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パレスチナ 和平の行方に暗雲が【信濃毎日新聞】
http://www.shinmai.co.jp/news/20091107/KT091106ETI090004000022.htm
11月7日(土)
中東和平の行方に暗雲が垂れ込めそうな気配である。
パレスチナ自治政府のアッバス議長が、来年1月に予定されている議長選に出馬しない意向を表明した。
アッバス議長はイスラエルとの和平実現を目指す穏健派組織ファタハの指導者で、国際社会から支持されてきた。
和平推進派の実力者の退任表明は、イスラエルとパレスチナの和平交渉を進める米国にとっては大きな痛手だ。
パレスチナ紛争はテロ拡散の根源的な要因ともされるだけに、国際社会にとっても憂慮すべき事態である。
和平交渉の前途がますます不透明になるばかりか、イスラエルとパレスチナとの間で武力闘争が激しくなる可能性もある。
米国をはじめ、各国は事態が悪化しないよう、双方への働きかけを強めなくてはならない。
アッバス議長が退任を表明した背景には、オバマ政権への失望がある。
米国はイスラエルのネタニヤフ政権に対し、国際法違反と指摘される占領地への入植活動の全面停止を求めていた。
これに対し、イスラエルは拒否の姿勢を崩さず、妥協案として新規着工の一定期間凍結を持ち出してきた。
米国がこれを受け入れたことで、議長ははしごを外される格好になってしまった。
パレスチナ自治区でも深刻な問題を抱えている。
自治区は政治的に、議長が治めるヨルダン川西岸と、強硬派のハマスが支配するガザ地区に分裂している。
議長は先月、自治政府の評議会(議会)選と議長選を来年1月に実施するとの議長令を出したものの、ハマスは拒否し、選挙の実施が危ぶまれていた。
選挙を西岸だけで行えばガザとの分裂が固定化する恐れがあった。
アッバス議長は、1993年の暫定自治宣言に至るイスラエルとの交渉を主導した人物である。
オバマ大統領も認めたイスラエルとパレスチナの2国家共存による和平を強く訴えていた。
退任が現実になれば、中東和平のプロセスそのものが台無しになってしまう。
有力な後継者が見当たらない中、ファタハ内部では議長に退任を思いとどまるよう説得が行われているとされる。
今後の動きを注意深く見守りたい。
ファタハとハマスの和解協議もなかなか進まない。
パレスチナ側が一致協力しなければ、和平に実が伴わない。
一刻も早い和解の実現に向け、国際社会は尽力しなくてはならない。