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中国の重商主義によって米国の雇用は約140万人分の職が失われる結果になる可能性がある。ポール・クルーグマン http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/438.html
株式日記と経済展望 2010年3月8日 月曜日 ◆「中国の新年」 1月5日 ポール・クルーグマン NYT 有識者たちが今後一年間に関する予想を伝統的に行う季節の到来だ。私の予想は国際経済に関するものである。私は予測する。2010年は中国の年になるだろう。そして、これは良い意味ではない。 実際のところ、中国に関する最大の問題は気候変動に関する件だ。しかし、今日のところは、通貨政策に集中したい。 中国は金融及び貿易の面で重要な大国になっている。しかし、中国は他の主要経済大国のようには振る舞わない。その代わり、中国は重商主義政策を追求しており、貿易黒字を人為的に高い水準に維持している。そして、現在の世界経済の低迷の中、その政策は、率直に言って、略奪的である。 その政策がどのように機能するのかについて。ドル、ユーロ、円など価格が自由に変動する通貨とは異なり、中国の人民元は公的な政策によってドルに対して6.8元でペッグされている。この為替レートにより、中国の製造業は他国の競合相手に対してコスト面での大幅な優位性を得ており、これが大規模な貿易黒字につながっているのだ。 通常の状況の下では、こうした貿易黒字からのドルの流入は、反対の方向を向く民間セクターの投資家によって相殺されない限り、人民元の価格を押し上げることになるはずである。そして、民間セクターの投資家は中国から出て行くのではなく、中国に入って行こうとしている。しかし、中国政府は、ドルを買い支え、そのドルを外国に止めておくことになろうとも、資本の流入を制限しており、外貨準備の保有高は2兆ドル以上に達している。 この政策は、輸出に重点を置く中国の国家・産業複合体にとっては良いものであるが、中国の消費者にとってはそれほど良いものではない。しかし、中国以外の我々にとってはどうなのであろうか? 過去において、中国による外貨準備の積み上げは(その多くは米国債に投資されていた)米国の金利を低く維持することで米国にとっても利益になっていたことはほぼ間違いがない(もっとも、こうした低金利で我々が行ったことは基本的に住宅バブルを膨張させたことであったのだが)。しかし、現状、世界は低利の融資で溢れかえっており、こうした融資マネーは行き場を探している。短期金利はゼロに近く、長期金利はそれよりは高いが、これは単に投資家がゼロ金利政策はいずれ終了すると予想しているからだけのことである。中国による国債の購入で生じる違いなど殆ど、或いは全くないのだ。 その一方、こうした貿易黒字は、低迷している世界経済から非常に必要とされている需要を奪っている。私の簡単な計算によると、今後二年間で中国の重商主義によって米国の雇用は約140万人分の職が失われる結果になる可能性がある。 中国はこの問題を認めることを拒絶している。最近も、中国の温家宝首相は外国からの不満をはねつけている。「一方で、あなたがたは人民元の切り上げを要求し、もう一方で、あなたがたはあらゆる種類の保護主義的措置を実施している」と述べている。実際のところ、他の諸国が(控えめな)保護主義的措置を講じているのは、正に中国が人民元の切り上げを拒否しているからに他ならないのだ。そして、より多くの保護主義的措置が全面的に適当なのである。 或いは、そうなのだろうか?私はいつも、中国の政策を巡って中国と対立しないことには二つの理由があると聞かされている。ただし、どちらの理由も理屈に合わない。 第一の理由として、我々が中国と対立出来ないのは中国が保有するドルを手放すことで米国経済に多大な混乱をもたらすことになるためだという主張が存在する。これは全面的に間違っており、その理由は中国が保有するドルを放棄すれば中国は自らに大幅な損失を与えることになるためだけではない。それ以上に重大な論点として、中国の重商主義を現時点で非常に有害なものにさせている正にその要因は、中国には金融面でのレバレッジが殆ど、或いは全く存在しないということを意味するのである。 改めて述べるが、現在、世界経済には低利の融資マネーが氾濫している。したがって、仮に中国がドルの売却を始めようとしたところで、米国の金利が大幅に押し上げられることになると考えるような根拠は全く存在しないのだ。中国がドルを売却すれば、恐らくドルは他の通貨に対して弱くなるだろう。しかし、そのことは米国の競争力や雇用にとって、悪いことではなく、良いことなのである。このため、仮に中国がドルを見捨てるのであれば、我々は中国に対して感謝状を送るべきである。 第二の理由として、保護主義というのは、如何なる状況であっても、常に悪いことであるという主張である。しかしながら、もしこれが読者の皆さんの考え方なのであれば、皆さんに基礎的な経済学を教えた人々が間違っているからである。なぜなら、失業率が高く、政府が完全雇用を回復出来ない場合において、通常のルールは適用されないのである。 故ポール・サミュエルソンによる古典的な文書から引用をさせて欲しい。彼はいずれにせよ現代経済学の創始者である。「雇用が完全に満たない場合、・・・誤りであることが実証された重商主義的な主張はいずれも」(つまり、輸出に補助金を拠出している国は実質的に他の諸国から雇用を奪っているといった主張のことだ)「有効なものとなる。」その上で、サミュエルソンは、一貫して不適切な為替レートが「自由貿易の擁護論にとって正真正銘の問題」を産み出すことになると主張するに至っている。こうした問題にとっての最適の回答は、為替レートを然るべき水準に戻すことである。しかし、それは正に中国が実現を拒否していることである。 重要なのは、中国の重商主義は大きな問題となりつつあるということであるし、また、その重商主義の犠牲者は貿易面での対立から失うものが殆どないということである。したがって、私は中国政府に対してその頑固な姿勢を再考することを要請したい。さもなければ、中国が現時点で不満を述べている控えめな保護主義がもっと遙かに大きなものへの出発点となるはずである。
その点からは日本の円の為替は85年のプラザ合意で240円から一気に120円にまで上がった事で輸出産業が大打撃を受けた。このような過激な為替レートの変更は避けるべきなのですが、投機筋としては急激な方が短期間で儲かる事になる。ポール・クルーグマン教授は2010年は中国の年になると予言していますが、一番の問題が人民元の問題だ。 もともとは米中の合意の下で90年代に人民元は大きく切り下げられて日本の円は大きく切り上げられた。この事で日米の貿易摩擦解消に繋がるはずでしたが、日米間の貿易不均衡は変わらなかった。日本は既に製品輸出から資本財の輸出に変わっていたから円高になっても輸出を止める事は出来ないようになっていた。 それに対して人民元が上がれば多くが製品輸出だから価格が上昇して売れ行きが落ちる。数年前に20%程度の切り上げがありましたがコスト上昇になって輸出工場がたくさん潰れた。中国国内でも人件費の上昇と輸入資源の高騰によってコスト競争力が落ちてきている。だから元の切り上げは難しくなってきている。 中国が行なっている重商主義は近隣窮乏化策であり周辺諸国が一番大きな被害を受ける。20年以上に及ぶ日本の不況も中国の重商主義によるものであり日本は中国の低賃金に引っ張られて賃金が低下して消費も低迷するようになってしまった。だから政府がいくら景気対策を打ってもきかない訳であり、国内の工場も多くが中国に移転してしまった。 日本の経済的弱体化は米中の利益であり、今年にはGDPでも中国に抜かれる事になる。その為に自民党政権に批判が集まるようになって政権交代が起きた。日本の弱体化政策はアメリカの狙いでもあったのですが、中国を巨大市場に育てることでアジアの覇権国にすることが実現しつつある。 日本はアメリカのために踏んだり蹴ったりの状況になりましたが、アメリカも製造業が中国に移転した事で2兆ドル以上もの外貨準備が貯まる事になった。日本の2倍もの外貨を貯めこめば米中間で貿易摩擦が起きるのは遅すぎるくらいだ。しかし中国は頑強に元の切り上げを拒否している。それに対してオバマ政権は中国に対して対決姿勢に転じたようだ。 ポール・クルーグマン教授はノーベル賞学者として有名であり、その発言の影響はアメリカの経済政策にも大きく影響している。円高による貿易不均衡の是正政策もクルーグマン教授が提唱した事ですが、円が切り上がっても貿易不均衡は是正できなかった。中国に対してはどうなのだろうか? 人民元の切り上げは世界にどのような影響をもたらすだろうか? 人民元がこのまま固定されていると世界中が保護主義にならざるを得なり、近隣諸国も元に引っ張られて切り下げてくる。切り下げ合戦が起きて来るだろうし為替が混乱する。中国が切り上げれば世界中に溢れた中国製品の値上がりが起きるだろう。中国では外国から輸入されたものが安く買えるようになりインフレが収まる。 ポール・クルーグマン教授が人民元問題に積極的な発言はアメリカの経済政策にも大きな影響を与えるだろう。アメリカの失業が10%を越えるような序京になれば雇用問題として人民元の問題にならざるを得ない。また中国が持つドル資産を売却してくるという問題についてもアメリカの優位性は変わりがないとしている。金融緩和で金はだぶついており米国債しか買うものがないからだ。 日本はアメリカに対してぶたれても蹴られても縋り付いて行く「寛一お宮」のお宮さんでしたが、民主党政権の誕生でアメリカ離れが起きている。アメリカの中国に対する弱腰と日本に対する強圧的な態度の違いはどこから来るものだろうか。自民党の政治家があまりにもアメリカに対して従属的であり圧力をかければ日本人は言う事を聞くと思わせてしまったからだ。 その結果我慢に我慢を重ねてパールハーバーになってしまうのですが、日本の政治家もマスコミもアメリカに対しては言うべき事は言うべきだ。オバマ大統領による米中によるG2論は日本を過小評価したものであり、日本がアメリカを支えてきたことをアメリカは知らない。それが普天間問題ではものを言い始めたからアメリカは慌てている。 日本にもポール・クルーグマンのような世界的に影響力のある経済学者がいればいいのですが、日本の経済学者は三流の学者ばかりだ。人民元の問題を日本の経済学者が一番先に言うべきなのですが、経済コラムマガジン等のネット上では早くから人民元の問題が指摘されていた。つまり日本においては経済学については学界よりもネット上のほうがレベルが高く進んでいるようだ。
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