバイオ燃料は軽油としてそのままジェット機やジーゼルエンジンの燃料になるそうです。 アメリカでは既にベンチャービジネスとして巨大な藻による石油生産プラントが作られており、そこで生産された軽油でジェット旅客機が飛んだそうです。トウモロコシや大豆などからバイオ燃料を作ることは食糧危機を巻き起こしましたが、藻から石油を作ればそのような事は起きない。 日本では水田や養殖池などがありますが、そこで藻を大量生産して石油を生産することが出来ます。米を作るよりも藻による石油を生産したほうが儲かるという状況になれば日本は一大石油生産国となる事も可能でしょう。風力発電や太陽光発電プラントが日本でもあちこちに作られるようになりましたが、石油生産プラントも休耕田などを利用して作られるようになるでしょう。 アメリカなどでは農地は広くてもトウモロコシや小麦などの畑ばかりだから水が無い。アジアや南米などの土地が広くて水が豊富で太陽が降りそそぐ地域で生産すればコストは安くなり、何千メートルも地下を数百億円かけて油田井戸一本掘るよりも石油生産プラントを建設した方が安くなる時も来るだろう。 いま研究が進められているのは、藻の品種改良でありバイオ技術を使えば生産性が飛躍的に上がる事もあるでしょう。「株式日記」では地方の活性化として橋や道路を作ることよりも農業の振興を図るべきだと主張してきましたが、相変わらず道路やダムなどの公共事業ばかりに目が向けられています。 太陽光発電所やバイオ燃料プラントなどエネルギー分野への集中的な投資が行なわれれば地方の活性化に繋がるだろう。電気や石油などの価格が安ければ工場の生産性も上がるし国内でエネルギーが自給できればオイルショックなどの影響も避けられるようになるでしょう。 クローズアップ現代でも言っていましたが、日本における問題はこのような新しい技術に投資をするベンチャーがないことであり、銀行などの金融機関の行員は科学技術に弱い。藻から石油を作る話をしても銀行員は???だろう。しかし品種の改良と生産技術の進歩で商業化の目処がつき始めている。 ジェット機や船や大型トラックなどは軽油がなければ走りませんが、軽油を農産物として生産が出来るようになればエネルギー事情がかなり変わってきます。中東の石油に頼る時代が終わる時が来るかもしれません。今まで藻は邪魔者で厄介者でしたが石油の生産に欠かせない主役になりつつあります。
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