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クローズアップ2009:核廃絶決議、共同提案 米、軍縮へアクセル【毎日JP】
http://mainichi.jp/select/world/news/20091017ddm003030117000c.html
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
◇国際世論、喚起狙う
日本が94年から毎年、国連総会に提出してきた核兵器廃絶を目指す決議案の共同提案国に15日、米国が初めて名を連ねた。
原爆投下国と被爆国が核廃絶に向け共同歩調をとる。
先月の安保理決議に続き「核兵器なき世界」を掲げ矢継ぎ早に政策転換を打ち出すオバマ政権には国連でも驚きが広がっている。
米国は決議をてこに来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議成功を目指す考えで、決議に反対してきたインドやイスラエル、態度を保留してきた中国などは新たな対応を迫られることになる。
【ニューヨーク小倉孝保】
「思っているほど簡単ではない」。
国連総会第1委員会(軍縮・安全保障)への決議案提出期限を翌日に控えた14日。
各国の支持取り付けに走り回る日本の軍縮会議代表部には米国が賛成するかどうかさえ確信がなかった。
米国が共同提案国になる可能性を聞かれた軍縮担当者は「あり得ない」と一笑に付した。
ところが、提案当日になって米国から突然、共同提案の打診があり「米国は変わった」と代表部は沸き立った。
鳩山由紀夫首相は16日、記者団に「(日米の)協力体制の中で共同提案は大変ありがたい。
オバマ米政権が核廃絶に向けて並々ならぬ決意を示したと評価する」と語った。
「オバマ米政権の核軍縮方針の固さは予想以上だ」。
国連の軍縮関係部局や外交団には驚きが広がる。
それは、決議案の狙いが「あくまで核兵器保有国に核軍縮を促すこと」(日本外交筋)だからだ。
これまで英仏露は核保有国でありながら日本の決議案に賛成したが、「核不拡散のために核軍縮が必要」(国連軍縮筋)との認識からで、「核軍縮」より一歩手前の「核不拡散」でとどまっていた。
米国にとっても核問題での優先課題は、イランの核開発問題やテロリストに核関連物資が渡ることを防止する「核不拡散」だ。
ただ、英仏露と違って、核兵器数で圧倒的に優位な自国の立場を変えるような「核軍縮」には距離を置いてきた。
核保有国の軍縮を求める日本の決議案を米国が共同提案する直接の利点は少ないはずだった。
それが変化したのは、「廃絶」を明示している決議案を共同提案する方が、オバマ大統領が目指す「核兵器なき世界」実現に向けた機運を高めるには有利と考えたからだ。
日本の決議案が核軍縮関連決議案の中で最も反対国が少なく、内容も「バランスがとれ現実的」(国連筋)なことも決定を後押しした。
国連総会という公の場で自ら廃絶を積極的に唱えれば、核にすがりつく国々に説得力を持って再考を迫ることもできる。
米国は15日、国連総会第1委員会での声明で、核保有量を2012年までに01年比で半減するブッシュ前政権の方針も確認。
具体策も示して、共同提案に説得力を持たせた。
その中で「軍縮と不拡散は『どちらか一つ』という関係にはない。
表裏一体だ」と強調。
米国は「不拡散」から「軍縮も」へと一気にかじを切った。
◇北朝鮮やイランに「圧力」
国連総会決議は安保理決議と違い強制力はないが、国連の全加盟国が投票するため、国際社会の機運を盛り上げる効果はある。
日本の核廃絶決議は昨年、国連加盟192カ国のうち173カ国という圧倒的多数で可決された。
今回、米国が共同提案国となったことで廃絶への国際的世論を高める力はさらに強まる。
反対・棄権に回る国は少なく、その核廃絶についての姿勢が厳しく問われる。
昨年、反対したのは米国のほかにはインド、北朝鮮、イスラエルの3カ国、棄権は6カ国だ。
これら9カ国は決議で「踏み絵」を踏まされる。
イスラエルは過去に日本の決議案に賛成したこともあるうえ、昨年の反対理由は明確ではなく、説得に応じる可能性もある。
ただ、インド、北朝鮮が賛成する可能性は極めて低い。
決議案はNPTの重要性を強調しておりNPT未加盟のインドは賛成できない。
また、決議案は名指しで北朝鮮の核実験に言及し、賛成はあり得ないのが実情だ。
一方、昨年棄権した6カ国(中国、イラン、パキスタン、ミャンマー、ブータン、キューバ)では、中国の動向が焦点だ。
中国が賛成に回れば、安保理常任理事国すべてが賛成する可能性が高まり、他の反対・棄権国にとって強い圧力になる。
「核の透明性を高める」ことを求める日本にも中国の態度変更は歓迎すべきことだ。
米国は、核開発について重大な懸念を抱くイランに対し、決議も利用して圧力を強めるとみられる。
今後、核関連物資の国際的な管理態勢の構築を目指す「核安全保障サミット」が来年4月にワシントンで開かれ、5月にはニューヨークで5年ぶりにNPT再検討会議も開かれる。
今回の決議で反対・棄権国も態度を変えれば、オバマ大統領の唱える「核なき世界」の実現に向け、さらなる一歩を進めることになる。
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毎日新聞 2009年10月17日 東京朝刊