米の競争相手「中・独・印」 オバマ氏演説、日本触れずhttp://www.asahi.com/international/update/0129/TKY201001280525.html 2010年1月29日2時45分 【ワシントン=尾形聡彦】米オバマ大統領が27日の一般教書演説で、雇用対策に全力を挙げるため、5年間で輸出を倍増し、特にアジアへの輸出を増やす考えを強調した。ただ、競争相手として挙げたのは中国やインドなどで、日本への言及はなかった。低成長から抜け出せない日本への関心の低さがにじんだ。 「我々は、今後5年で輸出を2倍にし、それが米国の200万人分の雇用を支えることになる」 オバマ米大統領が27日の演説でこう訴えると、議場からは大きな拍手がわき起こった。オバマ氏は昨年から輸出主導の景気回復を目指す考えを示していたが、野心的な数値目標を掲げるのは初めて。目標達成のため、「国家輸出戦略」を策定し、農家や中小企業による輸出増を促進させる計画だ。 米経済は2009年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)が、年率換算で前期比2・2%増と5四半期ぶりのプラス成長になった。とはいえ失業者数が1500万人を超えるなかで、GDPの7割を占める個人消費は伸び悩むとの見方が多い。新たなけん引役として輸出に頼らざるを得ないのが実情だ。 オバマ氏は「アジアとの貿易関係を強化する」として、輸出先としてのアジア市場の開拓を目指すが、同時にアジア諸国は米国と経済力を競うライバルとの見方を示した。 競争相手として、大統領が演説で言及したのは、中国、ドイツ、インドの3カ国。オバマ氏は「彼らはクリーンエネルギーに真剣に投資している。関連の雇用が欲しいからだ。米国は(競争力で)2位に甘んじることはしない」。 景気対策の一環として、28日にも予算づけする路線を公表する見込みの米国内の高速鉄道建設を巡っても、「欧州や中国(ばかり)が、最速の列車を有している理由はどこにもない」と、米国の競争力強化を訴えた。ここでも、新幹線を擁する日本への言及はなかった。 ワシントンでは、日本の景気低迷を「いまや『失われた20年』だ」(ある研究者)とも評される。日本への言及がなかった一般教書演説は、米国の関心が薄まっている実情を映していた。 |