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自己と他者を騙しながら生成し、ひたすら生物の来訪を待つ場所。極島は危険無人地
帯であった。そこはかつて日本あるいはジャパン・ジャポン・ジパングと呼ばれて
いたらしい。
なにもかも、2011・311だった。福島原発第一の歴史的所産だった。
その偶然は、
今から思うとあまりにも必然であったように人々は回想するのである。
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年の幕がもうすぐ降りようとしていた。私はせっくす・マシン恵子との
快楽に、いわば儀式を終了した空白感にあった。メイド・イン・チャイナのタバコを
ふかしている。せっくす・マシン恵子は毛布にくるまりながら眠りについている。
ホテル・高句麗の窓からはソウルの都市のネオンが点滅している。下の道路に
目を移動すると、群衆が爆竹を鳴らしながら、年を迎えようとしている。
みんな不安なのだと私のアンテナは受信した。ノスタルダムの予言ではあるまいに。
ふふっと、私は特有の皮肉がこもった、声を殺すうすら笑いを浮かべた。
韓国人の、いやもう統一されたから朝鮮の民衆は、世界終末を暗示にかけられた
ように信じやすいのだろう。道路の向こう側では、男と男のケンカが始まった。
さすがに騎馬民族の子孫だ。論理的でありながら感情が激しく情熱的なのだ。おお、
男が自転車をもちあげ、それを男に向けて叩きのめす。ふたりの男はケンカによって
感情を解放した後は、肩をくみながら路地へ消えていった。いつものパターンだな。
私はホモではないのだが、闘争的な韓人の男たちが好きだった。ここではいまでも
男上位社会なのだ。それを女たちの忍耐力が支えている。古い儒教的なものが、まだ
解体されていないかのようだった。
しかし、統一され、新しい国家として出発した韓鮮国の経済は落ち込んでいた。
それに越えるべき対象国家であった、日本が消滅したことによる結果によって、意志
の空洞にあるのかもしれない。経済戦略においても、だいぶ前から、台湾・中国の
華僑経済圏に屈服している。それに最大の課題は統一による混乱がいまだ問題解決に
向かっているとゆうよりは、矛盾を深めつつあるように思える。
南も北の官僚もドイツ統一の経験から猛烈に学び、急激ではなく、じっくりと統一
政策を打ってきたのだが、空間緊張と空間場所のずれは、想像以上に
深く表層を形成していたのだろう。表層を解体すれば深層のマグマが吹き出す。それ
に民族の怨念の対象であった、日本国家は消滅してしまった。さらに経済は巨大な
華僑経済圏に飲まれようとしている。ベトナムと朝鮮は古代からそうであったが、
現在においても、いかに独自性を中国経済から防衛
するのかのジレンマと葛藤にあり、崖っぷちで戦略を建ち上げようとしていた。
>ねえ、寒いわー。窓を閉めてくださらない。
せっくす・マシン恵子が甘くとろけるような声で、私の背中に投げかける。
実にくだらない女だ!と私は彼女を侮蔑する。日本消滅後、日本の女は世界各地に
ちらばっていったが、圧倒的な若い女はせっくす・マシンとして生き
延びることを選択した。もっとも稼げる方法だ。しかし日本の女が世界でもてたのは
強力な円と言う貨幣の裏づけがあったからだ。彼女たちが好きな白人や黒人はいまは
もう日本女に振り向きもしない。金がない女などつきあっていられるか!だろう。
それでもアラブ人や中国人、東南アジアの金持ちたちは、日本せっくす・マシン
娘たちを私有することが、スティータスの代名詞となっていたようだ。
生き延びた35歳以上の女たちは、フィリピンの女のように、サウジアラビア・
クエート、アメリカUSAのメイドとなり働き、喰いぶちをかせいでいた。
職業のキャリアと闘争心ある女たちは、ほぼアメリカUSAかカナダをめざし、
そこで、多様な企業に就職していったが、多民族国家のあつれきを背負い、職場では
毎日のようにいじめられていたのである。
彼女たちの苦闘に比べたら、お前はゲスだよ、恵子・・・。
>ねえー、たっらあー、寒いよー。
うるせえ!このやろう! 私は苛立ちを恵子にぶっつけた。いいから寝ていろ!
>なにさあ!偉そうに!もう遊んでやらないから!久しぶりに日本人の男と会った
から、よしみで遊んであげたのにい。消滅した日本の男なんて、もう、世界中の女から相手にされていないのよ!あんたがかわいそうだったから、恵子は・・・・
あんたとせっくすしてあげたんじゃないのよー。それなのに、なによー。
私は放射能に犯された醜い腕の肌を、反射的に隠した。そして恵子にはなにも
言い返せなかった。私は今日、12月最終日、ソウルの飲み屋で会った
彼女と日本の思い出話しに花を咲かせ、このホテルにやってきたのである。
台湾でせっくす・マシンとして稼いでいる恵子は、正月の休暇として
このソウルにやってきたのである。私がソウルのスラムに住んでいることは、恵子に
話せなかった。コンピューターの技術者として、現代財閥の電子企業に雇われている
と嘘をついたが、おそらく恵子は信用していないだろう。
ちくしょう!ちくしょう!私は窓を閉めた。そして不覚にも頬に涙が川のように
伝わってくるのを、制御することができなかった。
やがて鐘の音が外から響いてきた。近くにある教会が打っているのだろう。
>ハッピィ・ニュー・イヤー。年の幕が切って落とされたわー。
そう言いながら恵子は裸のままでベットから窓に歩いてきた。私の背中に腕を
からませてきた。私は腹までたどりついた恵子の手のひらを、強く握りしめた。
>あれはなに?
下を見るとボロ衣服をまとった集団が北をめざして歩いてゆく。
私は恵子の質問に答えた。
難民だよ。日本人の。つかれたように北方の満州へ歩いていこうとしているんだ。
でも韓鮮国政府と中国政府はそれを許さないだろう。韓鮮国政府は中国が受け入れ
てくれることを要請はしないと思う。拒否されることはわかっているから。
韓鮮国にいる日本人難民は自覚すべきなんだ。もう、おれたちには何処にも、故郷
はないんだと言うことを。
>ふーん。ひどいわ。アメリカに移住した日本人なんて、警察と警備会社が防衛する
高級住宅都市で、いい生活しているのに・・・。
しかたがないさ、そう私は答えた。
しかたがないさ。アメリカは富豪階級と大王部族しか受け入れなかったんだから
日本が消滅されてしまうことを、彼らは知っていたからね。早くから準備して
いたんだよ。そして、2011・311福島原発第一の被爆を免れた。放射能に犯さおれたちの醜い肌と違って、彼らの肌は今も美しいだろうよ。
もう、恵子は言いかけた。
>もう・・・2千万人しかこの地球に日本人は生き残っていないんですもの・・・
あんたとは、せめて朝までなかよくしたい。
私の胸に突き上げる感情の津波がおしよせた。私は恵子の小さな肩を抱きしめ
小さく開いている恵子の唇に私の唇を強く重ねあわせた。そして紅い舌で、恵子の
口元の形を熱くたしかめるように、なめた。そして恵子の耳のなかにも舌をからま
せ、恵子の目頭を唇でふさぎ、額に息をふきかけた。
>お願い・・・背中にキッスをして・・
ああ、と私はあえぎながら答えた。
恵子の背中は放射能に犯され、腰へと続く、くびれた部分がただれていた。
ここは女の一番美しい曲線なのに・・・。私はそこに唇と舌で優しく触れた。
あれは私が童貞を卒業したときの初体験。私は女の体、
背骨の線からおしりに流れる曲線の美しさに圧倒されたことがある。
私は恵子の背骨からおしりへと、なめながら舌を流していった。
絶望の序曲にも快楽はあった。それがひとすじの希望だった。
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