一般教書演説をするオバマ大統領＝ロイター

朝日新聞

http://www.asahi.com/international/update/0128/TKY201001280167.html

米大統領「２００万人の雇用創出」　一般教書演説

2010年1月28日12時40分

　【ワシントン＝伊藤宏、尾形聡彦】オバマ米大統領は２７日、上下両院合同会議で、就任後初となる一般教書演説を行い、内政・外交の基本方針を示した。経済の低迷で支持率が低下、政権運営が厳しさを増す中、雇用創出を前面に打ち出し、５年で輸出を倍増させ、２００万人分の雇用につなげると公約した。

　オバマ氏は就任時に７０％近くあった支持率が、長引く経済の低迷などが原因で５０％前後まで下落。加えて、１９日に米マサチューセッツ州であった連邦上院議員の補欠選挙では、経済政策への不満などから、全米有数の与党民主党の地盤で敗北した。１１月に行われる中間選挙に向けて、与党内からも強い懸念が示されている。

　今回の演説は、こうした状況下での、中間選挙に向けた事実上の公約の意味合いを持つ。米国内の失業率は２６年ぶりの高水準である１０％に上る。オバマ氏は「２０１０年の一番の焦点は雇用だ」と強調。演説の３分の２ほどを経済対策にあてた。外交政策にもごく短く言及したものの、内政を優先する内容となった。

　オバマ氏は「我々は経済再生に向けた対策を講じ、できる限りの雇用を確保しなくてはならない」と述べ、雇用対策や中間所得層支援の拡充に力点を置く考えを明らかにした。さらに、輸出の強化のため、「国家輸出戦略」を策定する考えを示した。オバマ氏は「アジアとの貿易関係を強める」とも言及しており、今後、日本を含めたアジア各国に内需拡大を求める可能性もある。

　さらに、オバマ氏は、子育て世帯に対する税額控除拡大のほか、米金融大手が返済した公的資金３００億ドルを活用して中小企業向け貸し出しを促進することや、中小企業向けの新減税を柱とした追加の景気対策を通じ、雇用の増大をはかる考えも示した。

　０９会計年度に財政赤字が１．４兆ドルと史上最大に達したことを背景に、国防費などを除く裁量的経費を３年間、現状水準で凍結する方針を表明した。内政の最重要課題としてきた医療保険制度改革についても、改革が財政赤字縮小につながると改めて必要性を訴えた。

　外交分野では、核不拡散への対応で多国間での協力が強まった結果、「北朝鮮はより強力な制裁に直面している」と指摘。核開発で強硬な姿勢を崩さないイランには「より深刻な結果に直面する」と警告した。国際的テロ組織アルカイダ対策では、構成員の拘束増加を強調した。
　

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