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ユーロ圏の次の一手 = 危機対策示せなければ第2のポンド危機(英フィナンシャル・タイムズ紙) http://www.asyura2.com/10/hasan67/msg/227.html
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2730 この数日間の出来事は、1992年9月に起きた英ポンドと伊リラに対する投機筋の攻撃を彷彿させた。当時、欧州各国の財務相と中央銀行総裁は、全く理解できないという様子で、怒りをもって事に応じた。 この時、欧州為替制度(ERM)の中で定められていたポンドの中心レートは、今のギリシャの国家財政、あるいはスペインの賃金水準と同じくらい持続不能なものだった。 今、金融市場はいみじくも、ユーロ圏が不均衡に対処していないことを見抜いており、ギリシャ救済に関してドイツとフランスが発するころころ変わるシグナルに混乱させられている。そして投資家たちは、飛び火するデフォルト(債務不履行)の可能性が高まっているという結論に至った。彼らは正しい。 【金融市場の反応を理解していない欧州の政策立案者】
1992年の危機から変わっていないのは、欧州各国の政策立案者と経済顧問には今なお、金融市場というものが政策にどう反応するか――今回の場合は、政策の欠如にどう反応するか――について基本的な理解が欠けていることだ。 現時点では、あるユーロ加盟国が債務借り換えができなくなった時に、一体何が起きるかが全くはっきりしない。筆者は何らかの救済措置が取られるだろうと思っているが、以前ほどには確信が持てなくなった。 こうした状況下で何より役に立たない意見――先週、実際に投資家のパニックを煽ることになった意見――は、国際通貨基金(IMF)に問題を解決させたらいい、ということだ。その論拠は、欧州連合(EU)は効果的な方法で緊急支援を行う立場にはなく、IMFにはそれをやるだけの経験と人材と制度がある、というものである。 確かにいずれも事実ではあるが、IMF主導の救済を唱える向きは都合のいいことに、これがユーロ圏の将来について金融市場にどれだけ破壊的なシグナルを送ることになるかを無視している。 IMF主導の救済は、ユーロ圏が自分たちの問題を解決できなかったということを証明する。ユーロ圏はひどく信頼を失う羽目になり、投資家から、通貨同盟ではなく、期限の定められた固定為替相場制度と見なされるようになる恐れさえある。
筆者が先週、IMFの関与について意見を聞いたある大口投資家は、即座にアルゼンチンとの比較を引き合いに出した。アルゼンチンは自国通貨を切り下げる気がなかった。ギリシャは通貨切り下げができる立場にない。 IMF主導の救済は、通貨切り下げが認められた時の方がうまくいく。さもないと、賃金引き下げと過酷な緊縮財政によってのみ調整を実施しなければならないからだ。もしIMFが出てくれば、ギリシャはアルゼンチンと同じ道をたどるかもしれない。 それよりもユーロ圏が自らの手で問題を解決した方がずっと好ましい。これには、ユーロ圏の安定・成長協定に定められた道筋以上に踏み込んだ戦略が必要になる。問題は、信頼に足る終盤の一手が存在しないことだ。 安定・成長協定には、ある加盟国政府が他の加盟諸国の期待に沿えなかった場合に何が起きるかという細かい手順が盛り込まれているが、究極の制裁である罰金より先の想定は一切ない。だが、破綻した国家に罰金を科すことに一体何の意味があるのだろうか。終盤は結局、デフォルトであり、他国への飛び火となる。 では、欧州の政策を決める実力者たちはなぜ、危機対策の強固な政策をまとめようとしないのだろうか。筆者は先週、パリとベルリンで、救済を示唆するシグナルはギリシャ国民に誤解されてしまう恐れがあるという意見を耳にした。そうなると、ギリシャが財政再建への自助努力をしなくなる、と。 【ユーロ圏に必要な危機対策の枠組み】 筆者の考えでは、それは政策立案者たちが具体的にどんなシグナルを発するのか、そして救済にどんな条件がつけられるのかによる。モラルハザードに対する懸念を避けるためには、当然ながら、救済の条件は魅力のないものにしたいはずだ。 また、ギリシャが少なくとも主権の一部を失うことも必須だろう。気の確かな国であればカネを受け取りたくないと考えるような条件が必要だ。そして、カネを受け取った国は、極めて好ましくない結果を受け入れることを覚悟しなければならない。
今、こうした枠組みが何もない中で、デフォルトの脅威は最も脆弱な国から次に脆い国へと自動的に飛び火していっている。先週、マドリードとリスボンの株式市場は、アテネ市場以上の大幅な下げを演じた。そして、忘れてはならないのは、ほかの欧州諸国も脆弱かもしれないということである。 【欧州北部にも飛び火する恐れ】 オーストリアは銀行危機で沈むかもしれない。ベルギーの債務水準はスペインやポルトガルよりも高く、同国の金融セクターは世界危機によって大きく揺らいでいる。懸念が欧州北部へと広がっていくに従い、大手投資家がユーロ圏崩壊に大金を賭ける誘惑に駆られるかもしれない。 2月11日に開催されるEU特別経済サミットで、欧州各国の首脳はマクロ経済改革の普及について議論する代わりに、危機について徹底的に議論すべきだ。ここでは、研究開発への投資拡大は答えにはならない。 EUは、断固たる危機対策を練る意思があるという緊急シグナルを発信しなければならない。そうした政策を今週まとめ上げる必要はないが、サミットは世界に向けて、ユーロ圏が自分たちの問題を自ら解決するという明確なシグナルを出すべきだ。 この政策をうまく機能させるためには、救済はしないという規則を含めた現行EU法に沿ったものでなければならないし、支援を受ける国が箍(たが)を外さないような厳しい措置を十分盛り込まなければならない。 今週のEUサミットは恐らく、指導者不在の欧州の財務相らと欧州委員会が生み出した曖昧さに終止符を打つ最後のチャンスとなる。EUは投資家に対し、自分たちなりの終盤のビジョンを示さねばならない。さもなくば、我々は1992年に舞い戻ることになる。 By Wolfgang Munchau
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