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アバター侵略と国際的環境規制の動向 http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/678.html
アバター侵略と国際的環境規制の動向(前編) ■ アバターの侵略を受けるブラジル 世の中では「3D」(立体映像)がブームだそうだ。あの映画「アバター」も3Dで放映されて話題を呼んだ。 その「アバター」は、今年のはじめの産経新聞(2010.1.19)の記事にあるように、中国の神経を逆撫でする内容であったことは既に知られている。 (以下、引用) そして、その「アバター」思想(資源獲得侵略に対する批判?)の矛先は、今度はブラジルに向けられたようである。 (以下、引用; AFPBB News、2010年4月13日より) 映画「ザ・コーヴ」が我が国(和歌山県太地町)のクジラ・イルカ漁を批判したことの問題は、本ブログ”映画「ザ・コーヴ」と環境問題”*で論じたばかりだが、ブラジルも似たような環境にある(同じような攻撃を受けている)のかも知れない。 しかし、欧米にひたすら従順で主体性を喪失している日本と違って、ブラジルはBRICsの一員として、また資源・エネルギー大国として、国際社会における主体的プレゼンスを作り上げようとしている。単純に日本と比較して考えるには、その問題の質・量が違いすぎる。 ■ 三極体制の変化下で成長するブラジル ――ブラジル政府筋は9日、今月22─23日にワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で人民元が正式に協議される可能性は低いとの見方を示した。――REUTERS、2010年4月10日 金融経済が実体経済を支配する今の経済構造の変化を見るにおいては、支配的通貨の構成・バランスを注視する必要がある。人民元の切り上げがアメリカからの外圧では無く、中国の主導・主体で行われようとしていることは何を意味するか。 かつて中国が基軸通貨の位置をドルからSDRに変えることに言及して物議をかもしたが、こうした事実は、中国が人民元のプレゼンスを高めていくための必要かつ重要なプロセスであると考えることが出来る。徐々にアフリカや南米の各国(資源・エネルギー国)における決済や外貨準備に人民元を浸透させていこうと考えていることであろう。 中国とブラジルの関係は、対等かと問われるならば、恐らくそうではないだろう。中国とブラジルの関係は、悪意を含めて色々な解釈は有り得るが、かつてロシア(旧ソビエト連邦)を中心とした共産主義的経済圏が作り上げられたように、BRICsにおいても、どこかを盟主とするような体系的な関係構造が出来上がろうとする…―こうしたダイナミクスの存在を否定することは難しい。 (以下、引用; REUTERS、2010年4月14日より) つまり中国とブラジルの関係は構造化しつつある。現在の日米欧三極体制は、BRICsの成長を考えると変化せざるを得ない。 国際的環境規制についても、先進国=成熟国・衰退国=日・米・欧(三極体制)の意思だけで統一されていくという見方が仮にあるとすれば、それは幻想だろう。「環境保全」の根本、定義から揺るがされざるを得ないだろう。 ■ 出来上がりつつある国際的環境規制 欧州主導で世界に張り巡らされようとしている環境規制は、経済膨張しようとするBRICsを無理に押さえ込もうというのであれば、冷静に見て(現実的に見て)難しいと判断せざるを得ない。 例えば、環境省地球環境局国際対策室「コペンハーゲン合意への排出削減目標・行動の提出状況」(平成22年2月8日)によると、2020年までの非附属書I国(発展途上国)のGHG排出量の目標設定は以下のようになっている。 <UNFCCCホームページに公表されたコペンハーゲン合意に基づく各国の目標> 中国・・・ GDP当たり排出量を2005年比で40〜45%削減 中国・インドは「GDP当たり」としているので明らかに「原単位方式」である。 ブラジル以下の「BAU比」というのは、温室効果ガスの排出量を追加的な対策を講じなかった場合=business-as-usualの排出と比べて、ということなので、 つまりは経済成長(GDP成長)を前提に考えているため、(中国の主張する)「GDP当たり」すなわち「原単位方式」とほぼ同義であると考えられるだろう。 ブラジルと中国はここ(排出量目標設定に関する国際的な交渉プロセス)でも同調していると言えるだろう。日本国内でも問題になった温暖化対策基本法案における「原単位方式」併記問題についても、ブラジルや中国がこの方式を提唱していることと無関係ではないだろう。(ここでも日本のコバンザメ的なしたたかさが現れていて面白い。) つまり、ブラジルや中国はこれからも経済成長(GDP成長)を図ろうとしており、成熟期・衰退期にある先進国とは立場が明らかに違うわけである。 国際的な環境規制の枠組みの中には妥協的産物としてCDM(クリーン開発メカニズム)があるが、あれば大まかに言ってしまえばベースライン(business-as-usual)に対して、排出量が削減されたことを証明すれば良いという仕組みである。つまり、論理的には中国やブラジルが主張する方向性(原単位方式)と同じであって、環境規制において適度の(現実的な)妥協が今後もされていく可能性は十分に考えられる。 ■ 国際的環境規制の変化のキーワード 「アバター」は経済的膨張に対する封じ込めの一つの象徴とみることが出来ると思う。 封じ込めのキーワードは環境保全、温暖化防止、生物多様性保護などである。これに対する発展途上国側の理論?武装としては、宗教・伝統の尊重にはじまり、地球寒冷化説や石油無機起源(石油永久産出)説などが挙げられる。しかし、双方がこのレベルの論理にこだわっている限り、対立は解消しない。 したがって、双方(先進国と発展途上国)の歩み寄りが必要だが、たとえば、先に述べた「GDP比」や「BAU比」、CDM、ホットエアのような仕組みを認めるといったダブル・スタンダードの運用があるし、バイオ燃料の製法としてのフィッシャー・トロプシュ法や、土壌中CO2管理に対する考え方の発展がある。 したがって、国家や企業の環境政策・戦略を練っていくにおいては、こうした具体レベルで現出しつつある世界的な趨勢を踏まえて行く必要があるだろう。「総量規制」と「クレジット売買」にいつまでもこだわるのは思考停止状態であり、「総排出量=原単位(変数)×活動量(変数)=排出量の積分値(X=時間×範囲)」という発展的でダイナミックな構造で捉えなければならない。 ユーザー(排出規制対象者・企業)のシーズ・ニーズはこのレベルにこそ存在している。
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