韓国:首脳会談開催めぐり北朝鮮と接触 有力紙など報道http://mainichi.jp/select/world/news/20091222k0000m030084000c.html 【ソウル大澤文護】朝鮮日報など韓国各紙は21日、南北首脳会談開催をめぐり南北当局者が今年、少なくとも3回秘密接触したと一斉に報じた。韓国統一省は接触の事実を否定したが、韓国国内では、北朝鮮指導部が体制維持に必要な支援獲得のため、今後も首脳会談開催を打診するとの見方が強まっている。 報道によると今年10月中旬、シンガポールで韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の側近、任太熙(イ・ムテヒ)労働相と北朝鮮の対南関係を統括する金養建(キム・ヤンゴン)・朝鮮労働党統一戦線部長が会い、首脳会談の議題などについて話し合った。さらに11月7日と14日の2回、北朝鮮・開城(ケソン)で韓国統一省と北朝鮮の担当者が接触した。この接触で、韓国側は首脳会談の議題として朝鮮戦争(1950〜53年)当時に捕虜となった韓国軍の元兵士と北朝鮮に拉致された韓国住民の送還問題を要求し、応じれば10万トン以上の食糧支援を実施する立場も伝えた。また北朝鮮核問題の議論も必要と訴えた。しかし2回の接触では首脳会談開催の合意には至らなかった。 その後、北朝鮮当局の統一省幹部に対する批判が強まり、今月19日、北朝鮮労働党の機関紙・労働新聞は「核問題は南北関係改善の障害物にはならない」との記事を掲載した。21日付の韓国紙・東亜日報は金正日(キム・ジョンイル)総書記が首脳会談開催に合意できなかった金養建部長を呼びつけ「3時間以上、厳しく叱責(しっせき)した」とも伝えた。韓国では、いずれも首脳会談開催に対する北朝鮮指導部の期待の高さを示唆する情報と受け取られている。 韓国の政府系シンクタンク・国家安保戦略研究所は最近発刊した来年の情勢展望報告書で「米国との関係改善がこう着状態に陥れば、北朝鮮側は元兵士や拉致被害者の問題で韓国の要求を受け入れる可能性がある」と分析している。 南北首脳会談は00年に金大中(キム・デジュン)大統領、07年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(いずれも当時)が実施した。しかし保守派を基盤に誕生した李明博政権発足後は実現していない。韓国国内には、韓国政府が朝鮮半島情勢の主導権を握るため首脳会談が必要との見方があるほか、朝鮮戦争で生き別れになった南北離散家族再会事業の促進などのため、開催を求める声は根強く、政権の課題となっている。 |