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金融分野でも米中が衝突するのはもはや時間の問題だろう。中国はいずれ第2の「プラザ合意」を受け入れざるを得なくなるのか? http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/428.html
株式日記と経済展望 2010年3月5日 金曜日 ◆北京を中心に地球が回り始める日 3月5日 宮家 邦彦 先週、米国のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)で中国関係の面白い評論を見つけた。香港在住の2人の米国人ビジネスコンサルタントが書いた「Get Ready, Here China, Inc. Comes(準備はいいか、中国株式会社が来るぞ)」と題する小論だ。 手前味噌で恐縮だが、「やはり言った通りだろう」というほのかな自負と、「ようやく米国人も気がついてくれたか」という冷めた感慨が筆者の頭の中で交錯した。この手の米国人「中国経済通」にはホロ苦い思い出がある。今回はその話をしよう。 ◆中国市場は日本より自由? 筆者が「中国株式会社」について書き始めてから、もう4年になる。外務省退職後、ある国際シンポジウムで面白い米国人に出会ったことがきっかけだった。 実にエネルギッシュなその初老の男、以前は有名な米投資銀行のアジア担当副社長だったそうだ。 10年ほど前は東京にも駐在していたが、今では独立し対中投資一本で手広くやっているという。 「本当に儲かるのか、中国は昔の日本株式会社と同じではないのか、規制が多くて大変だろう」。思わず筆者はその経験豊富な銀行家にこう聞いてみた。 答えは予想外だった。「とんでもない、中国は自由だ、規制が多いのはむしろ日本の方だ」と譲らない。そんなはずはない、こう思って筆者は畳みかけた。「共産党の統制は金融にも及んでいるはずだ、中国に自由な経済市場などあるわけがない」 彼の言い分はこうだ。確かに中国にも規制はたくさんあるが、規制のない分野では米側が提案する新金融商品をどんどん認可してくれる。それに引き換え、日本ではこれまで認可されていない金融商品は絶対認めない。だから東京から撤退したのだそうだ。 ◆対中戦略投資モデル 言われてみればその通りだ。当時の中国は米投資銀行などが駆使する最新金融工学を貪欲に吸収するためか、米系銀行の自由な活動を相当程度認めていたらしい。彼に限らず、米国の金融機関は中国という新開地で大儲けしたに違いない。 「なるほど」と筆者は妙に納得し、その場は黙ってしまった。しかし、一晩寝ると新たな疑問がわいてくる。「中国が自由でぼろ儲けできることは分かったが、儲けはしょせん人民元だろう、ドルに換金できなければ意味ないではないか」翌朝再び彼をつかまえてこう聞いてみた。 男はニヤっと笑ってから、自信たっぷりにこう言った。「その通り、今は換金は不可能だ。しかし、いずれ中国には人民元を自由化させる、しかも大幅に切り上げてからだ、本当の戦略的対中投資とはこういうものだよ」 この一言にショックを受けた筆者は爾来中国の経済金融システムを詳しく勉強するようになった。あの時彼に会わなかったら、このコラムは生まれなかっただろう。4年経った今、どこで何をしているかは知らないが、彼には感謝の気持ちでいっぱいだ。 ◆正体を現したチャイナ・インク(China, Inc.) 彼の投資戦略が正しかったかどうかはまだ分からない。しかし、過去数年間に中国が、外資と技術を受け入れて国内産業を強化するだけでなく、海外の市場と資源を求めて本格的な対外投資を行うようになったことだけは間違いない。 冒頭ご紹介したWSJの評論は、こうした「中国株式会社」の経営戦略の変化を踏まえ、中国ビジネスを模索する欧米企業家たちに警鐘を鳴らすものだ。同小論は次のように書いている。 ●海外における中国企業のプレゼンスの拡大は西側企業に対する新たな競争上の圧力となりつつある。・・・中国企業は資本調達コスト、国内の労働力コスト、株主への説明責任の面で外国ライバル企業に比べ優位に立っている。 ●また、中国企業は、進出先途上国との政治的関係を利用して商業上有利な条件を獲得するため、中国の国家資源を動員することもできる。西側企業は、必ずしも純粋に商業的動機だけで活動していない(中国)企業群と競争していることを悟るだろう。 ●こうした中国の投資増大は・・・中国内外の市場で中国企業を強化するだけでなく、国際的舞台でそのソフトパワーとハードパワーの両方を行使するための中国政府および中国共産党のより広範な戦略の一環である。 表現ぶりはまだ稚拙だが、「中国株式会社」の本質はほぼ網羅されている。ようやく米国の中国通ビジネスマンたちもこの点を理解し始めたようだ。冒頭ご紹介した米国人ビジネスマンがこの論評を読んだら、一体何とコメントするだろうか。 過去4年間、中国は人民元を自由化するどころか、切り上げにすら応じていない。これまで外国企業のノウハウを学ぶだけ学んできたが、今度はその知識を自国企業のために活用し、官民一体で海外進出を始めている。 どうやら中国の戦略は、米国人銀行家が考えるより、はるかに強かなようだ。 ◆金融分野での米中の確執 改めて指摘するまでもなく、中国の海外進出は近年目覚ましい。 WSJの評論によれば、「2009年の中国の対外直接投資は433億ドルに達したが、その投資先はアフリカの天然資源などだけでなく、最近では英国のバークレー銀行、南アフリカのスタンダード銀行、シンガポールのリース会社、バンク・オブ・アメリカ・アジア部門などサービス業に集中している」という。 中国株式会社の投資戦略は、従来のような「製造部門」のための原料確保と市場開拓だけでなく、最近力をつけ始めた「財務部門」を中心とする国際金融ネットワーク作りをも目論む、より包括的なものに進化しつつあるようだ。 そうであれば、金融分野でも米中が衝突するのはもはや時間の問題だろう。既に、オバマ政権は今年の米中間の最大の課題を人民元切り上げ問題に絞り始めたと言われている。 筆者が出会った米国人銀行家の戦略が正しく、中国はいずれ第2の「プラザ合意」を受け入れざるを得なくなるのか、それとも中国株式会社というシステムがその財務体質を一層強化して、しぶとく生き残るのか。 この米中間の勝負、まだ始まったばかりではあるが、一時も目は離せない。
同じような事は韓国や台湾や東南アジアでも成功して国際金融資本は巨額な投資利益を上げてきた。金融の自由化も受け入れさせて資本は自由に出入りが出来るようになった。そして最後に目をつけたのが中国への投資である。中国も改革開放経済を取り入れて西側からの資本と技術を必要としていた。 91年の日本のバブル崩壊と、97年のアジア金融危機は寄せては返す資本の波によるものであり、90年代から00年代にかけての中国への投資ブームは、北京オリンピックの成功と上海万博開催で収穫期を迎えている。しかしながら中国は金融の自由化と元の切り上げには頑強に抵抗している。日本やアジア各国の二の舞いは避けようと言う事なのだろう。 しかし08年の世界的金融危機で国際金融資本も大きな痛手を負っており、中国で上げている大きな利益を持ち帰らなければならない状況だ。宮家氏の記事に出ていた元米投資銀行の副社長は、貯めこんだ人民元をドルに変えてアメリカに持ち帰る必要に追われている事だろう。 日本やアジア各国ならアメリカは少し圧力をかければ簡単に金融自由化させることが出来た。スーパー301で制裁をかけられればアメリカへの輸出が出来なくなるから従わざるを得なかった。アメリカは最近まで人民元を切り上げを強く求める事はなかったが、それがアメリカにとっても利益だったからだ。 アメリカは金融業を国策産業にしようとしましたがサブプライム問題で挫折した。だから二桁に乗せた失業者を吸収する為にはアメリカ国内に製造業を呼び戻さなければならなくなった。しかし国内から中国に移ってしまった工場を呼び戻す事が可能なのだろうか? 中国人並みの低賃金で働く事など出来ないから無理だろう。 90年代から00年代に至るアメリカと中国の利害は一致していた。国際金融資本はゼロ金利の日本から資金を調達して中国をはじめとするBRICsに投資をしてきた。しかし去年あたりからドバイを初めとして新興国バブルは崩壊し始めてきたのであり、ギリシャにも飛び火している。いずれは中国のバブル崩壊に到達するだろう。そうなれば世界が受けるショックはドバイの1000倍になるだろう。 新興国バブルに共通する事は自力による経済発展ではなくて、先進国からの資本と技術移転によるものであり、アメリカが一手に消費を引き受けてきた。しかし今やその流れは逆転を始めたのであり、今年あたりから新興国バブル崩壊が本格化してくるだろう。資金の出処であった日本が0,5%金利を引き上げただけで世界同時株安が起きましたが、日本が金利を上げざるを得ない状況が来たら世界経済はお終いだ。 為替相場を見れば分かるように最近のドルと円とは連動して動くようになり、円もドルもゼロ金利に近い。リーマンショックで世界経済は金融の緩和をせざるを得なくなり、日本とアメリカがジャブジャブに資金を供給している。しかしアメリカのERBも金利を上げ始めるとギリシャに信用不安が発生するようになった。たった0.5%から0.75%に引き上ただけでもショックは大きい。 世界は新興国バブルからコモディティー(商品)バブルに移ろうとしている。中国やインドなどの新興国が資源を買いあさっているからですが、それが商品バブルに繋がっている。去年からの大幅な金融緩和も商品バブルを誘発しているからですが、それは政界的なインフレに繋がる。中国も資源価格が上がれば人民元を上げざるを得なくなるだろう。
日本の鉄鋼大手各社と英豪系資源大手BHPビリトンは5日、製鉄の原料となる豪州産の石炭価格について、2010年度から3か月ごとに見直す新方式を導入し、4〜6月期は1トン当たり200ドルとすることで合意した。 09年度比55%アップの大幅な値上げとなった。原料高によって鋼材価格が引き上げられれば、自動車や家電など最終製品の値上がりにつながる可能性がある。7月以降の原料炭の価格は、改定方式も含めて改めて交渉する。 四半期ごとに価格を決定する新方式は従来の1年ごとの改定に比べ、上昇傾向が続く石炭の「時価」が反映されやすい。4〜6月の合意価格は過去最高だった08年度の300ドルよりは低いものの、今後は見直しの度に価格がつり上がる公算が大きい。 BHP側は、中国やインドなど新興国の需要急増を背景に原料炭価格の上昇が見込まれることから四半期ごとの価格改定を提案。取引相場の値上がり分を自社の収益に素早く反映させる狙いがあるとみられる。 一方、日本側は新方式を導入すれば自動車や家電など鋼材の買い手も年間を通してコストが確定できないなど影響が大きいとして拒否してきた。しかし、BHPは日本との交渉で強気の姿勢を崩さず、鉄鋼各社は「必要量を確保するためには新方式をのまざるを得ない」との判断に傾いた。 09年の日本の原料炭輸入量は前年比18・7%減の6565万トンに落ちこむ一方、中国は約5倍の3449万トンに膨れあがった。 原料炭の値上がりは鋼材、最終製品へ値上がりの連鎖を招く可能性がある。ただ、消費が低迷する中で最終製品の値上げは難しく、生産、流通の各段階で企業がコストを負担せざるを得ないとの見方が強まっている。
自由化をしないままに資源の買い占めや企業買収に乗り出すのは中国は自分勝手な国でありアメリカとの利害衝突をもたらすものだ。アメリカ人はあまりにも中国人を知らないのであり、元投資銀行の副社長が言うような楽観的な見通しは外れたようだ。だからオバマ大統領も今年に入って中国に対して強硬な姿勢に転じましたが、中国は人民元を切り上げて金融を自由化させるだろうか?
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