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http://www.asahi.com/national/update/1227/TKY200912270363.html
合作社事件の捜査記録発見 矛盾点多くでっちあげの疑い
2009年12月28日8時1分
旧満州国で起きた思想弾圧事件が、憲兵隊により作り上げられたとみられることが、新しく発見された満州国最高検察庁の資料から分かってきた。「共産主義者が国体変革を目的に結社を組織した」として罪に問われたが、証拠として書かされた容疑者6人の手記には不一致や矛盾点が多く、研究者らは「虚偽の事実を書かされたとしか考えられない。戦争への疑問や批判を封じ込めようと事件が作り上げられた」としている。
事件は、関東憲兵隊が1941年秋から、旧満州で農協運動をしていた農事合作社の勤務者を中心に日本人五十数人を逮捕したもの。合作社事件と呼ばれる。治安維持法により5人が無期刑になった。主要人物の多くが獄死し、真相の解明が遅れていた。
関東憲兵隊特高課の下士官が保管していた資料が静岡県で見つかり、昨年10月から、松村高夫慶応大名誉教授らが解読してきた。
発見されたのは中心人物とされた6人の資料。手記、尋問調書、憲兵隊の意見書、起訴状などがあった。手記は供述書のような形でほぼ同じ構成。結成したとして罪に問われた組織には名前もなく、目的も「党員養成の貯水池」「将来は満州共産党に」「中国共産党の一部」と各人ばらばら。「日本共産党の分散配置方針に基づく」との手記もあったが、同党は当時、活動できない状態だった。話し合ったとして一致するのは合作社の幹部人事など職場のことぐらい。分析した江田憲治京都大教授は「手記には根幹部分で不一致や矛盾が多く、実際に組織や運動が存在したとは到底思えない」と語った。
日本国内で思想弾圧に使われた治安維持法は、旧満州国でもほぼ同じ内容で施行された。合作社事件は、その後の満鉄調査部事件(42〜43年)の契機になるなど影響を与えた。荻野富士夫小樽商大教授は「治安体制が日本国内にとどまらず広がり、周縁部においてより厳しく運用されていたことを資料はよく示している」と話している。(渡辺延志)