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今の日本企業は、韓国企業に追い上げられて苦しいと思ってるだろうが、25年前頃から多くのアメリカの製造業が抱えていた感覚だ http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/464.html
株式日記と経済展望 2010年3月15日 月曜日 ◆日本企業の苦しみを25年前から味わっていたアメリカ企業 3月8日 My Life in MIT Sloan 実際、日本の製造業は苦しんでいる。講演でも紹介したように、かつてはブラウン管テレビでは世界の半分のシェアを持っていた日本企業は、薄型テレビになってから、サムスンやLGにシェアを奪われてるし、半導体も1980年代にはDRAM世界シェア80%近くを占め、NECがNo.1だったが、ここも韓国にやられている。 韓国だけでなく、元気のいいアメリカ企業も、携帯音楽プレーヤーなど各分野で日本企業を脅かしている。半導体露光装置は10年前までニコンとキヤノンで世界の75%を占めていたが、現在はオランダの企業がトップ。などなど。素材産業など日本が勝ち進んでる分野もあるが、多くの製造業は軒並み苦しんでる様子だ。 製品がコモディティ化して独自の競争力を失い、更に技術が世代交代することで、影響力を全く失ってしまう。しかしこれは、日本に限らず、世界中の大企業が共通して直面する問題である。 今の日本企業は、韓国企業に追い上げられて苦しい、と思ってるだろうが、その感覚は25年前−1985年頃から、多くのアメリカの製造業が抱えていた感覚なのだ。新しい技術を上手く取り込めずに、元気のいい日本企業やヨーロッパの企業にに追い上げられて。というわけで、講演では、25年前から苦しんでいたアメリカの大企業を3つ紹介してみた。 ■RCA テレビで韓国に追われて日本が苦しんでるって話をしたので、日本企業が破滅に追いやった、アメリカのテレビの企業の話をしておくのがフェアだろう。 RCAは、ラジオやテレビなどの黒物家電を作っていた、アメリカを代表する電機会社だった。かつてはミュージックレーベルも持っていたので、いまでもこの「RCA」と書かれたCDを持ってる人も多いんじゃないだろうか? もともとはラジオを作っていて、それが1920年代に大量に売れて、後の繁栄の基礎を築いた。折りしもアメリカ経済が繁栄の極みをみせていた1920年代(大恐慌の直前)。車も普及し始めていたから、車に乗せたり、子供が子供部屋に置いたり、と2台目、3台目の需要もあった。 ラジオで儲かった利益を原資に、RCAは白黒テレビの開発を始めた。通信業界の規制を決めていたFCCを上手く利用して、自社の技術を元にテレビの標準化を推し進め、1941年に初の商用化。こうして、1960年代にはアメリカのテレビ市場シェアの半分をRCAが持っていた。 ところが松下(当時)やソニーがアメリカに進出して状況が変わった。RCAよりも莫大な資本を投下して、大量生産と安い労働力で製造コストを落とし、とにかく安い。品質も割と良い。(今の韓国企業を見てるようだね)1980年代に入るとシェアが逆転。オランダ企業フィリップスなども参入して、RCAは徐々にシェアを失い、1987年には1%以下となった。 RCAは儲かっていた時代に作った大きな研究所があり、次世代のテレビを開発しようと、たくさんの技術を蓄えていた。それが液晶テレビだったが、これはRCAでは実現しなかった。後に日本のシャープが、この技術を譲り受けて電子計算機に使い、技術を進展させて、最終的に液晶テレビを実現したのだった。 RCAは、家電が関連するものに次々と事業を広げ、テレビでの負けを食い止めようとしたが、これも失敗の原因だった。特にパソコンへの参入では、本来は家電に集中するべきだったリソースをかなり食われた上、全く利益が出なかった。結局広げた事業は次々に他企業に売り、事実上の崩壊となったのだった。 ■モトローラ モトローラは、アメリカを代表する通信メーカーだ。1980年代に世の中に初めて携帯電話というものを出して、普及させた。ところが圧倒的なシェアを誇っていたアナログ携帯電話から、2Gのデジタル携帯電話に移行することが出来なかった。以前の記事にも書いたように、アメリカでアナログ携帯電話のインフラに莫大な投資をして、市場が2Gに移行しようとするのを食い止めていたのだ。 しかしアナログではキャパシティとコストの問題は解決できず、世の中は2Gへ移行する。モトローラもかなり遅れて参入したが、圧倒的な知名度でも遅れは挽回できず、ヨーロッパのメーカーであるノキアにシェアのほとんどを奪われていった。イリジウムの大失敗も痛かった。そこからは転落の一途だった。 もともとは通信機器に必要な半導体からインフラまで全て作る超垂直統合な企業だったが、半導体などを初めとして事業を切り離し、組み込みソフトウェア技術者を数万人単位で解雇。携帯電話事業そのものを売ることで何とか立て直そうとしているが、誰も買ってくれない。 アメリカを代表する通信機器メーカーだったモトローラが、次々に切り売りされて崩壊の一途をたどるのを見るのは、正直忍びない。 ■コダック そして、イーストマン・コダックは、フィルムカメラの王者だった。かつては市場をほとんど独占しており、40%近くの営業利益率を誇っていた時代もあった。大きな基礎研究所を持ち、最も優秀な化学者や技術者が採用され、様々な基礎研究も行われていた。MITの最大の寄付者のひとつでもあって、かの有名なMITのドームがある校舎は、コダックの寄付で建てられたものだそうだ。 ところが、1980年代から徐々に日本の富士フィルムに追われ、シェアを失っていく。極めつけは、ソニーが開発して、日本勢がシェアのほとんどをもっているデジタルカメラだった。 たった10年の間に、デジタルカメラの世帯普及率は50%を越え、誰もフィルムカメラを買わなくなった。コダックもデジタルカメラを開発したが、「フィルムと現像代で継続的に儲ける」ビジネスモデルから脱却できなかった。デジタルカメラのような「機械の売り切り」ビジネスになじめなかった。それで、技術はたくさんあったのに、組織の意識の変更をすることが出来ず、シェアを全く取れなかったのだ。 アメリカ人たちはコダックに対し、「コダックなんてもう死んだブランド(dead brand)だ」とか「デジタルにいつまでも移行できない、終わった会社だ」という厳しい評価を下している。ある講演会では、社長が呼ばれたのに、「コダックはデジタルを語る資格がない」といわれて講演を拒否されたことすらあった。 社長(本物ではない)が、「コダックだってデジタルをやってるんだ!」ということを主張してる。 私はこのビデオを見ると、どういうわけかいつも涙が出てくる。 それなのに、その技術を使った商品が出せない。 ビデオ内の「Kodak is doing it!」「I Know, Big talk is coming from the company」 決して経営陣が技術を知らないバカなわけでも、技術者がツカえないわけでもないのだ。経営の舵取りを間違えただけで、これだけの技術と、研究者の努力が無駄になってしまう。大企業の組織を改変し、新しい技術に対応するように全体を変えていくのは、かくも難しいことなのだ。 「技術が優れてるから勝てる」わけではない、ということは、こうしてアメリカの企業たちは、日本企業やヨーロッパの企業に追いやられながら学んできていているのだ。 日本企業が、これらのアメリカ企業のように崩壊の一途をたどるか、IBMやGEがそうであったように再生するかは、今の経営の舵取りにかかっている。
ところが既存の市場を失うまいとして会社組織を時代の変化に合わせていくことに失敗してしまった。RCAも既存のブラウン管テレビから液晶テレビに切り替える投資を惜しんでいる間にシャープがカラー液晶パネルを実用化してしまった。ソニーもトリニトロン・ブラウン管テレビに拘るあまりに液晶テレビには遅れを取ったようなものだろう。 モトローラといえば携帯電話の代名詞のようなものでしたが、これもデジタル化の波に飲み込まれてしまった。あまりにもアナログ式のインフラ投資に金をつぎ込んでしまっていた。起死回生のためにイリジウムと言う衛星を使った携帯電話は画期的なものでしたが、携帯電話の主流にはならず大失敗に終わった。 コダックにしてもフィルムの代名詞のような会社でしたが、デジタルカメラという全く異なる分野からの参入でフィルム式のカメラは廃れてしまった。しかしデジタルカメラを開発したのはコダックでありながら、フィルムの現像やプリントなどの市場を切り捨てる事は不可能だっただろう。しかしソニーやカシオなどの企業は既存の市場を持たなかったからデジタルカメラで市場を席巻する事ができた。 そしていまや攻守ところを変えて日本企業は韓国や台湾や中国企業に追い上げられる立場に立たされていますが、アメリカ企業のように対応を間違えれば市場を奪われて行くのだろうか? 「株式日記」でも韓国の液晶パネルやDRAMに負けた事を何度か書いてきましたが、アメリカ企業のように衰退していくのだろうか? アメリカはデジタル技術や情報通信技術ではトップでありながらも、デジタル化商品の開発の波の乗り遅れてしまった。RCAやモトローラやコダックなどがどうして商品開発の波に乗り遅れてしまったのだろうか? それはブログでも触れられているように「社内や系列企業の既存事業とのしがらみがありすぎて、競合する製品を出せないのだ。」 それはソニーがウォークマンという市場やMDプレーヤーに拘りすぎて、アップル社のiPodに負けたように、日本のメーカーも二の舞いを踏みつつあるのだろうか? 社内の部門を切り捨てる事は大きな決断を要する事であり、新分野へはどうしても切り替えることが難しい。守りに拘りすぎれば新分野への投資は限られたものになり新興勢力に破れる。 ソニーはウォークマンやトリニトロン・カラーテレビで一時代を作りましたが、iPodやサムスンの液晶テレビに破れた。その気は会社の幹部たちに経営判断の誤りがあったのですが、自分たちが築いた市場をまだ利益を上げているのに切り捨てる事が出来る事なのだろうか? 社長が切り捨てると判断しても切り捨てられる部門の役員が反対するだろう。 いまや家電ではサムスンに日本のメーカーが束になってもかなわなくなってしまった。パソコンにしても台湾のパソコンメーカーが世界の市場を支配するようになっている。携帯電話も日本はガラパゴス化しているといわれますが、技術力がダントツでも世界市場を握る事ができなければアメリカの企業のように消えて行く運命にある。
ソニーは日本の代表的なグローバル企業だが、最近はグローバル化の失敗例として引き合いに出されるほうが多い。他方、ソニーに代わってアジアの電機メーカーの雄になったのはサムスン電子だ。本書は両社を比較し、その失敗と成功の要因を分析したものだ。 ソニーの最大の失敗は、大賀典雄社長の後継者に出井伸之氏を選んだことである。彼は大賀氏が「消去法で選んだ」と口をすべらしたように、取締役の中でも末席で、ソニー本流の技術系でもなく、とりたてて実績があったわけでもなかった。創業者のようなカリスマ性がない点を補うため、彼はカンパニー制にして各部門の独立性を高め、委員会設置会社にして取締役会が"active investor"として巨大化した組織を統治しようとした。 結果的には、これが失敗の原因だった。各期のボトムラインだけを見て資産を組み替える持株会社のような分権型システムは、企業が成熟して開発投資が少なく、オペレーションの効率性だけが重要な産業(食品・流通など)には適しているが、ソニーのような研究開発型の企業には向いていない。カンパニー制でEVAのような財務指標を基準にして事業を評価すると、各部門の利己的なインセンティブが強まり、短期的リターンを上げるために長期的な研究開発をおろそかにする傾向が生じる。EVAを上げるにはレガシー事業を延命して設備投資を節約することが有利になるので、収益を上げていたテレビやVTRなどのアナログ事業が延命される結果になった。 致命的なのは、技術的にはアップルよりはるかに先行していた音楽配信システムで失敗したことだ。要素技術は別々のカンパニーがもっていたが、それを統括するリーダーが不在だったため、バラバラに何種類ものシステムをつくり、子会社のレコード部門が著作権保護にこだわってMP3をサポートしなかった。このようにハードウェアとコンテンツとプラットフォームが連携しなければできない補完性の強いビジネスでは、集権的な組織のほうがいいのだが、800以上の子会社を抱えて水ぶくれした組織と求心力の弱い経営陣では、整合的な戦略がとれなかった。出井氏はこの問題を理解できず、「著作権の保護が弱いから音楽配信ができない」などと政府に苦情をいっていた。(後略)
これからの産業のポイントはエコロジーだと思うのですが、太陽電池パネルもシャープなどがトップ企業だったのですがドイツや中国の企業に抜かれてしまった。国家の産業政策の失敗が韓国のサムスンに抜かれた面もあり、太陽電池パネルも小泉構造改革で補助が打ち切られてしまった。原子力発電所にも相次いで受注に失敗しているが、技術力ではリードしていても市場で破れればアメリカ企業のように退場させられて行く。
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