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http://machizo3000.blogspot.com/2009/10/blog-post.html
ブッシュはこんなにバカだった
「ブッシュはそんなにバカじゃない」
マイケル・ムーア監督のブッシュ批判映画『華氏911』がカンヌ映画祭で上映された際に、ヌーヴェルヴァーグの巨匠ジャン=リュック・ゴダールが口にしたことで一躍有名になった発言である。しかしゴダールはブッシュを買いかぶりすぎていた。その後の報道でブッシュがバカなことの証拠が出るわ出るわ! そして遂に決定版が登場した。ムーアと同郷のミシガン州フリント出身のマット・ラティマーによるルポ『Speech-Less : Tales Of A White House Survivor』である。だがラティマーはムーアのようなリベラル派ではない。むしろ正反対。何しろホワイトハウスでブッシュのスピーチライターを務めていた男だったのだから。
名門コロンビア大を優秀な成績で卒業したラティマーは、共和党議員の秘書を歴任、05年に国防長官ドナルド・ラムズフェルドのスピーチライターに抜擢された。この頃、彼が行った最も有名な仕事は、グァンタナモ米軍基地に関する「テロの容疑者を拘留して拷問を行っている」との報道への反論文「グァンタナモに関する10の真実」である。
「拘留者はバスケットボールやサッカーを楽しんでいます」
「拘留者はアラブ語放送を含むテレビ番組を楽しみ、図書館では『ハリーポッター』も読んでいます」
現在は嘘八百であることが明らかなこの文章で、ラティマーは政府内で高い評価を受け、07年にブッシュ大統領のスピーチライターに就任した。最初の数ヶ月間、彼はアメリカの経済力を自画自賛する文章を書きまくった。株価は上昇し失業者は減り続いていたからだ。こうした状況には財務長官ヘンリー・ポールソンも太鼓判を押していた。「アメリカ経済は盤石です」ゴールドマンサックスの会長として年間30億円もの給料をもらっていた彼が言うのだから間違いない!
だがサブプライムローンが引き金となって株式市場は暴落、世界中が恐慌に突入した。08年1月、政府は「個人に最大600ドル、夫婦で1200ドル」の景気刺激策を発表、併せて家計相談ホットライン「808番」を設置し、大統領が生放送で全国に呼びかけた。「番号はフリーダイヤル800番!」ブッシュが読み間違えたせいで電話はどこからもかかってこなかった。景気はどんどん悪化していった(どこかの国と同じように600ドルは貯蓄に回っただけだった)。やがて新自由主義者で固められていたはずのホワイトハウスが考えるアイディアは、彼らが憎悪するフランクリン・ルーズヴェルト時代の対大恐慌政策に酷似したものになっていった。でも放っておいたら国が滅びる。そして景気対策の最終手段が沸き上がって来た。「7000億ドル(62兆円)の公的資産で市場の不良債券を買い取りまくる!!」
「小さな政府」を目指す共和党議員がこんな案を認めるわけがない。だがブッシュはこのアイディアを賞賛した。大統領が応援するのなら頑張るしかない! ラティマーたちは熱烈な説得文章を作り、議員たちは賛成に傾いていった。結果を報告しに行くと、ブッシュはご機嫌だった。「そりゃ良いアイディアだもの。債券を安く買って、景気が回復したときに高く売れば、大儲け出来るんだからな!」ブッシュはそもそも不良債権の買い取りの何たるかを理解していなかったのだ。慌てたスタッフは本当の事を教えようとしたが、何度説明してもブッシュは理解できず、機嫌が悪くなってしまったので説明は立ち消えになった。ラティマーたちはテレビの生中継で放送される法案についてのスピーチ文章を不眠不休で完成させた。リハーサルでのブッシュは完璧だった。しかし肝心の本番でヘマをした。「立ち位置が左に寄っています」ブッシュのイヤホンにこっそり送られたスタッフの注意に対して「なにっ?」と声を発して反応してしまったのだ。その姿は全国にオンエアされた。景気はさらに悪化していった。とうとうブッシュは経済に関心を示さなくなった。
次期大統領選挙が迫っていたが、ブッシュは共和党候補のジョン・マケインをリベラル主義者と考え嫌っていた。自分は州軍に入って徴兵逃れをしたくせに、海軍パイロットとして最前線で戦い、北ヴェトナムで5年間捕虜として過ごしたマケインを「長い捕虜生活で頭がおかしくなっている」と侮蔑したほどだ。だがマケインが副大統領候補に超保守のアラスカ州知事ペイリンを指名すると機嫌が良くなった。「彼女はいいよ! 会ったことを覚えている。たしかグアムの知事だよね?」ラティマーは全てにウンザリし始めていた。10月の終わり、ブッシュから次期大統領へのメッセージ文章を作っておくようにとの指示があった。投票が翌月だったため、マケイン勝利とオバマ勝利の2バージョンが作られたが、ラティマーが力を入れて書いたのは勿論後者の方だった。
現在、全てを暴露した『Speech-Less : Tales Of A White House Survivor』を発表したことで、ラティマーは保守派から「裏切り者」と非難を浴びせられている。だがリベラル派には「笑える。まるで政治版『プラダを着た悪魔』だ!」と好評をもって迎えられているらしい。
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