福島第一原発事故は、よくチェルノブイリと比較されるが
原子炉のタイプや爆発の規模が明らかに違うのは、皆知っているにしても
そのほか大事なことは、原発が立地している地形があるのではないのか
なぜなら、放射能を運ぶ風は地形の影響を受けるから。

チェルノブイリは大陸の内陸部にあり、黒海まで５００ｋｍバルト海まで７００ｋｍある
西側をカルパティア山脈、東側を中央ロシア台地にはさまれた巨大な回廊を形成し
北西にドニエプル低地、南東はウクライナの穀倉地帯で遮るものがほとんどない
だから、放射能が１ｋｍも吹き上げられれば、延々と汚染地帯は広がるだろう。

次に、福島第一原発がある双葉町や大熊町の場合、東半分は太平洋である
西風と東風の割合が半々なら、５０パーセントの拡散物質は海側へ流れたであろう
また、原発の西側は６ｋｍで標高５００〜７００ｍの阿武隈高地に阻まれる。　今回
たまたま放射能は、そこに開いた「風の道」の飯館村を通って中通りの福島市へ入った。

本来、水が狭い隙間に流れ込む時は、その入口で滞留し渦を巻くものだが
入口に当たる南相馬市や相馬市の放射線量は、福島市や郡山市の半分以下だ
それでいて風速が上昇するだろう「風の道」の飯館村は、福島市の３倍の放射線量がある
いったい高速の時と低速の時で、どちらが「落し物」が増えるのだろう？

福島市に入った放射能は、奥羽山脈の吾妻山系に阻まれ南進を始める
ビリヤードの玉なら、壁に浅い角度で当たった場合向こう側に跳ね返る
しかし今回の風は、南東から北西にぶち当たっているのに、北側には流れていかない
「中通りでは北風が吹いていたのだ」・・・たまたまそうだったのであろう。

中通りと浜通りで正反対の風が吹く、こんなことはままあるようだ
かくして、福島県内だけに放射性降下物の大半がふるい落とされた
ＳＰＥＥＤＩの予測図と航空機による実測図がピタッと合っているのだから
「風」も予想通り流れたのであろう、金を掛けただけの事はあった。

ここからは下衆の勘繰りだが、実測図が先にできていたとしたらどうだろう？
つまり放射能汚染の地域分布は事故前から、ある程度分かっていた、としたら
実測図に合わせてＳＰＥＥＤＩの予測図を後から作製した、としたら
その場合、予測図と実測図に寸分の狂いも出るはずがない。

「じゃあ事故前に、すでに放射能汚染は始まっていたということか？」
話の流れからすればそうなる。なぜなら予測図は事前に作製されてこそ予測図なのだ
・・いちおう「下衆の勘繰り」と言ったではないか、何の確証もありはしないのだ
ただあまりの精度に予測できていたことに、驚いているだけだ。　もし

翌日の風向、風速をピンポイントで正確に言い当てられる能力があるのなら
天気予報などと逃げを打たずに、「天気公報」と名前を変えるべきだ
なにはともあれ、今回の働きでＳＰＥＥＤＩの廃止はないだろう
なぜなら、システム自体の能力を疑うものはどこにもいないから。

しつこいようだが、阿武隈高地のただ一箇所の裂け目を狙って
放射能雲が通り抜けることを、よくぞ予測した
しかも前日うちにこの地域（飯館村）で雨が降ることを、よくぞ計算した
降雨により放射性降下物の量が増えることを、予測して拡散予測図を描いたのか？
　

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