★阿修羅♪ > 戦争b2 > 286.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.the-journal.jp/contents/aikawa/2009/12/post_5.html
国内路線ゼロ "国営"茨城空港の本当の狙いは何か
来年3月に開港予定の「茨城空港」を先日、見に行ってきた。地方空港を長年、取材してきた者として足を運ばない訳にはいかないと思ったからだ。今のうちに行っておかないと取材できなくなるかもしれない。そんな焦りの思いもあった。
なにしろ開港前から廃港の危機に直面する究極の地方空港である。就航予定の定期便は1日1便のみ。それもアシアナ航空のソウル便だ。当方が旅客者として「茨城空港」を利用することはまずあり得ない。それどころか、地元の人たちでさえ「茨城空港」を利用する機会はそうないはずだ。ターミナルビルに出店する予定だった民間会社も、開港前に早くも撤退の意向を表明している。つまり、飲食店や売店、そして、国内定期便が存在しないままハレの開港の日を迎えることになりそうなのだ。
それにしても、なぜ、こんな空港を造ったのかと不思議に思う人も多いのではないか。何らかの意図が隠されているのでは。そんな疑念を抱いている人もいるのではないか。
「茨城空港」はいわゆる「地方空港」ではなく、国営空港である。航空自衛隊「百里基地」の既存滑走路に並走し、民間用の滑走路を新設したものだ。同じ長さ(2700メートル)の新旧2本の滑走路間の距離は、わずかに210メートル。新設した民間用滑走路などの整備費は約220億円で、このうち国(国土交通省)が3分の2を負担し、残りの約70億円を県が負担した。空港の管理主体は国(防衛省)で、国が維持管理費を全て賄うことになっている。民間航空用のエプロン部分の維持管理を国土交通省、それ以外は防衛省の所管となる。「茨城空港」といっているが、要するに百里基地の中に民間用として滑走路を 1本、追加したにすぎない。新しく空港が建設された訳ではない。それでも、茨城県は地元の持ち出しが少なくて済んだお得な空港だと、胸を張ったのである。
しかし、地元にとってお安くできたとしても、旅客機がほとんど飛んでこない滑走路はやはり無駄なのではないか。まさに、宝(?)の持ち腐れである。実は、そうした声が高まるのを当初から想定し、待ち望んでいる人たちがいるように思えてならない。
「茨城空港」の新滑走路はあくまでも民間用で、自衛隊機が使用することはないとされていたが、現実はどうか。既に新滑走路は完成しているが、自衛隊による限定使用が早くも行われている。現在、既存の滑走路の塗装改良工事が実施中(12月25日終了予定)で、この間は自衛隊機の使用ができない状態となっている。このため、自衛隊は隣に並走する新滑走路を限定使用し、米軍との共同訓練にも使用している。米軍再編に伴う嘉手納飛行場からの訓練移転としてである。10月2日から9日までの間、米軍のF-15ジェット戦闘機が百里沖空域で訓練を行い、百里基地が使用基地となった。使われた滑走路は新滑走路だった。
来年3月に「茨城空港」は開港するが、就航便は1日わずかに1便。新滑走路の建設は、実は、自衛隊基地としての機能強化を狙ったものではないだろうか。新空港建設という甘い囁きは、地元への目くらまし戦術のひとつだったのでは。現地で新滑走路の写真を撮ろうとしたところ、「自衛隊の施設があるので撮影不可」と注意された。当方、それで、防衛省の施設であることを改めて痛感したのである。
投稿者: 相川俊英 日時: 2009年12月11日 14:23