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世界経済が抱える余剰生産能力の大きさを考えると、どうやったら持続的なインフレ昂進を実現できるのかは分からない http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/445.html
株式日記と経済展望 2010年3月10日 水曜日 ◆通貨競争:底を目指すレース 英エコノミスト誌 2010年3月6日号 ◆各国が競って自国通貨を弱くしようとしている。 昔々、各国は強い自国通貨に誇りを持っていた。強い通貨を経済力と政治力の象徴と見なしていたのである。 それが今では、外国為替市場が体重44キロのチャールズ・アトラス並みのひ弱な通貨だらけになり、皆が皆、浜辺で砂をかけられたいと願っているかのように見える*1。 まず、2009年に米ドルが打撃を食らった。リスクを取る意欲が回復し、非常に低い金利でドルを借りることが可能となる中、ドルが投機的な「キャリートレード」取引に使用され、資金が米国から国外へ流出したからだ。 次にユーロが売りを浴びせられた。南欧諸国のソブリン債の問題に対するユーロ圏のエクスポージャー(投資残高)が懸念されたためだ。 ◆ドルに続き、ユーロ、さらにはポンドが売られ・・・ 3月初めになると、英ポンドが急落した。英国の財政赤字に対する懸念に加え、5月に予定されている総選挙後に、ハングパーラメント(絶対多数の政党が存在しない議会)が政治の膠着状態をもたらす恐れが不安視されたためだ。 政治家と中央銀行が、こうした為替相場の下落に動揺している兆候が少しでも見られるだろうか? 全くない。 イングランド銀行のマーヴィン・キング総裁は、輸出を後押しする要素としてポンド安を歓迎しているように見える。フランスのクリスティーヌ・ラガルド財務相をはじめとする欧州の政治家も、同様の理由から最近のユーロ安に好感を示している。 米国の政府当局は、強いドルに対する信念をオウム返しのように繰り返しつつ、ドルのテコ入れ策は一切講じていない。金利を引き上げるでもなければ、財政赤字を削減するでもなく、また、市場に介入するでもない。 一方、自国通貨の相場が上昇傾向にある国々でも、通貨高を歓迎する様子はあまり見られない。スイス政府は、スイスフラン相場を抑えるため市場介入した。日本の新財務相、菅直人氏は、円安を求める発言をした(しかし、菅氏は円安誘導発言に関して首相から叱責された)。 大方のエコノミストが通貨を切り上げるべきだという点で意見の一致を見る国は、中国である(理論上、成長ペースの速い国は長期的に通貨価値の上昇を喜ぶはずだ)。しかし、中国もその誘惑に抗い、人民元の対ドルレート上昇を抑えようと市場介入している。 なぜこのところ、弱い通貨がそんなに好まれているのだろうか? 信用収縮と世界的な景気後退の後、経済成長を求めて悪戦苦闘が続く中、輸出業者の利益が何より重視されているというのが、その答えのようだ。 もちろん、各国通貨がすべて一斉に値下がりすることはあり得ないので、為替レートの上昇に甘んじる役目を演じる一種の「持ち回り」があるように見える。 ただし、主役の務めは、すぐに終わる傾向がある。当該国の政府が自国通貨を弱くする対策を取ったり、経済ニュースを受けて市場がその通貨に売りを浴びせたりするからだ。 ◆罰せられない通貨安 それと同時に、最近の通貨下落は「インフレ率の上昇」という伝統的な方法で罰せられることもない。英ポンドを例に取ってみよう。2007年の高値を基準にすると、ポンドは対ドル・対ユーロで25〜30%前後下げ、1992年の欧州為替相場メカニズム(ERM)離脱後よりも急激に下落している。 1970年代には、そのような通貨下落は2ケタのインフレを伴った。しかし、英国の1月の小売物価指数の上昇率は前年比わずか3.5%にとどまっている。しかも、これは付加価値税率の引き上げという国内要素によって押し上げられた数字だ。 また英国に資産を持つ欧米の債権者は過去3年間で資産価値を4分の1以上も失ったわけだが、英国は大きな代償は払っていない。短期金利はたった0.5%で、10年物の英国債の利回りも4%程度にとどまっている 一部の人にとっては、ここから引き出される教訓は明快だ。もし、すべての紙幣発行国が自国通貨の下落を望むのであれば、中央銀行が価値を下げることができない資産を所有するしかないということだ。すなわち、金である。 今年、金の価格は1オンス=1100ドル以上をつけるまで高騰した背景に、各国政府がインフレによって債務軽減を図るという確信があったことは間違いない。 しかし、世界経済が抱える余剰生産能力の大きさを考えると、今後数年間、どうやったら持続的なインフレ昂進を実現できるのかは分からない。 ◆インフレによって債務軽減を図るのは困難 国債の期限が一般的に短いことを考慮すると(米国の場合は5年未満)、各国政府がインフレを昂進させる意図的な戦略をやってのけられるかどうかも全く定かでない。恐らく市場はそうした意図を見越して、国債利回りを上昇させるはずだ。 実際、近頃のソブリン債に対する不安は、債権者が再び自己主張を始め、財政の慎重さを欠く政府が発行する国債に高い利回りを要求しているサインなのかもしれない。 自国の財政赤字の穴埋めを外国人頼みにする国は、自国通貨の安値誘導という「安易な」選択が、近年よりもずっと大きな代償をもたらすことに気づかされる可能性がある。そして、さらに時間が経てば、強い自国通貨を持つことは今再び、負担ではなく強みと見なされるようになるかもしれない。
70年代頃までは弱い通貨は金利高とインフレを伴ったのですが、ドルと金とのリンクが切り離されて世界中にドルが満ち溢れるようになった。円との比較においても1ドル=360円から1ドル80円台にまでドルの価値が下がった為に、世界中の通貨が切り下げ競争に巻き込まれているように見える。ドルが基軸通貨の特権を利用してドル札をばら撒いて世界中から物を買ってきた。 ドルが金との交換が切り離された結果、金の代わりに石油がマネーの信用の裏付けするようになり、石油の価格がドルの切り下げに伴って上がれば通貨の価値も一定に保てるのですが、石油は長い間1バレル=20ドル前後で安定していた。アメリカがいくらドル札をばら撒いても石油は値上がりしなかったからアメリカは一人特権を得てきた。 もし石油が2008年頃のように1バレル=147ドルまで急騰すれば、アメリカ経済はサブプライムローン破綻やリーマンショックに見舞われて致命的打撃を負った。石油などの鉱物資源が安値に保たれたのは採掘技術の進歩により供給過剰になっていたからですが、中国やインドの経済成長によって資源価格の高騰が起きるようになった。 石油などの資源は中東に偏在しており、中東石油産出国はこれといった産業も無く石油を売っていかなければ国家経済が成り立たない。しかし石油を売ってドルを得てもドルが安くなれば手取りも目減りするからドル安と石油価格は反比例するはずですが、ずっと20ドル台だった。安い鉱物資源が安定的に供給されて中国やインドやブラジルが工業化されれば安い物が世界中にあふれる事になる。 その結果余剰生産能力が拡大していって、世界各国は通貨の切り下げ競争をして安売り合戦になっている。このように世界にドルが溢れても投機資金は株や債券に向かっており債券高で世界的に低金利状態が続いている。余剰なドルがどうして金や石油などの投機的に買いに行かないのか不思議ですが、世界的投機家のジム・ロジャーズ氏等は商品相場に注目している。 しかしアメリカにしてみれば石油を安く固定させておく事がドルの価値を高める事になり石油相場を上げてしまえば自分で自分のクビを締める事になる。だからアメリカは中東に軍隊を張り付かせて安く石油を売るように石油産出国を威圧している。中東の産油国にしてみればOPECなどで協定して石油を高く売るという手段を取りたい筈だ。 2008年に石油が投機の対象になって1バレル=147ドルにまで上がりましたが、半年で35ドルにまで叩き落された。石油を安く売らせるのはアメリカの国策でありアメリカの投機的ファンドも石油価格を買い上げる事は出来ないのだろう。中国は石油の産油会社を買収しようとしましたがアメリカはこれを禁止した。アメリカはこのように石油を管理する事が国策であり投機筋も手が出せないのだろう。 エコノミスト誌が書いているように70年頃までは通貨安がインフレを招きましたが、最近では通貨が安くなっても金利も安いままだ。それほど通貨がだぶついて国債などしか買うものが無いから金利が上がらない。しかし中東で戦争が起きて石油が供給されなくなれば世界中の国債が紙切れ同然にまで急落してインフレパニックが起きるだろう。 石油が上がればデフレ経済はインフレ経済に一気に変わる。石油を利用して採掘している鉱物資源や農産物も上がる。それは2008年にシュミレーションされている。このようにデフレとインフレは紙一重に隣り合わせのものであり、世界がデフレ経済になればなるほど、石油とドルに異変が起きれば一気にインフレが爆発しやすくなる。 本来ならば通貨が高くなれば原材料が安く買えることで国家全体から見れば利益のはずだ。しかし石油が安定供給されてドルなどの通貨が金融緩和でだぶついて、投資先が見つからなければ国債が買われて金利が安くなり、通貨が安くなっても金利が上がらない状況が出来てきた。しかしギリシャなどの国債のデフォルトの危険が高くなると、ユーロが売られてドルや円に買いが集まる。さらにドルが危ないとなればますます円に買いが集まり円が高くなる。 はたして円高は疫病神なのだろうか? 石油産出国から見れば通貨の強い円は魅力的なはずだ。イランなどはドルではなく円でも石油を売るようになった。もし中東の産油国が通過の下落リスクの少ない円で石油を売りたいと言い出したらアメリカは発狂するだろう。そんな事が無いようにアメリカはイラクや、クウェ−トなどに軍隊を張り付かせているのだろう。 日本にアメリカ軍が基地を点在させているのも日本に勝手な真似はさせないためであり、日本の経済力と技術力はアメリカにとっては脅威であり、中東の石油と共に日本は管理しなければならない国なのだろう。アメリカにとっての一番の脅威は基軸通貨の特権を失う事であり、世界最強に通貨である円が基軸通貨になる可能性がある。それは中東産油国と日本が手を組めば可能だ。円でしか石油が買えないとなれば実質的に円が基軸通貨になる。 少し前ならユーロがドルに代わる基軸通貨になる可能性がありましたが、PIGS諸国の弱みを晒してしまった。もし円が基軸通貨になれば膨大な円の需要が出来てドルは紙切れになる。急には出来なくても数十年かけてドルから円への基軸通貨の切り替えは可能だろう。これからの為替は強い通貨が基軸通貨になるべきであり、中東産油国もドル一辺倒ではなくユーロや円などでも売るようになるだろう。 そうなる為には中東の米軍を追い出すことが必要ですが、日本にはそれだけの軍事力が無い。日本に米軍が駐留している事自体が円の国際化を阻んでいる理由ですが、日本から米軍基地が無くなれば中東に展開している米軍も補給が困難になり引き揚げざるを得なくなる。そのように考えれば沖縄の普天間問題が日米の同盟を終わらせるきっかけになれば、アメリカのドル基軸通貨体制も終わるきっかけになるだろう。
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