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人民元の為替操作を徹底検証する【FT】/人民元の不当為替とは何か、比較優位説で説明する【Ddogのプログレッシブな日々】 http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/601.html
人民元の為替操作を徹底検証する らくその座にある超大国が、台頭する超大国との対決にひるんだ、というところだろうか。米財務省は先日、中国が「為替操作国」か否かを判定する報告書の提出期限を、従来の4月15日から延期することにした。 多国間および2国間で協議するプログラムが既に進行していることから、何らかの行動を起こす前に話し合う機会を設けたことは正しい判断だと言えるだろう。 では、中国は為替操作国なのだろうか? 答えは「イエス」だ。この国は人民元レートの上昇を抑えるために、とてつもなく大規模な介入を続けてきた。2000年1月から昨年末にかけて、同国の外貨準備高は2兆2400億ドルも増加している。 人民元相場は2008年7月までの約3年間、対ドルで緩やかに上昇してきたが、同月にペッグ制が復活。外貨準備高はこれ以降に限っても6000億ドル増加しており、現在では国内総生産(GDP)の50%相当額に近い規模に膨らんでいる。おまけに中国は、為替介入がもたらすインフレ圧力を抑えるための対策も大々的に講じてきた。 中国の米国批判は「目くそ鼻くそ」 つまり、中国は人民元レートの上昇を名目・実質の両面でコントロールしてきたのである。これは間違いなく為替操作だ。またこの為替操作は一律関税と輸出補助金に等しい効果を持つため、その意味で保護主義でもあると言える。 中国の温家宝首相は先に、「輸出を伸ばす目的で、自国の通貨を安くし、他国の通貨に上昇圧力をかけようとすること」に反対だと語り、「私に言わせれば、それは保護貿易主義だ」と述べている。目くそ鼻くそを笑うとはこのことだろう。 もっとも、一部のエコノミストは中国の為替操作を否定し、反論している。 彼らの主張は主に4つにまとめられる。第1の主張は、確かに中国の介入は巨額だが、それによる歪みは小さいというもの。第2の主張は、世界の国際収支に及ぼすインパクトはそれほど大きくないというものだ。 以下では、これらを1つずつ検証していきたい。 人民元はどれだけ過小評価されているか 第1の主張から見てみよう。人民元の過小評価の程度については様々な推計がなされているが、その結果にはかなりのばらつきがあり、人民元は過大評価されているとの見方も出ている。 この原因は推計方法――均衡為替レート(FEER)や購買力平価(PPP)――の違いや、計測の正しい出発点についての前提が異なることに求められる。 例えば、中国人が自分の貯蓄を自由に輸出することができたなら、それによる資本流出は現在の為替介入をも凌ぐ規模になるかもしれない。 しかし、もし諸外国が中国の資産を自由に購入することができたなら、中国への資本流入も爆発的な勢いで進むことだろう。世界で最も活気のある経済の恩恵を享受したくないと思う人は、まずいないからだ。 恐らく、過小評価の程度はかなり大きいのだろう。ピーターソン国際経済研究所のフレッド・バーグステン所長が示唆した「実効為替レートベースで25%・・・対ドルで40%」というレベルに達している可能性もあるだろう。 JPモルガン・チェースの推計する実質実効為替レートは現在、1994年年初以降の平均値を10%しか上回っていない。この間に、中国は世界で最も高い経済成長率を記録してきたにもかかわらず、だ。しかも、この実効レートは2008年10月以降、8%下落している。何とも妙な話である。 中国の為替政策が国際収支に影響する理由 次に、第2の主張を見てみよう。モルガン・スタンレーのスティーブン・ローチ氏は、貯蓄行動の違いが各国の経常収支を決めているのであり、中国の貯蓄超過が米国の赤字を決めているはずはないと主張している。 また、これは筆者が(先日改訂した)単行本『Fixing Global Finance』で論じたことだが、貯蓄率が実質為替レートを決めるだけでなく、実質為替レートも貯蓄率を決めている。それはなぜかと言えば、政府がGDPを気にかけているからだ。 過小評価された人民元の実質為替レートは、中国の純輸出が2006年から2008年にかけてGDPを5.6%押し上げる要因となった。当時の中国当局には貯蓄超過の圧縮を試みる理由がなかったため、純輸出が拡大した。 しかし、2009年の世界的な景気後退で純輸出が急減してGDPを3.9%押し下げた時、中国当局は国内信用(クレジット)の拡大と投資の促進によって貯蓄超過の圧縮に動いたのである。 ローチ氏はまた、今の米国の純貯蓄は無視できるほど小さいと指摘している。だがこれも、民間部門の貯蓄超過の急拡大を財政支出が相殺した結果である。なぜそうする必要があったのか? それは、米国には構造的かつ巨額の経常赤字が存在しているため、民間部門による貯蓄の急増を放置すれば、経済が恐慌に陥っていたからである。 要するに、貯蓄超過は与件ではなく政策変数なのだ。 国際収支の不均衡は重大な問題 欧州政策研究センター(CEPS)から先日発表されたアントン・ブレンダー、フローレンス・ピサニ両氏の素晴らしい研究成果が示しているように、新興国からの資本流出の特徴で最も重要なのは、それが外貨準備の形態を取っていたことだった――その総額は2000年代に6兆ドル近く増加した。(Global Imbalances and the Collapse of Globalised Finance, CEPS, 2010) その結果、流動性が高く安全性も高い資産の需要が急増した。これを見た金融セクターは悪知恵を働かせ、そうした資産を「サブプライム」の資産から大量に作り出したのだ。その結果どうなったかは、読者もご存じの通りである。 不均衡が大きな問題であるもう1つの理由は、その存在が景気回復に大きなインパクトを及ぼすことにある。カナダ銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁が先日の講演で指摘したように、経常収支の不均衡が続けば、2つの結果が考えられる。 1つは、巨額の対外赤字を抱えた国が巨額の財政赤字を抱え続けると、いずれ「世界の金利が上昇し始め、クラウディングアウトによって民間部門の投資が抑制され、ついには経済の潜在成長力が低下する」というもの。 もう1つは、対外赤字を抱える国が財政赤字の大幅削減に乗り出す一方で、対外収支が黒字国がその影響を相殺するような対策を取らないために「世界的な需要不足」が生じるというものだ。 中国の黒字縮小は構造的なものか? 世界銀行は今でも、中国の経常黒字は高止まりし、近く純輸出が経済成長にプラス寄与すると予想している。世界で最も高い経済成長を遂げる中国は失業も輸出することになる。オニール氏は少し先走りしている。 結論として、人民元は過小評価されていると筆者は考える。また、これは世界の景気回復の持続性にとって危険な現象であり、中国の行動は今のところ、持続性のある解決策を提供するには至っていないと考えている。 筆者はまた、持続可能な景気回復の必要条件は不均衡是正であり、不均衡是正の必要条件は競争力の変化であり、競争力が変化するには人民元の実質レートが上昇する必要があり、インフレを抑制したい中国の姿勢を考えれば、人民元の実質レートが上昇するには名目レートの上昇が必要になると考えている。 米国が話し合いによる解決にチャンスを与えたのは適切な判断だった。だが、話し合いは行動に結びつけなければならない。 【JBPress】 比較優位説と人民元の不正為替操作について 昨年中国人民銀行の周総裁が、基軸通貨をIMF出資証券にする提案を行い、遂に米国は中国の覇権阻止に動き出し、中国に対し制裁に動き出した。その手始めは中国の不当な為替政策である。 たしかに先進国の間では、それぞれの国に得意な生産物があり、これを交易と言う形で交換すれば、互にメリットがあるような気がする。しかし国際間の交易には、国内の交易とは決定的に違いことが存在する。貿易には為替が介在するのである。もちろん為替レートが適正な範囲に収まっているのなら問題はない。ところが中国のように著しく低い為替レートが推移している場合には比較優位が成立せず、自由貿易は幻想に過ぎなくなってしまう。 しかしこれはあくまでも中国の勝手な希望である。そして問題は、これを実現するため、人件費が日本の20分の1、30分の1になるように為替を操作して、日本の生産拠点を閉鎖し、本来なら移転する必要のない工場もどんどん中国に移転し、中国での製造品(日本の進出企業の製品)の逆輸入の影響による価格競争の激化のため、他の企業も移転せざるを得ないのである。ユニクロビジネスに代表される異常な人民元安を利用し、ビジネスを大きくした企業が、日本空洞化を助長し首をしめていったのである。 「比較優位の原理」が働くには、交易を行う両国の為替が適正な範囲に収まっている必要がある。中国は人為的に異常な為替水準を維持している。これでは世界と中国の間ではとても「比較優位の原理」が働かないことになる。事実ほとんど全ての生産活動を中国で行うことが合理的となってしまった。 一時的に為替水準が異常な水準でも、公平な変動為替レートで自由貿易が行われているならば、為替が適正な値に動くはずで、人民元が強くなり、円を始め各国の通貨が安くなるよう動くはずである。しかし中国は一旦限定変動相場もどきにしたが、08年のリーマンショック以降米ドルにしっかりリンクさせることによって、安い人民元を維持し、自国の産業を保護したのである。 この20年間中国の為替政策を放置したのは、米国は為替の変動をあまり気にしなくても経済活動が行えてきたことと、欧州はユーロ圏内での貿易が大きかったからだ。 実際、WTOは各国の為替の水準や為替政策をほとんど気にしていない。WTOは、交易を活発化させるために障害となるのは、関税と補助金、そして各国の商慣行や国内産業の保護を目的とした法律などの非参入障壁だけと考えている。ところが中国が行っている為替政策は、関税と補助金などと比べられないくらい大きな参入障壁であったのである。ようやく米国が気づくのはここ6.7年だが騒ぎ出したのはリーマンショック以降、米国が金融立国ではなく貿易輸出国へ産業構造を再変換しようとしはじめたここ1.2年のことだ。
上記の表は人口ボーナス期と予想到達一人当たりのGDP http://www.china-europe-usa.com/level_4_data/hum/011_7a.htm 1979 年に人口増加対策のための法規制として一人っ子政策がスタート。この人口抑制政策が現状の人口構造のいびつな状況を形成しており、2015 年頃には労働力人口が減少に転ずるとの見通しもある。また、高齢化をサポートする年金など社会資本体制の整備も不十分な現状下でもあり、課題は山積みというのがこの問題の実体であろう。
【Ddogのプログレッシブな日々】
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